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ノーベル平和賞に日本被団協

10月11日 19時18分

ことしのノーベル平和賞は、被爆者の立場から核兵器廃絶を訴えてきた日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会が受賞することになりました。
日本のノーベル平和賞受賞は、1974年の佐藤栄作元総理大臣以来、50年ぶりです。

日本被団協は、広島や長崎で被爆した人たちの全国組織で、原爆投下から11年後の1956年に結成されました。
当時は、日本のマグロ漁船、「第五福竜丸」の乗組員が太平洋のビキニ環礁で行われたアメリカの水爆実験で被ばくしたことをきっかけに、国内で原水爆禁止運動が高まりを見せていました。
日本被団協は、それから68年間にわたり、被爆者の立場から核兵器廃絶を世界に訴える活動や被爆者の援護を国に求める運動を続けてきました。
東西冷戦のさなかには、国連の軍縮特別総会に3回にわたって代表団を派遣し、被爆者がみずからの体験をもとに「ノーモア・ヒバクシャ」と訴え核兵器の廃絶を迫りました。
また、国連や世界各地で原爆の写真展を開くなど地道な活動を続け、原爆投下から60年となる2005年のノーベル平和賞の授賞式では、当時のノーベル委員会の委員長が、日本被団協について「長年、核廃絶に取り組んできた」と敬意を表しました。
核兵器の開発や保有などを禁止する核兵器禁止条約の交渉会議では、日本被団協が中心となっておよそ300万人分の署名を集め採択を後押ししたほか、その後の締約国会議でも、日本被団協から派遣された被爆者が現地を訪れ、会議にあわせて核兵器廃絶を訴えるイベントに参加するなどしてきました。
被爆者の高齢化で活動の継続は課題となっていますが、一貫して核兵器の恐ろしさや悲惨さを後世に語り継ぐ活動に取り組んできました。
日本のノーベル平和賞は、非核三原則を表明し、NPTに署名をした佐藤栄作元総理大臣が1974年に受賞して以来、50年ぶりです。

【日本被団協 箕牧代表委員は】
日本被団協の箕牧智之代表委員は、広島市役所でノルウェーのオスロで行われたノーベル平和賞の発表の様子をネットの配信を通して見守りました。
日本時間の午後6時ごろに日本被団協がことしのノーベル平和賞に選ばれたことが発表されると「夢の夢。うそみたいだ」とほおをつねって、涙を流して喜びました。
その上で、ともに核兵器廃絶を訴える活動を行い、3年前に亡くなった箕牧さんの前の広島県被団協の理事長で、日本被団協の代表委員だった坪井直さんについて「坪井さんのようにこれまで活動してきた被爆者も喜んだと思う。平和公園の原爆慰霊碑に報告に行きたいと思う」と話していました。
また今後の活動について問われると「引きつづぎ核兵器廃絶、恒久平和の実現を世界のみなさんに訴えていきたいです」と話していました。

【もう1つの県被団協 佐久間理事長】
もう1つの広島県被団協の佐久間邦彦理事長は「受賞が決まった時、被爆者の顔がたくさん目に浮かび、被団協の役割は今後、非常に重要なんだと感じました。核のない世界を実現していくために日本政府も核兵器禁止条約に批准してもらって、世界をリードしてほしい。我々も政府と一緒に頑張っていかなければいけないと思った」と話していました。