豚の報い 又吉栄喜 芥川賞全集第17巻 (original) (raw)

2002年8月10日第1刷

第114回1995年下期芥川賞受賞作。

豚の、スナック月の浜への闖入が4人を真謝島に向かわせている。4人とは琉球大一年生の主人公正吉とママのミヨ、ホステスの和歌子と暢子。船上で正吉は船酔いに苦んだ。一人で父の骨を拾うはずだったのが、真謝島に御願に行ったら豚の厄が落ちると言ったために女達を案内する羽目になった。ある日、ダンプカーの荷台から豚が逃走し月の浜に闖入した。和歌子が顔色を失い、落としたマブイを戻さないといけなかった。正吉はユタの本を読みふけっていたが、到底真似できるものではない。それでもマブイ込めの厄払いを依頼された。正吉は12歳の時に父を亡くした。風葬したが13回忌の今年は父の骨を拾いに行く必要があった。そこで正吉は彼女達を連れて真謝島に行くことを思い立った。予約した民宿に宿泊するが、宿のおかみが乱入し2階の窓から転落する。診療所に連れていった正吉は、おかみを世話したお礼として、豚の腸や肝をもらう。彼女らは肉料理を平らげたが、その夜、下痢にみまわれる。正吉はミヨを背負って再び診療所へ。ミヨは粗相をしてしまい、正吉はミヨの下着と寝具を洗濯する。ところがミヨは感謝するどころか正吉を宿へ帰す。宿に帰ると、和歌子が亡くなった両親らを見たと言う。正吉はひとり父が葬られている砂浜へ向かった。綺麗な骨を見つけ父は神になったんだと考えた。彼女達の秘密を聞いた正吉は、自分が造った御嶽に彼女達を連れて行った。