駅西の小さなご飯屋 (original) (raw)
じゅんさいが喉を通り過ぎる時、蛤と昆布の微かな余韻が満ちる。
蛤を殻からはずして塩を足して汁を漉し、冷蔵庫で冷やしじゅんさいを加える。
じゅんさいが出回り始めると夏がやってくるのだなぁと思う。
こんな透明な味を私たちは味蕾のどこで感じているのだろう。
私は今日も明日も、きっと1年先もこの川を渡ってお店に通う。
ひとつひとつの思い出が重なり合っては朧になり、時間という漉し器で濾過されて、今は爽やかな記憶に変わっていた。
誰も幸せにしてあげることは出来なかったけれど、私は沢山の幸せを貰って、生きていく勇気が湧いていた。
長い間「駅西の小さなご飯屋」にお付き合いいただき、ありがとうございました。
少しお休みをして、またその後のなおをお届けできるといいな…と思っています。
なおを見守ってくださった全ての皆様に感謝致します。
小説
by syun
メモ帳
人物紹介
奈緒子…ご飯屋「なお」の女将、離婚暦あり、45歳
結子…奈緒子の親友
ひろ…奈緒子の大学時代の恋人
慎介…別れた夫
原田くん…幼馴染み
たみちゃん…大学3年生。月曜日と金曜日のアルバイト
河野さん…保険代理店
小川さん…地元の建築会社の社長
他お客さんいろいろ。
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