曽木発電所遺構 (original) (raw)

曽木発電所遺構

曽木発電所遺構

鹿児島県伊佐市を流れる川内川の沿いにあるレンガ建築の遺構が、曽木発電所遺構。「東洋のナイアガラ」と称される曽木の滝の1.5km下流側にあり、対岸を走る鹿児島県道404号(鶴田大口線)沿いに曽木発電所遺構展望公園が用意されています。例年渇水期の5月〜9月に姿を表します。

渇水期のみ、中世ヨーロッパの古城のような姿を表す

曽木発電所遺構

明治42年、野口遵(のぐちしたがう=現・チッソを中核とする日窒コンツェルンを一代で築いた事業王、「電気化学工業の父」)が設立した曾木電気の第二発電所として牛尾大口金山の電源供給のために建設された水力発電所が、曽木発電所(曽木第二水力発電所)。

東大電気工学科に学んだ野口遵は、国家の産業基盤を支えるものとして水力発電に高い関心を持っており、卒業後に福島県の郡山電灯会社で水力発電事業に携わっています。
その後、九州南部の豊富な水力に着目し、ドイツの企業であるシーメンスの東京支社に勤務する中で、電気によるカーバイド製造、さらにはカーバイドを原料とした窒素肥料の製造の研究を進めていました。

そうした野口のもとに、牛尾大口金山の排水用動力確保のために水力発電所を築きたいという話が持ちかけられ、曾木電気を設立したのです。
曽木発電所は、当時としては大規模な6700kW(最大出力)の電力を生み出し、余剰電力を使って水俣では日本窒素肥料(曾木電気と日本カーバイド商会が合併/現・チッソ)がカーバイト生産を開始。
やがて化学肥料の生産を始め、戦前における日本最大の化学会社へと発展したことから、曽木発電所は日本化学工場発祥の地ともいわれています。

曽木発電所は昭和40年に鶴田ダムの完成と同時にダム湖の大鶴湖に水没し、今ではダム湖水の少ない渇水期のみ中世ヨーロッパの古城のような姿を表します。

国の登録有形文化財に指定されるほか、「九州南部における産業創出とこれを支えた電源開発・物資輸送の歩みを物語る近代化産業遺産群」の経済産業省の「大口市の水力発電関連遺産」として近代化産業遺産にも認定。

曽木発電所遺構

曽木発電所遺構
名称 曽木発電所遺構/そぎはつでんしょいこう
所在地 鹿児島県伊佐市大口曽木
関連HP 伊佐市公式ホームページ
ドライブで 九州自動車道横川ICから約23km、えびのICから約32km
駐車場 曽木発電所遺構展望所駐車場を利用
問い合わせ 伊佐市伊佐PR課交流ビジネス推進係 TEL:0995-29-4113
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

曽木の滝

鶴田ダム(大鶴湖)

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