「小池劇場」今回は幕が上がらず 「ファーストの会」は衆院選への擁立を断念 照準はもう来年夏の都議選か(2024年10月13日『東京新聞』) (original) (raw)

東京都の小池百合子知事(72)が特別顧問を務める地域政党都民ファーストの会」が国政進出を目指してつくった「ファーストの会」が、国政への足掛かりを得られずにいる。今回の衆院選で複数の候補者を擁立しようと動いたが、公示4日前の11日に独自候補の擁立断念を発表。世間の耳目を集めてきた「小池劇場」は影を潜める。

◆2022年参院選、24年4月の衆院補選では候補を擁立

定例記者会見で話す小池知事=11日、東京都庁で

定例記者会見で話す小池知事=11日、東京都庁

「ファーストの会でお決めになること。私は都民ファの特別顧問ですが、ファーストの会の特別顧問は務めていません」。擁立見送りについて、小池知事は11日の定例記者会見で淡々と述べた。同会への助言なども否定。今年4月の衆院東京15区補選で、出馬し落選したファーストの会副代表の乙武洋匡氏を大々的に応援したのに比べると、素っ気ない態度に映る。

小池氏自身の国政復帰は「もうないでしょう」と、他党のベテラン都議はみる。小池氏は都知事選初当選から1年強たった2017年秋、国政新党「希望の党」を設立して衆院選に多数の候補者を擁立したが、惨敗した。

ファーストの会は、都民ファの都議らが国政進出のため、前回衆院選直前の2021年10月に設立を発表。ただ、この時は候補者を擁立できなかった。2022年7月の参院選は、当時の代表で小池氏の「妹分」とも称される荒木千陽都議が出馬し、小池氏も応援に入ったが、落選。今年4月の衆院補選に出た乙武氏も9人中5位の得票数にとどまった。

◆国民民主党を支援「しっかり議席を取っていただいて」

国政選挙の敗戦が続く中、今回の衆院選の動向が注目されたが、独自候補擁立を見送って国民民主党を支援する方針を発表。11日に会見した都民ファの森村隆行代表は「国への働きかけを強めなければいけない状況。国民民主党さんにしっかり議席を取っていただいて、私どもも国政における影響力を発揮していきたい」と話した。

森村氏は昨年、都内の30選挙区のうち最大15選挙区での擁立も視野に入れていたが、早期解散などで調整ができなかったという。来夏には都議選が控える。都議会(定数127)での都民ファ議席は、第1党に躍進した17年の55から27まで半減している。都民ファのある都議は「国政で議席を取る壁は高い。今は都議選への足固めを優先すべきでは」と漏らした。(奥野斐、押川恵理子)