92.大正13年5月1日から5月3日まで。火災保険の話。東高ハーモニカクラブ同好会演奏会 (original) (raw)
5月1日(木)曇り
今朝2時半ごろ半鐘が聞こえた。寺の下方面の火事があったのだ。
本日の朝刊に火保支払いの広告が出た。支払い開始日は5日よりにて、その前に損害調書を会社に提出せねばならぬ。調書提出日は本日より来月末日までで、我が家にては三菱海上保険株式会社(横浜代理店。横浜市山下町70。三菱商事株式会社横浜支店)と帝国海上運送火災保険株式会社(横浜駐在所。横浜市元浜町2-15大谷商店内)に加入す。総額9000円。
規矩士兄は今日学校に出ず。午前中ピアノ練習をす。午後、時澤(妹)氏来たる。規矩士兄、氏方にピアノを検査に行く。
正則はまた村田先生欠席につき、1時間半ばかり休む。2時半より牛山先生来たる。靖国神社の花火の音が聞こえる。
隣の簗氏、印鑑証明書を役場に届けるに知人の氏名および印、必要により父に調印を願いに来たが、帰りて後藤氏に行き、蓄音機を聞く。
敬一兄は学校に田村指導員が来たので、遅く帰る。
今夜はなんとなく夏の夜の感じがした。相変わらず蛙の鳴き声が盛んにする。
火災保険の支払いの件で、父敬義氏が動いています。
この関東大震災の火災保険は、社会問題化したようです。三郎氏が新聞記事をせっせと写していましたね。
5月2日(金)曇り
朝は猛烈に靄が降って、田坂方の方が見えぬ。
余は役場前の杉江代書方に行ったが、未だ早いので寝ていた。父は保険申出の件で、横浜(帝国三菱)に行く。
敬一兄は学校の帰りに小山先生宅に寄る。
夜、規矩士兄ピアノ練習す。
本日正則の月謝5月分を出す。
5月3日(土)
敬一兄は東高日。少し寒くなった。
父は保険の件で、横浜に行く。
午前中、木村、大谷、市川、朝比奈、副島、西村(また来たる)氏、稽古に来たる。木村氏は奈良漬けを下さる。日曜日の音楽会に行った由。午後、神奈川の小倉氏新に来たる。史は4月に稽古に来たる予定であったが、病気のため、本日よりとなった由。唐饅頭を下さる。
また、黒澤氏の妹も来週より来たると。
東高には今日、ハモニカの音楽会があったと。」
そして東高のハーモニカ演奏会の模様が、三郎氏の日記にありました。
『東京高等学校史』293ページの「音楽部」の稿に「ハーモニカバンド」のメンバーの名前がある。出淵さん、山本さん、伊藤さん、森岡さん、小川さん、篠島さん.....。
この日は敬一兄も東高に出校。おそらく聴いたのではと思います。
「校内演奏で、カルテット、アンダンテ・カンタービレを吹いた」と言ったと書いてある。
名前はないですが、朝比奈隆も一緒に出演して吹いたのかと思います。