映画『種まく旅人〜華蓮のかがやき〜』 (original) (raw)
プロダクションノート
- 2019年7月28日 情景撮影、ロケハン
井上監督、カメラマンと共に初めてのれんこん畑へ向かいます。目的はロケ地探しとれんこんの花が開く瞬間を撮影する事。れんこんの花は夏の早朝に咲き始め、昼には閉じてしまいます。夜明け前に咲きそうな蕾を照準にして、カメラを据えて待ちます。ドキドキしながら待っていると隣の蕾が開花…。なかなか難しい…。明日も頑張ります。 - 2019年7月29日
夏のれんこん畑の風景を撮影しながら、今日も開花狙いの撮影です。咲きそうな蕾へカメラを向けて祈っているとゆっくりと見事に開花!朝日に照らされた真っ白な花は、言葉にできないほどの美しさでした。花が咲くと土の中のれんこんも大きくなり始めるそうです。スタッフたちも9月下旬のクランクインに向かって準備していきます。 - 2019年8月 撮影準備が続く日々
ロケハンや衣装合わせなど、撮影に向けて準備する毎日が続きます。特に今回は農業女子が大きなテーマの一つ。実用的でおしゃれな農業スタイルを探して、思考錯誤しながら衣装合わせを進めていきます。そんな中、助監督さんたちはれんこん農業を学ぶために、金沢入りしれんこん農家へ伺います。実際のれんこん畑に入ってみると、想像以上に歩きづらく、全身泥まみれに。歩くだけでも難しいれんこん畑、本当に撮影できるのでしょうか… - 2019年9月 クランクイン直前
ロケハンが続く毎日。広大な金沢・河北潟のれんこん畑を見て回り、ロケ地を決めていきます。この河北潟干拓地と小坂地区で栽培されているのが今作の題材である「加賀れんこん」です。8月から収穫、出荷が始まり、次の年の5月まで出荷されるそうです。胸まで浸かっての収穫作業を見せてもらいます。真冬の収穫を想像すると本当に大変な作業だと改めて思い知らされます。 - 2019年9月21日 クランクイン
遂に撮影開始です。最初は大阪の堺市での撮影となります。良一の通勤シーンや凛とのデートシーンを撮影していきます。美しい夕日が映える漁港シーンでの撮影で初日は無事に終了。 - 2019年9月23日
あっという間に堺市での撮影最終日、最後は実際の堺市役所でのロケーション撮影です。ロビーから窓口まで広くお借りし、市の職員の方々にも参加してもらって大規模な撮影になりました。堺市のみなさま、大変お世話になりました。終了後、金沢へと移動していきます。 - 2019年9月25日 金沢ロケ開始
高津農園れんこん畑のシーンから金沢での撮影スタートです。晴天の空の下、キャスト、スタッフみんな、恐る恐るれんこん畑へ入っていきます。重い機材を持ちながらの泥の中、一歩動くだけで相当な負担。なかなか撮影が進みません。なんとか予定シーンを撮りきりましたが、みんな疲労困憊…。 - 2019年9月26日
日中は高津農園・事務所シーンを撮影し、夜は金沢市内の主計町茶屋街での撮影。主計町茶屋街は浅野川沿いに昔ながらの茶屋が立ち並び、風情豊かな街並みです。お店のご協力を得てのライティングが活かされ、栗山千明さん演じる恵子と平岡祐太さん演じる良一のシーンが、情緒たっぷりの場面となりました。 - 2019年9月27日〜29日 れんこん畑の日々
れんこん畑での撮影が続きます。泥の中、最初は思うように動けませんでしたが、少しずつ動けるようになってきました。農家の方に教わった「抜き足差し足」がれんこん畑での移動の基本です。 - 2019年9月30日
今日はれんこん畑を離れて金沢市内各所でのロケ。金沢市中央卸売市場や金沢駅、金沢商工会議所にお邪魔して撮影を進めていきます。撮影スケジュールはここでようやく折り返し地点。休みを一日挟んで後半戦の撮影となります。 - 2019年10月2日
クワ掘りのれんこん畑をお借りして撮影。クワ掘りは昔ながらの収穫方法で、水を抜いた泥の畑に入り、クワで掘っていく収穫方法です。昔気質のれんこん農家である山田家はクワ掘りを採用しました。竹市役の綿引勝彦さんに、クワ掘りの練習を積んで頂き、撮影に挑んでもらいました。 - 2019年10月3日
市内の古民家をお借りして山田家のシーン。築100年以上の立派な住居をお借りして撮影します。室内の塗り壁が特徴的で、弁柄色や群青色という赤、青の壁になっていました。文字だけでみると突飛に見えるかもしれませんが実際に見ると非常に上品で美しい色合いでした。 - 2019年10月6日 クランクアップ
いよいよ撮影最終日。天候にも恵まれ、また事故や怪我もなく最終日まで、たどり着きました。最後は山田家のれんこん畑での撮影となりました。ここまで来るとみんなサクサクとれんこん畑の中を移動しています。また広大な畑を撮影するため、ドローンを使って撮影します。撮影した映像を見ると、どこまでも続く河北潟の雄大さに圧倒されます。そして待望のクランクアップ!大きな達成感と撮影が終わってしまう寂寥感があります。金沢の農家のみなさま、ロケ地のみなさま、出演してくださったキャストのみなさま、大変お世話になりました! - 2019年11月〜12月 仕上げ作業 パート1
監督と編集部さんによる編集作業が続きます。撮影したシーンを並べて繋げて行く作業です。試行錯誤し、何度も見返しては、進めていきます。編集と平行してVFX作業も進行中です。撮影時期は9月〜10月と秋でしたが、夏の場面や春の場面はどうするか。夏と秋ではれんこん畑が一変しています。夏は蓮の葉が人の高さより高く伸び、一面緑色に染まっています。冬になると葉は枯れ落ちて土色に、地中ではれんこんが大きく育っています。劇中のシーンはすべて秋での撮影でしたのでVFXを使って出来るだけ違和感なく合成していきます。撮影時には枯れていた畑を一面の蓮の葉にするという難しい作業ですが、しっくりいくよう上手く合成してくれました。蓮の葉で覆いつくされた、夏の畑の風景が完成です。 - 2020年1月〜2月 仕上げ作業 パート2
まだまだ仕上げ作業が続きます。カメラマンによるグレーディングと呼ばれる色補正をワンシーンごとに作業していきます。同時に音響効果チームと共に冬の河北潟のれんこん畑へ向かいます。目的は効果音収録です。久しぶりのれんこん畑、収穫期ということもあり、深夜でもたくさんの方々が作業されています。シーンに合わせた効果音を、採れたてのれんこんをお借りして録音していきます。それにしても寒い…。
ここからファイナルミックスと呼ばれる映像に音をつけてゆく作業に入ります。 - 2020年2月5日 ファイナルミックス
いよいよファイナルミックス作業です。スクリーンに流れる映像に合わせてセリフ、効果音、音楽をつけていきます。監督の演出意図をもとに、ボリュームやバランスを調整し、丹念に作り込んでいきます。効果音や音楽を変えるだけでガラリと印象が変わります。まさに映画に魂が入る瞬間です! - 2020年2月9日 完成へ
ファイナルミックス最終日。水音がつき、泥が跳ねる音がつき、そして壮大なテーマソングが流れる…最終的にすべての音が揃ったとき、映画の完成となります。準備から撮影、そして仕上げと長い期間でしたが無事に完成となりました。心地よい疲労感と大きな達成感に包まれて、また改めて映画の魅力を感じることができました。ぜひキャスト、スタッフで作り上げた渾身の世界観をご覧になっていただければと思います。
れんこん豆知識
水中で育つ水生植物。粘土質の土に植え付け、たっぷりと日に当てて育てます。れんこんが好むのは、25~30度の高温の環境なのです。水温が15度以上になる3月下旬~4月頃が種まきの時期。種れんこんと呼ばれる根茎の一部を水の底の地面に植え付けます。収穫は、石川では8月~翌年5月頃(通常は10~12月)。収穫方法は2つ。クワなどにより手作業で土を掘りながられんこんを掘り穫るクワ掘りと呼ばれる方法と、ジェットポンプからの噴出水で土を動かしながら手探りでれんこんを掘り穫る水掘りがあります。
農業が抱える現実
農業は衰退産業だと言われ続け、後継者不足、耕作放棄地の増加、高齢化などの問題を抱え、平成30年には、農業に就業する人口が200万人をきり、農林水産省の調査によると175万人と報告されている。さらに農業に就業する平均年齢は66.8歳と、深刻な高齢化が進んでいるといえる。その反面、農業の年間生産額は減少しているものの年間8兆円以上の生産額があり、近年緩やかではあるが、回復傾向を見せている。これは、高齢化で後継者に悩む農家が増え続ける一方で、49歳以下の若手の農業への参入が効果を上げている。若手が支える農家は、各地で土地の集約化が進み、耕作面積や経営規模が拡大しているという現象がある。農林水産省の調査によると、若手農家の耕作面積が20haを超える。
農家は59.5%。2005年から2015年までにその面積は約1.5倍にまで拡大している。
石川県観光PRマスコットキャラクター「ひゃくまんさん」
2013年に北陸新幹線の金沢駅開業を首都圏でPRするため誕生。
石川県の郷土玩具である「加賀八幡起上り」をモチーフに、加賀友禅柄や九谷五彩を身にまとい、金沢金箔が惜しげもなく使用されたその姿はまさに豪華絢爛。石川県の観光地や名産品が多数描かれ、背中には大きく「石川県」と書かれている。
石川県をPRするために、首都圏や石川県内を中心に、日々活動している。
本作にて遂に映画デビューを果たした。
「ひゃくまんさん」公式サイト:https://hyakumansan.jp/