2024年9月に行った舞台・ステージ (original) (raw)

先日ここのブログに、この秋冬は萩ちゃんが出演しなくても、色んな舞台を見に行きたいな~っていうことを書きましたけど、月1くらいで簡単に感想を記録しておきたいと思います。このところ、母の介護もうっすらとですが始まっていて、落ち着かない状況ではあるので、どれだけ続くかはわからないとは思いますが、ゆるりと続けていけたらです・・・。

2024年9月1日:舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』@東京・TBS赤坂ACTシアター

ロン役の矢崎広さんをお目当てに、「初めての」ハリーポッターシリーズを体験してきました!最上階の最後列でしたが、お値打ちな7千円のお席!もちろん遠くはありましたが、十分に楽しめました。SS席は17000円、S席が150000円なので初心者にはありがたいですよねー。

初めての、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』。久しぶりのACTシアター。劇場入りましたよ。眺めは上々!楽しんできますー。#ハリポタ舞台 pic.twitter.com/5NCS5w96QF

— TANUSUN (@DrumofK) 2024年9月1日

ダイナミックな舞台装置やワイヤーアクション、色んな魔法演出、そういうところもほんと楽しかったのですが、何より二転三転しつつ、色んな過去のしがらみを解きほぐしていくストーリーが大層よかったです!子どもたちの成長も、ハリーたちの親としての成長もままならずぶつかり合いながらの成長物語。「上手くいっていたはずなのに、なんだか上手く行ってない現在」というのは最近、よくあるテーマだと思うのですが、ド直球にそんなお話でした。

今まで、興味はありながらもなかなか手を出せなかったシリーズだったのですが、年齢的にも個人的にはこういう手触りなだったのが逆に親しみが湧いたのかもしれません。そんな訳であまり原作を知らないでのもの言いになりますが、これまでの、そしてこのストーリーをまとめあげる帰結点であり新たなスタート地点という描き方が本当に好きでした。人生において、一番大事なもの。それは「仲間」。自分自身というアイデンティティを作り上げる上で、孤独の悪影響から救う必須のもの。そして、自分の人生の道しるべになり、歴史を作り上げるもの。それは「仲間」(頭の中で、「仲間がいるよぉぉ」というワンピースの台詞が萩ちゃんの声で何度も響きました)。いつでもどこでもそしだれであっても、観客の私たちも見習うべき結末の描き方だったなあと・・。

そして、人の成長はほんの少しずつというテーマもとてもリアリティが感じられて。それにしても今日の息子2人。佐藤さんアルバスと西野さんスコーピウスの弱さと反抗ぶりとでもこうなんとか自分や色々な歪みを変えていきたいっていう少年たちの等身大の成長とか揺れとかが凄くよかったです。実質主人公だと思うけれど、イキイキと演じられていななあと。吉沢さんハリーの等身大さも好きでした。お話に興味津々だったのもあり、3時間40分、決して長くない感じでした(まあディスグーニー行き過ぎ民なのでw)。2階の前列が割と空いてる感じだったので、そのあたりが舞台全体も見れて、ある程度近くていいのかなあって思いましたよ~。
さて、お目当ての矢崎さんロン、出番はそこまでなんですけれど、ユーモラスでちょっと肩の力が抜けてて、でも細やかに演じられてて凄く好きでした~。ほんとロンさん夫婦がラブラブなのが二人から沸き立つようで。テンペストの時もそうでしたが、感情とか感性を身からお香のようにふわーっとにじむ感じが矢崎さんならではだなあと。単にコメディリリーフ的な描き方だけでない、とても密で細やかな癒し空間でしたー。矢崎ロンさん主役のハリポタ舞台見たいなあ~。本当に素晴らしい実力の俳優さん、もっともっと出番が見たかったです~というのもまた本音(笑。また素敵な矢崎さんの舞台に出会えますように!

2024年9月16日 ディスグーニーpresents 「チル・モラトリアム」@シアターH

大好きなしょう兄こと鈴木勝吾さんの朗読劇、そして西田大輔さんもご出演とのことで、初めてのシアターHに行ってきました。いやー、遠かったけれど、そして朗読劇なのに異例の135分公演だったけれど、すっごく良かったです。色んな意味で貴重な舞台を見せてもらえたなあと。

— ディスグーニー (@disgoonie) 2024年9月16日

到着したよー!まだ新しい匂いのするシアターH!#チルモラ pic.twitter.com/a4SGKT6HPB

— TANUSUN (@DrumofK) 2024年9月16日

お昼公演は声優の林さんと勝吾さんの組み合わせ。ある重大事件の犯人であると目されている詐欺師のヤコブ(勝吾さん)の隠された記憶を探るべく、精神科医であり多重人格者でもあるジェルソミーナ(林さん)が挑んでいく物語。実はヤコブも多重人格者であり、双方に立ち現れる多数の人格は一体何を示そうとしているのか、明らかにするのか。昨年見た舞台永魚などのお魚シリーズでも複雑な心理的歴史ミステリーを描いていた西田さんらしい複雑で、一回聞いただけでは到底筋は追えないのに、その複雑さを超えて、登場人物たちの切ない、そして狂おしい感情に打ちのめされしてまう。そして、「クラウン」という役名の西田さんと良子さん。ヤコブとジェルソミーナの対決を黒子的に支えつつも、一方で社会を変えるための実験をネズミを使って行っていく男と、それに寄り添いながらも批判的に見つめている女。ふたつの物語はまったく独立しているように見えながらも、ある一転ですーっと収束する。いや、ほんと西田さんらしい演劇でした。

そう、台本を持っているだけで、素晴らしい舞台装置的にも、衣装的にも、そして役者の動き的にも、本当に朗読劇を超えていて。いや、こういうのを実行しちゃう西田さんにも心から驚嘆したし、やっぱり役者で舞台の上に立っている西田さんの艶と妙な説得力のあるお芝居に心から驚嘆しましたよ。そして、勝吾さんと林さんの感情を正面からぶつけてくるような演技、そして繊細ででもエネルギッシュで骨太な良子さんの感情溢れる演技に、思っていた以上に感動しちゃって何度も泣いちゃいました。愛と未来のお話で、壁を越えるお話。いつも通りめちゃ笑えるシーンもいっぱいだったし、完成度高かったなあと。最後に勝吾さんの天に響く「ご来場、誠にありがとうございました!」も聞けて、本当に良かった~。萩ちゃんも早く舞台に戻ってきて~!(心の叫び)。

(あと余談ですが、今回凄く思ったのは、萩ちゃんの今のお芝居はセリフ回しとか身のこなし方とか色々と良子さんを目指しているような感じがしたし、ながつの豪胆な感じは西田さんのお芝居譲りかなーって思ったり。)

そして、夜公演、ジェルソミーナ役に声優の加藤さん、そしてヤコブ役に我らが野島健児さんのキャスティングとなりました。1度、この複雑な物語を体験した後だったこともあり、そして加藤さんと野島さんの演じ分けであったり、感情面よりも叙述的な面に力を置いた朗読もあってか、本当に頭にすーっとお話が入ってきました。クラウンたちが扱っていたのはネズミだったけれど、実のところ、女クラウンが世界の終わりを超えるべく逃がした2匹のネズミが、ジェルソミーナとヤコブ(=ポヤンスキー)であったのかもしれないと。いつか離れていても、色んな事件や色んな事柄に翻弄されて、二人の距離と心が引き裂かれても、どこかで見ている人が、どこかで修復を願っている人がいて、その二つの流れは相互に影響しあっている・・そんな構造がくっきり見させてもらった気がします。

俳優はその身体を使って「感情」を表現するし、声優はその声を使って「事象」を叙述する。同じ台本で、クラウンのお二人はほぼ同じ演技だと思うんですが、メインキャストのパフォーマンスにより伝わってくるものはずいぶん違う。声優さんの技術はまだまだ自分の中でわかっていないところがあるので、適当なことを書いているかもしれませんが、声優さんが持っている「叙述力」、それがどういうところから現れてくるのか凄く知りたくなった次第です(先日のアニメからくりサーカス林原めぐみさんと古川登志夫さんにも近いものを感じました)。

総じて、ままならない現実や心の中や過去にまっすぐ向き合うお話で、そこから未来への世界が広がっていくというか、一筋の道が見えてくるみたいなお話だったなあとしみじみと。自分たちの「今」や過去のあゆみにしっかりと向き合うというのはうちの子たちにも通じるところだから、本当にしみじみとしちゃった・・。それにしても、今日は良子さんと西田さんがペアでお芝居することが多くって、本当にいいものを見せていたいただきました。そして、再度書いちゃうけれど、最後に勝吾さんの天に響く「ご来場、誠にありがとうございました!」も聞けて、本当に良かったです。だから、舞台に私は行くのだ・・・とつい思いましたよ~。