小梅茶荘 (original) (raw)
ようやくですよ、ようやく。
熟茶が美味しい季節…いやちょっと語弊がありますな。熟茶はいつでも美味しいです。
熟茶が飲みたくなる季節がやってまいりました。
今日は醇普と布朗大樹、2種類の熟茶を飲みます。
エントリーモデルと書くとどこか軽んじてるような響きがありますが、どっこいどちらもコストパフォーマンスが高いスグレモノです。
勐海味、福今特制、普洱王と上位モデルみたいな熟茶も勿論どれも美味しいのですが、番頭が熟茶を商売抜き(ブログ用じゃないって事っす)で飲む時は5回に4回はこのどちらかです。美味しいし、淹れやすいし、ゴクゴク気軽に飲めるんで。
左が布朗大樹。2018年のお茶です。右の醇普は2013年。やや明るい赤茶色の醇普に対して布朗大樹は濃く沈んだ茶緑色。熟茶なので一つ一つの茶葉は見えにくいですが布朗大樹のほうが葉は大きいです。どちらも勐海の産ですが、醇普は拼配(ブレンド)ぽく、布朗大樹は単一産地のようです。熟茶の場合はその要素は優劣に直結しないのであまり気にしません。
適量を取って使います。↑の量の半分くらいで十分です。だいたい5グラムあれば1.5リットル、ペース配分を間違えなければ2リットル近く出ます。
グラグラ、出来るだけ熱いお湯で淹れます。最初の0煎目で固まった茶葉が解れる準備体操をしてあげます。ウォームアップですな。
1煎目は若干長めに。固まってる分ちょいとだけ、プラス5秒くらい余計に待ってから出しました。
茶水色は右の醇普のほうが若干濃く、布朗大樹のほうが透明度が高いように見えます。これは製茶時の渥堆の加減に由来しています。
1煎目、2煎目あたりはまだ茶葉が解れていないので両者の特徴ははっきりと分かれません。
コクがあるけど少しだけ日なたの香りがする醇普に対し、布朗大樹はクリアでクセが無いすっきり系。醇普のほうがもともと甘みが強く出ていたのですが、今日飲んだ限りでは口に入った時の甘みは布朗大樹に強く感じました。
煎を重ねて3,4煎目くらいからお互いの本領発揮。地金が出てきました。香り重視のお茶は最初の煎にピークが来ますが、熟茶はピークが遅く、かつピーク後の減衰が緩やかで長く続きます。両者の持ち味もこのあたりからより鮮明に分かれます。
布朗大樹はすっきりとしたクセの無い飲み口。ウッディでヨモギの葉のような少しスパイシーな香りもします。落ち着く味わいと透明感のある飲みやすさ。熟茶苦手なんだよねえ、という人にも是非飲んでいただきたい優等生です。大樹の葉らしいたっぷりとした厚みのある熟茶です。
醇普は3,4煎目になって日なたっぽい(≒ほこりっぽい)クセは控え目になったものの、やはり個性の強い飲み口。熟茶らしい熟茶、って感じの味わいです。甘草のようなハーブっぽい甘さと、ほっこりする素朴な余韻のする熟茶です。11年経ってるつうのにまだ若干やんちゃの面影が残っています。
脅威の煎持ち。上質な、例えば易武古樹の紅茶や大雪山の白茶のような細く長い煎の続き方というよりは、往生際の悪い煎持ちとでも言いましょうか。
「お前らいい加減にしろ!」と理不尽にキレそうになるほどいつまでも出続けます。今日はブログ用に2種類いっぺんに淹れましたが、これやるとヘタすると致死量、くらいの量が出ます。ま、美味しいから結局飲んじゃうんですけど。
お湯沸かしてはお茶を淹れ、粗熱取れたら空のペットボトルに移し、また淹れて冷まして…。賽の河原のような作業を経てようやく葉底までたどりつきました。いや、まだ出そうではありますが、一日仕事になっちゃうんでこのあたりで手打ち。
ようやく薄くなった何煎目か判らないお茶も、熟茶はちゃんと美味しく飲めます。
たぶん一人で飲むなら3グラムで十分っすな。そうやって考えると餅茶357gだからええと、100回分以上になるのかあ。
くどいようですが、気軽にゴクゴク飲めてこれだけ美味しいければもう十分です。安かろう悪かろうとは真逆の、醇普布朗大樹どちらも良い熟茶だと自信を持って断言できます。どちらが好きかは飲み比べていただければ。とりあえず50gずつからお試しいただいて気に入ったほうを餅茶買いしても、両方揃えて気分で飲み分けていただいても。
どっちも「よし、これを10年でも15年でも売っていきましょう」と、ものすごい(ウチとしては)量を買い付けた自信の2つです。醇普2013年、その後の布朗大樹が2018年。5年に一度の逸材って事ですね。それでいくと2023年つまり去年に次の一枚を見つけてないといけないんですが。
なかなかこの2つに匹敵する次回作ってのが見つからなくて困ってます。それだけ醇普と布朗大樹の出来が良いって事っすね。
おやつの時間も熟茶。もうお腹たっぷんたっぷん。