ポジティブじゃないパターンに懐かしさ (original) (raw)

今週のお題「懐かしいもの」を見かけ、特にそういったものもないかなと素通りし、ブログネタとしてメモしていたメモアプリを眺めていたところ、カウントダウンTVについてのメモがあったので踵を返し戻ってきた。

カウントダウンTVは昔司会が存在していて、それは山田邦子だったということを覚えているひとはどれほどいるだろうか。と、ドヤってみたものの、ウィキペディアを見るとそれはカウントダウンTVの前身番組となる「突然バラエティー速報!!COUNT DOWN100」だったようなのでどうも別番組だったようだ。いや、それはよい。それ自体は懐かしいけど番組を混同する程度には記憶がおぼろげになっているので置いておこう。

では何が懐かしいかといえば、その番組で起こったひとつのエピソードである。山田邦子が司会をしていた頃の番組では、ゲストにミュージシャンなどを招き、スタジオトークをし、その合間に100位から1位へカウントダウンをするというスタイルであった。そしてカウントダウンコーナーに移る際に決めフリが存在したのだ。

それは「カウント〜 ダウン!!」のカウント〜の部分で腕をまわし、ダウン!!の部分で指を天井に指すみたいな動きであった。誰がどう見てもお調子者のとるポーズであり、子どもの頃の僕ですら「うわ〜…」と思うものだったのだけれど、ゲスト出演するミュージシャンは多少硬派なイメージのあるミュージシャンであってもそのポーズを山田邦子(と、さっき調べたら渡辺正行)と楽しげに行っていたのである。

しかし、1度だけ、ただの1度だけその一切を拒否したミュージシャンがいた。

宇都宮隆である。TMネットワークのボーカルT.UTSU、そのひとは番組中何度となく訪れる決めフリのタイミングで1度たりともそのフリを行わなかったのだ。最初は「まあ…そういうのやるひとじゃないしな…」と思ったものの、フリのタイミングの回数を重ねるごとにそのあまりの地蔵っぷりにこちらが変な汗をかくという事態となっていった。周りの演者とのテンションのコントラストがそうさせたのだろう。最終的には周りの演者が陽気にポーズをとってるなかよそ見までしている始末。

事前に了承済みであのスタンスであったのか、本番でいきなりやらず何度お願いしても最後までやらなかったのかがいまだに気になるところである。このときT.UTSUはソロで出演していた。俳優が番宣でバラエティ番組出演するポジションの明らかなプロモーションのための出演であったと思う。いくら当時TMが人気絶頂であったとしても、番組の中でもわりと重要視されていそうなあの決めフリをやらない前提で出演ができるものなんだろうか。「うちのUTSUを出したきゃあんなふざけたポーズとらすんじゃないよ」と事務所側のオラオラスタイルが通用した時代であった可能性は大いにあるけれども。調べたらこのスタイルでの放送は1992年秋から1993年の春頃までの半年間の放送だったようだ。30年か…30年も覚えているということはよほど心に引っかかりを感じているんだろうな、いまだに。

そんな懐かしい話。懐かしいというかただの思い出深い出来事だし、なんなら今思い出しても心がきゅっとなるような記憶ではあるけれども、大枠では「懐かしい」になるんじゃないかと思った次第。ただの共感性羞恥の話だったのかもしれないので本日はここらで。