【知られざる日本の奇観】 沖縄本島の穴場、慶座絶壁(ギーザバンタ) (original) (raw)
【知られざる日本の奇観】 沖縄本島の穴場、慶座絶壁(ギーザバンタ)
沖縄県糸満市摩文仁、修学旅行生も多く訪れる平和祈念公園(本島南部の「沖縄戦終焉の地」)。そのすぐ北東側の海岸線にあるのが、八重瀬町(やえせちょう)の慶座絶壁(ギーザバンタ)。滝が海に直接落下し、滝と海が繋がる絶景、そして奇観ですが、まだまだ穴場的な存在です。
平成12年頃、慶座地下ダムからの余剰水で立派な滝に!
慶座絶壁と書いてギーザバンタと読みますが、スラリと読める人は、かなりの沖縄ツウ(バンタ=崖)。
平和記念公園から車で5分ほどの位置にありながら、知る人ぞ知る存在です。
北側はザ・サザンリンクスゴルフクラブ、陸側には慶座地下ダムがあります。
摩文仁の丘一帯は、第四紀ジエラシアン期~チバニアン期(更新世)に海底で形成されたサンゴ礁由来の「琉球石灰岩」で、海岸は断崖に。
慶座絶壁(ギーザバンタ)は昔から琉球石灰岩の断層の間から豊富な地下水が湧き出していました。
この豊富な湧水を農業で活用できるように、長さ970mにわたって深さ53mものコンクリート製の止水壁を築いて慶座地下ダムを築いています。
周辺の琉球石灰岩の台地は、雨が降っても蒸発する割合40%、地面を伝い海へ流れる割合10%、地下にしみこむ割合50%で、大雨の際は洪水に、日照りだと水不足に悩まされていました。
地下浸透した水は、水を通さない島尻泥岩と琉球石灰岩の間を抜け、海に注ぎ出しているので、利用するには井戸を掘るくらいしか手段がありませんでした。
平成7年に完成した慶座地下ダムは、21万立方メートルの水を地下に湛えていますが、その余剰水が流れ落ちるのが、慶座絶壁(ギーザバンタ)なのです。
つまりは、平成7年のダム完成後、平成12年頃に滝の水量が増え、末広がりになって滝水が落ちる奇観が生まれたのです。
ザ・サザンリンクスゴルフクラブの脇(西側)の道を進むと海岸に突き当たる場所(慶座御嶽・ぎーざうたき)に駐車場があります。
断崖の上から急勾配の坂を下っていくと、海岸に降り立つことができ、平成7年以降、水量が増して立派な滝となった慶座絶壁(ギーザバンタ)を見上げることができます。
慶座御嶽は、貴重な水が湧く場所として崇められ、水撫(みじなでぃー)の儀式も行なわれていたという聖なる地。
さらには、沖縄戦でアメリカ軍に追い詰められた人たちが、断崖の洞窟に身を潜め、命を繋いだ水でもあったのです。
米軍がこの断崖をスーサイドクリフ( Suicide Cliff=自決の崖)と呼んでいますが、追い詰められた住民が身を投げたこともあったようです(サイパンの「バンザイクリフ」を知っている米兵が、その後上陸した喜屋武岬やギーザバンタが似た地形でそう呼んだのではないかとする説も)。
水神様が赤色を嫌い、赤色を身に着けて慶座絶壁(ギーザバンタ)を訪れると災いがあるとも伝えられるので、験(げん)を担ぐ人は、赤い服、リュックなどを避けるのがいいでしょう。
【知られざる日本の奇観】 沖縄本島の穴場、慶座絶壁(ギーザバンタ) | |
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所在地 | 沖縄県島尻郡八重瀬町安里 |
場所 | 慶座絶壁(ギーザバンタ) |
ドライブで | 那覇空港から約19km |
駐車場 | 10台/無料 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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