気まぐれ感想文 (original) (raw)

全てのかつての少年達に救いと解放が必要

2023年 09月 13日

ジャニーズの記事が増えるのもどうかと思うけど、この事件は日本社会がどういうものかというのをいろんな側面から見れるので、またもや全く楽しくないけどジャニーズの性加害事件について。

先週、ジュリーさん、ヒガシ、イノッチ、弁護士の方、４人の記者会見の中継を見たんですけど、他はともかく社名がジャニーズのままというのは引っかかりました。

録画謝罪で批判されたジュリーさんがこの会見に出てくるまで４か月。

社名もこれだけの批判を受ければ変えざるを得ないとそのうち決断するだろうけど、万事後手後手です。

現役タレントにヒアリングが行われたそうですが、ジャニーズのままでいきたいと言ったタレントがいたというのは、気持ちはわからないではないけどあまりに甘い。

これまでジャニーさんとメリーさんの権力の傘の下で気楽にやらせてもらってたんだろうなあと想像できて、幹部だけでなく一部の所属タレントにも、必要なのはまず外の世界を知ることかもしれないと思いました。

企業が続々CM契約更新停止を発表してるけど、こういう事態をどこまで予測できていたのか、あの記者会見を見る限り怪しいと言わざるをえません。

スキャンダルを起こしたわけでもないタレント達がさすがに気の毒なので（しかも彼らは本来被害者側の人達）、どうすれば少しはマシになるかと考えたのですが、以前どこかの弁護士さんが言ってた「会社を二つに分ける」というのが、可能ならばできたらいいのではないかと思います。

ジャニーズの名を残したいなら被害者補償を行う会社として残して（ジャニーズとして謝罪・補償すればいい）、タレントのマネージメント部門は外から社長を迎えて名前も新たにして立ち上げる、といった感じ。

これならば移籍によるグループ解散や著作権の問題も起こらず、タレントもファンも納得できるんじゃないですかねえ。

これは個人的な考えなんですが、ジャニーズ所属のタレントは皆過去にJr.だったわけですから、それだけで基本的に皆被害者だと思うのです。

80年代にJr.だった人も2000年代にJr.だった人も、等しく被害者。

ヒガシだって、なんだったらマッチだって被害者だと思ってます、ジャニーさんの性加害問題については。

おそらくヒガシはパワハラやってるし、マッチなんてまともに芸能活動してないくせにチヤホヤされて、金屏風事件もあって全く好きじゃないけど、でもこの件に関しては被害者だった可能性のあるかつての少年ですし、今回ジャニーさんの罪が明らかになったのなら、昔だろうが今だろうが所属していた少年たちはそれぞれに救いを与えられなければいけないと思うのです、デビュー出来た出来てないに関わらず。

仮に被害にあってなくても「あっただろう」という目で生涯見られ続けるわけですし。

Jr.の少年達を助けず見殺しにした嵐は酷い、というのがあるとして、でも嵐世代もその上の世代に助けてもらえなかった少年達で、でもその世代だってその上のたのきん世代とかに、たのきん世代だってフォーリーブス世代に、フォーリーブスだって初代ジャニーズに……みたいに誰一人上の人から助けてもらった人はおらず、ヒガシのように出世したって結局どの人も「かつて見殺しにされた少年」だったことには変わりない。

事務所の大人もテレビ局もレコード会社も黙認してるし、タレントとしての地位を得てもその流れに乗るしか出来ないのです。

本人の精神性もそういったシステムの中で作られたものになっていくのだし、本当に可哀想なんですよ。

だから服部吉次氏（服部良一の息子さん）が怒りと後悔と共に名乗りをあげたのは、理解できると言ってはおこがましいけれど、理解できる。

事務所のしがらみはなかったのだからJr.よりは訴えやすい立場だったし、もし訴えていたら後の被害はなかったのにという思いに駆られるのはしょうがない。

しょうがないですが、そう思うこと自体がまた大きな苦しみなので、本当に被害にあわれた方は何重にも気の毒なのです。

当事者の会の被害者についても、例えば「ジャニーズに絡めた仕事をしてたくせに」とか「ジャニーズに入所できるよう少年達に教えてたくせに」とか批判があったりするけど、自分の被害を徹底的に「ないもの」とされてしまっては「自分は被害者ではない」という前提で生きていくしかないのですから、それなら元Jr.として稼いで生きていこうという気持ちが起こっても仕方ないでしょう。

被害者の精神を歪めたのは加害者ジャニーさんと彼の犯罪をないことにしたメリーさんのせいで被害者のせいではありません。

でもようやく性加害の事実が認められ、被害を訴えていた人達には救済の道が開かれました。

こちらは誠意を持って補償を進めればいいとして、こうなったら次に心配をしなければいけないのは現役タレントの方です。

知っていたのか知らなかったのか、ヒガシが会見で聞かれたように被害にあったのかどうなのか（あれはしてはいけない質問でした）、似たようなことは表でも裏でも今まで以上に問われるでしょう。

現役タレントの精神的ケアもより必要になると思います。

少なくない数の所属タレントが「ジャニーズの名を残したい」と考えてるみたいだけど、それほどに彼らは「ジャニーズ」とタレントとしての自分のアイデンティティを深く結びつけていて、これを崩されることに抵抗を感じているようです。

でもその名もアイデンティティの核となっているであろうものも、もうすぐないことにされる。

現役タレントはこれから自己を否定されるかのような扱いを受ける可能性がありますが（ネット上では既にある）、大部分は事務所の対処の仕方がマズすぎるのが原因なので、個人仕事で実力を認められてる人は早々に移籍するのがいいんでしょうね。

それもまた大変ですが、タレントとして生き残りたいなら出るなり会社を改革させるなり自ら行動を起こさないとダメだろうと思います。

まあ、それでも事務所の方はこの先の道が見えてきたように思います。

罪は認定されたし、被害者補償は世間の圧力にも押されて進むはず。

メディアには次の仕事、ジャニーズはなぜ帝国を作れたか、それを是非明らかにしてもらいたいです。

喜多川姉弟の権力の源泉に突っ込むべきなんですよね。

宗教界と政財界がバックにあったことは言われているし、それだったらマスメディアが言い訳している「芸能界のゴシップだから管轄外」ではないので取材して記事にすればいい。

日本の芸能史……性と芸能の関係性とか、反社勢力やタニマチと芸能人との関係、芸能界の特殊性、男色とか稚児趣味の歴史。

これまたメディアの人達の言い訳だけど「男性が男性から性被害を受けるということにピンとこなかった」というの、ほんと酷い話ですからね。

日本には昔は普通に男色ってあったけど、明治になってキリスト教が入ってきたからか、世の中から完全に「考えられない」ものになりました。

それまで普通にあった男色とキリスト教的モラルの狭間に、性的少数者やそれによる被害者が追いやられて、それで世間的には全く「ないこと」にされてしまったのかなと思うけど、もし今回の事件がなければこれからもずっとないことにされていた可能性、あるとしたら恐いです。

ジャニーズでなくても小児性愛者の犯罪は普通にあるのに、やっぱり日本おかしいだろと思うんだけど、でもジャニーズの問題がここまできてしまったのは、やはりジャニーズだから、というより芸能界だからってことで、結局枕営業が芸能界においては普通なんだってことだと思います。

だからみんな触れないようにしてた。大人の枕営業と同じように子供のも無視した。

でもそれだけ性的被害が芸能界には蔓延っているのだと思います。

今回の事件が明らかにしたことって、声をあげられない少年達の犠牲を無視し続けていれば八方丸く収まって皆Win-Win、というのを社会が受け入れてたってことなんですよね。

マスメディアも加担してた、っていうのが最悪なんです。

ジャニーズ事務所は悪いけどメディアはある意味それ以上なんですよ。

それでメディアの権力を刃向かえない相手に対して使うんだからタチが悪すぎる。

Jr.に所属していた人達の心を本当に救うためにも、ジャニー喜多川とメリー喜多川がどのような人物で、どういった力を背景にしてジャニーズ事務所を作り上げていったのか、どのように業界とメディアの癒着は行われたのか、ジュリーさんの在り方も含めて、世間に明らかにするべきではないかとメディアに対しては言いたいですね。

ジャニーズの呪縛、ジャニーの呪縛から少しでも解放させてあげることが、タレントになれた人なれなかった人、被害にあった人免れた人、どちらの人達にも必要ではないかと思います。

死んだ加害者に法的な罰を与えることはできないけど、加害者の人生を明らかにして世に公表することはできるでしょう。

彼に関わった政財界、芸能界の重鎮の取材、是非忖度なく行ってもらいたいものです。

メディアの皆さん口を揃えて反省してると仰ってるし、「忖度」をとても憎んでらっしゃるようですから、出来るはずだと思います。

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。

by teri-kan