焼き芋=冷凍<紅はるか (original) (raw)

今週のお題「秋の味覚」

季節が秋になるまえから当然のように食べていた。

焼き芋。

職場に行かない日以外はそのスーパーに立ち寄り、帰宅時は必ずといっていいほどその場所を経由して帰っていた。入り口を入り、買い物かごを腕に掛けてもう一度入り口を過ぎると左手にリヤカーの荷台のような、軽トラックの荷台に演出されるような焼き芋ディスプレイが設置してある。正確なお値段は忘れてしまったが安価だと認識できるので日々購入していたはずだ。適当に並べられた焼き芋の中には未だ温度を保ち温かい雰囲気の物もある。小ぶりだがそれが良かったのかもしれない。

スーパーを共有する職場の後輩に焼き芋を購入していることがバレた時、彼女はこのスーパーから国道を約500m程西へ行ったホームセンターの駐車場に無人販売をしている焼き芋(冷凍)が存在することを教えてくれた。

「私は芋はそこで買います。美味しいんですよ。」

場所も、直売所の見た目も存じていたが、足を運び購入したことはなかった。その場所は国道沿いであるが故に夕方、帰宅ラッシュに入る前でも出入りが面倒になるほど西へ東へ行きかう車で込み合うからだ。

しかし、よく考えてみればその無人直売所へは国道から入店し、帰りは北側へ…ホームセンターの駐車場の裏口から出て行けばわたしの家には近道になり、帰宅ラッシュの渋滞にも巻き込まれることはないことを察した。あわせて休みの日に足を向ける事でその問題からはいともたやすく回避可能なことをいまさら理解した。

無人販売所はプレハブで出来ているという表現が正しいかはわからないが、左へスライドする扉を開け足を踏み入れると敷地は畳で約3畳ほどか。入り口から向かって右手に180cmぐらいの高さの観音開きの業務用冷蔵庫(冷凍機?)が設置してある。右は500円の棚。左は1000円の棚。どちらも税込み。支払いは店内左奥に設置してある募金箱のような形状の箱へ任意で500円、または1000円を投入することで会計処理と成る。当然だがお釣りは対応されない。無人なのだから。自動精算機なるものはなく。購入金額丁度でしか支払うことは不可能だ。店内右手頭上の角には募金箱と芋がディスプレイされたフリーザーを底辺とし、カメラで点を結ぶと二等辺三角形になるような支点で配置されている。

冷凍焼きいも【紅はるか】はとても濃厚で密度が濃い。スーパーで買って食べる焼き芋とは少し質が違った。焼いたことで発生する芋の蜜も量が多く、誉める形で手に、指にべたつくこと多し。冷凍で買ってきた【紅はるか】は当たり前に凍っているので家に持って帰ってきても保管場所は冷凍庫だ。

夏の間はこれを冷凍庫から出しアイスのように味わうことがとても新鮮だった。焼き芋アイスと言える。冷凍庫から取り出し、自然解凍をしながら冷たい焼き芋を味わった。シャリシャリする部分もあったり、不思議と贅沢感があった。

季節が変わり、少し肌寒い日が登場したりするようになった。割合としては未だ暑い日があることのほうが目立つ。

冷凍していた焼き芋を自然解凍、長時間放置してしまうと水分を駄々洩れさせてしまい食べづらさを演出してしまうことがわかった。この冷凍焼きいもを美味しく冷たい状態ではなく楽しむにはどうしたら良いのかを直ぐに考案することができなかった。

何故だかはわからない。

少し日を置き、なんとなく頭を悩ませ当たり前に振り返ることができた。

電子レンジで温める。

なぜこのことが直ぐにわからなかったのかは不明だが、電子レンジで冷凍焼きいもを温めることで理想の柔らかさと思い描いた温度で【紅はるか】を食すことが叶った。

既に秋の味覚と限定される物でなくなってしまったかもしれない。

焼き芋。

冷凍。

紅はるか。