眞栄田郷敦は才能×努力の人、ブルーピリオド撮影に密着 (original) (raw)

映画「ブルーピリオド」撮影に密着、眞栄田郷敦は才能・努力が合わさり“すごいこと”に

2024年7月3日 9:30 23

眞栄田郷敦が主演を務める実写映画「ブルーピリオド」の撮影に、映画ナタリーが密着した。

山口つばさの同名マンガを映画化した本作は、高校生の矢口八虎が絵を描くことに魅せられ、東京藝術大学への受験に本気で挑む物語。眞栄田が八虎を演じ、高橋文哉が自分の“好き”について葛藤する同級生・ユカちゃんこと鮎川龍二、板垣李光人が驚異的な画力を持つ天才高校生・高橋世田介、桜田ひよりが美術部の先輩・森まるに扮した。

本作の撮影は、2023年6月半ばから7月末にかけて行われた。6月下旬のこの日は、神奈川県内の高校に眞栄田、高橋、桜田、美術講師・佐伯昌子役の薬師丸ひろ子、美術部員役のキャストが集まった。

まず撮影されたのは、八虎が龍二と佐伯から東京藝術大学の入学難易度を教わるシーン。八虎が同大学の受験を視野に入れる契機になる場面だ。役作りのため8kgほど減量し、セーラー服にスラックス、ポニーテール姿の高橋が現場に入ると、スタッフから「またかわいくなった」と声が上がる。眞栄田は、八虎の動きや心情に関して監督の萩原健太郎と話し合いを重ねたあと、撮影のスタート直前までセリフ練習を繰り返して役に没頭していく。彼はOKが出ると「藝大を目指しそうでした?」とスタッフに問い、萩原から「目指しそうだった!」との返答受けてうれしそうにほほえんだ。

続いて、八虎ら美術部員たちが部室内でそれぞれデッサンをするシーンへ。眞栄田は目で見たものを描写する能力に長けており、初めての絵画練習で描いた石膏像が高クオリティで、2度目はさらに上達していたという。しかし、ここでの八虎はビギナーのため「(絵が)うまい人の視線に見える」とモチーフへ向けるまなざしに指摘が入る場面も。眞栄田本人とスタッフたちは、この道40年以上の“レジェンド先生”である新宿美術学院(現:ena美術)の講師・海老澤功のアドバイスを踏まえて、初心者ならではの鉛筆の持ち方、視線、描き方などを1つひとつ検証しながら説得力のあるシーンを作り上げていった。

“絵を描く手元は吹替なし”が本作のテーマのため、眞栄田は2022年暮れ、ほかのキャストは2023年2、3月より木炭デッサンから練習を始め、キャラクターごとの絵の特性や画材に慣れていった。プロダクションデザインには美術に関わりのある人々が携わり、美術スタッフもほとんどが美術大学出身者だ。劇中の美術室は何もないところから石膏像、フェイクグリーン、美術の参考書、掲示板、各キャラクターのロッカーなどで飾り付けられ、画材を洗う水場の絵の具汚れも表現されている徹底ぶり。八虎が美術に魅了されるきっかけになった、100号サイズの天使の絵も置かれていた。

プロデューサーの近藤多聞によれば、主人公の八虎はコストパフォーマンス重視で器用に生きていたキャラクター。彼はそんな八虎が自らを変容させていく様子に惹かれ、「誰かの人生を変えられるような青春映画になるのではないか」との思いで企画を立案した。近藤は主演の眞栄田を「そもそもの才能と彼自身の努力が合わさって、すごいことになっている」と絶賛し、共同プロデューサーの沖貴子も「クラスの人気者ではあるけれど、努力家でストイックだという部分は、八虎と通じるところがある」と評する。

龍二役のキャスティングで重要視されていたのは、“誰から見ても美しいこと”、そして“自分がしっかりあるようでいて、揺らいでもいる龍二を表現できること”。それらを叶える存在が高橋だったそうで、プロデューサーの豊福陽子は「高橋さんは繊細なところも含めて、とても細やかで上手な芝居ができる方」と起用の決め手を明かす。さらに板垣については「ご自身もデジタルアートを発表されていて、群れずに天才として生きているところが“世田介でしかない”と思いました。そこにいるだけで世田介だと感じられるくらい、役そのものでした」と言及した。

「ブルーピリオド」は、8月9日より全国でロードショー。

(c)山口つばさ/講談社 (c)2024 映画「ブルーピリオド」製作委員会

映画「ブルーピリオド」本予告