気まぐれ感想文 (original) (raw)

ジャニーズのファンは読まない方がいいかもしれません。

一昨日、ジャニーズ性加害問題について外部専門家による会見が行われ、ジャニーズ事務所の公式サイトでは調査報告書が公開されました。

約70枚に渡るものでしたが、ざっと読む限り納得できる内容だったと思います。

噂話が専門家の聞き取りによって公式のものになった、という感じ。

ジャニーズが設置したチームだったので事務所に忖度した提言になるかと思いきや、そうはならなかったいうことで、大きな前進となりました。

この報告書が出てもジャニーさんの無実を訴えてるファンの方がいるんだけど、もはや「証言だけじゃないか」というのは効かないように思います。

「被害者と名乗る人達はウソをついている」と言いたいのでしょうが、訴え出てる人数が多いですし、作り話って実は難しいですからね。

内容にあやふやなところがあるというなら、それこそが子供時代の記憶だろうと思うし、ジャニーさんの事情についても、事務所内部の人の方がファンよりもジャニーさんには詳しいのですから、ファンの言う疑問点や矛盾点も彼らへの聞き取りによって既にクリアになっているのではと思います。

普段は優しい人だったというのも、犯した罪には関係ないですしね。

改めてジャニーズってまともな会社組織じゃなかったんだなと、報告書を読んで思わされました。

Jr.の体制って無茶苦茶だし、万事がジャニーさん次第の運営。

ジャニーさんの葬儀の時、なんでそこまで彼のカリスマを称えるんだろう？と疑問しかなかったけど、本当に彼のカリスマしかなかった、それだけが会社を動かしタレントを動かしていたとわかって、彼の死後退所者が相次いで内部分解のようになっていくのは、もう必然だったんだなといった感じです。

BBCで取り上げられてから自分なりにジャニーズについて考えていたんだけど、どうしてもモヤッとするのは、男子しかいない芸能事務所ではありますが、それに関わる女性達の欲や念の強さがあまりに凄まじいことでした。

十代前半の少年達が権力を持つ高齢男性に性的搾取され、それをマスメディアの人間が自らの利益のため黙認したという、男社会で起きた事件という構図にこの問題はなっていますが、それを補完していたのが女性達だったというのが、どうしてもモヤッとします。

以前から知られてることですが、少なくない数の所属タレントが母や姉によって事務所に履歴書を送られているんですね。

自分の意志を確認されることなく身内の女性からジャニーズに送り込まれてるんです。

お金のためか、魅力的な息子を持ったという虚栄心のためか、果ては自らがジャニーズアイドルに近付きたかったためか、とにかく身内女性の思惑から少年達はジャニーズに入所し、人気が出たら出たで今度は女性ファンから「恋人匂わせるな、結婚するな」「あれするなこれするな」と支配的に言われる。時にはなんてことない事で酷い批判も受ける。

そんな彼らは実はJr.時代にジャニーさんの性加害に耐えるしかない状況に置かれており、それを隠蔽して継続させていたのはジャニーさんの姉メリーさん。

またここでも姉か！（しかも母親のような姉）って感じですが、この構図を考えた時、息子をアイドルにしていい気分になりたい身内の女性、身内然としてあれこれ言うファンの女性、会社の代表として保護すべき立場にある女性、少年達にとってのこの人達を一体どう捉えたらいいんだろうと、頭が痛くなるような気分になるのです。

もちろん自らジャニーズに履歴書を送った少年は多いし、息子が芸能人になることを反対した母親はいるだろうし、良識あるファンが現実にはほとんどだと思うし、所属タレントの皆が性加害を受けたわけではないけれど、ジャニーズがここまでの醜態を晒しているのを見てると、一部とはいえ異様な構図を作り上げてる女性達の……精神性と言えばいいんですかねえ、それって一体なんなんだろうって感じになるんですね。

ジャニーズファンの心理については、先週か先々週の朝日新聞に載ってた学習院大学教授のコメントが一応納得できるものではあったのですが、曰く、

「ジャニーズが女性に人気なのは、男女格差が大きい日本社会で、女性が優位な立場から安心して男性をめでられる数少ないカルチャーの一つだから」

「タレントを『弟』『息子』のような、どこか未熟さが宿る対象として捉え、支える感覚で向き合っている」。

結構なるほどなーですが、でもそうだとするなら、母親からジャニーズに送られ、デビューしてもファンから未熟な子として見られるという、肝心の中の人の人間性とか自立性は一体どういうことになるんだ？ってことになって、正直なところ「アイドルって一個の男性としてどうなのよ？」になるんですよね。

アイドル文化ってヤバくない？っていうか、それを作ったジャニーさんってやっぱりなんなの？ってなって、……まあ、結局「少年」「少年性」を売りにしてるのがダメなんだろうなあ、やっぱり。

いやまあ、少年を温かく愛でる趣味の人を否定するつもりはないんだけど、「ジャニーズの少年」は今回の件でこれまでのようには存在してはいけないものになった気がするし、とりあえず未熟さを売るのは控えた方がいいのではないか……。

未熟さを売ってるのは日本においてはジャニーズだけじゃないんだけど、さすがに考えますよ。

先の教授の言葉を借りれば、男女格差が大きいから女性達はジャニーズを愛でる、ジャニーズを愛でている限り格差を忘れられる、すなわちジャニーズがある限り格差は今のまま存在し続ける、ってことになって、男性アイドルを未熟なままにしておくことは女性の地位向上の役に立たないどころか阻害する、ということになるんです。

ジャニーさんとマスコミという男社会の権力者が食い物にしてる少年達を、「それでよし」とばかりに男社会で下に置かれている女達が愛でる構図って、もはやグロテスク以外の何ものでもなくて、それで誰が一番良い思いをするのかって言えば、まあ、話は決まってますよねえ。

そういうわけで、同族経営の弊害が報告書で指摘されていたけど、現社長の辞任は断然支持です。

会社としてJr,の少年達を守れなかったことの責任、ジャニーズにまとわりつく濃すぎるファミリー感からの脱却、諸々考えても喜多川一族の色を消して会社が生まれ変わる必要はあると思います。

ジャニーさんとマスメディアという男の権力構造と、母と息子・姉と弟という優位な立場からの女の支配欲求と、二つにがんじがらめにされて自らの被害を「ないこと」にされていたかつての少年達に救いを。

こんな構造では、そりゃ全方向から黙殺されただろうと思いますからね。

「性加害があった」と認定されるためにBBCや国連機関という外部の目が必要だったこともわかります。

「今になって言うな」は通用しません。事態を甘く見過ぎてます。

認定されたこと自体が本人達からすればおそらく奇跡に思えるくらい、それほどジャニーさん健在時のJr.を取り巻く状況はまともじゃないです。

マスメディアは本当に反省しているのなら本気でこの事件を身を削ってでも検証すべきだと思います。

大手芸能事務所とメディアの癒着の実態、今後のためにも明らかにすべき。

いろいろ書きましたが、ジャニーズ所属のアイドルはもちろん、一般のジャニーズファンは個人的には否定してません。

ただ単に好きで楽しい気分になってる方がほとんどだと思うし、闘病中に救われたという方などはそりゃそうだろうなと思いますから。

今回の文章で嫌な気分になられた方は、どうか個人の意見としてさらっと読み流していただけたらありがたいです。

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。

by teri-kan