おきく's第3波フェミニズム (original) (raw)

家事ハラの誤用

やっと前期授業期間が終わり、ほっとひといきつけそうです。最近全然書けていないので色々書きたいところ。

まず、昨日発見して、驚いた事件。家事ハラスメントという言葉についてです。

この言葉はそもそもは竹信三恵子さんという研究者、ジャーナリストの方が岩波新書『家事労働ハラスメント』で提起したもので、女性に家事を押し付ける今の社会のあり方を批判したものです。

それが、旭化成ホームズ「共働き家族研究所」というところの行った調査で、全く逆の意味、「妻が夫の家事にダメ出しをすること」と定義されてしまっています。この研究所はムービーも公開していて、見てみたところかなりびっくりしました。これって、女性のみならず、男性に対しても失礼な内容ではないでしょうか。夫をまるで幼稚な子ども扱い・・・しかも東京の電車の吊り広告で同じメッセージを大展開している模様。

動画の方も是非見てみて下さい。不快な気分になるかもしれませんが・・・

これは近年続いている、一連のフェミニズムへの逆流現象だと思います。バックラッシュとはもはや言えない、もっと構造的な。ひとつひとつ声を上げていかないといけませんね。

竹信さんが研究所に対して質問状を出されましたので掲載しておきます。

2014年7月24日 和光大学教授・ジャーナリスト 竹信三恵子

7月14日付の御社の「妻の家事ハラ実態調査」についてのニュースリリースと再現ムービーを拝見しました。ここでは、「夫の家事協力に対する妻のダメ出し行為」を「家事ハラ」と定義づけるとされています。このような恣意的な定義づけによる誤用、捻じ曲げに、この言葉の創設者として困惑しています。

「家事ハラ」は2013年10月に私が出版した『家事労働ハラスメント~生きづらさの根にあるもの』(岩波新書)の中で創出した造語です。ここでは「家事ハラ」を、家事労働の蔑視・無視・排除といった嫌がらせ(ハラスメント)によって、これを担う人々(主に女性)に大きな不利益をもたらしている社会システムの歪みを取り上げ、「家事ハラ」によって経済力を持ちにくい立場に置かれたことが女性の貧困の増加を招いていること、男性もまた、家事労働という生にかかわる労働から排除され、ワーク・ライフ・バランスを欠いた「働く機械」として生きることを余儀なくされていることを指摘しました。そして、女性が抱え込まされている家事労働を、①企業の労働時間短縮、②行政の社会サービスの充実、③労働時間の短縮

による男性の家事分担という3つの関係者によって再分担し、女性が外で働く時間を生み出すことで、二人働きによる新しい豊かさを生み出す政策が必要であることを提案しています。

ところが、御社の誤用によって、このような「家事ハラ」の意味は大きく損なわれました。女性からは「家事のやり方を注意したくらいでハラスメント扱いする不愉快な言葉」と反発が起き、「家事のやり方をとがめるくらいなら家事を頼むな」という男性の反発も誘発し、そんな不毛な紛争の只中に、この言葉は投げ込まれることになってしまったのです。

その結果、著者としての私がこうむった実害は、下記のようなものです。

1.御社のような大手企業の大量宣伝を通じて「家事ハラ」の意味が本来のものと全く逆のものとして社会に流布し、著書のイメージが完全に破壊されたこと。

2.メッセージを届けようと想定していた読者層がこの言葉に嫌悪感を抱くようになり、著書の普及が大きく阻害されかねないこと。

3.人々が気づいていなかった現象に新しい名前(たとえば、セクハラやDVなど)をつけることで、その問題点を見えるものにするという社会改革の試みが、勝手な言葉の再定義によって頓挫させられようとしていること。

このような深刻な実害を及ぼした御社の誤用に強く抗議するとともに、そのような行為がなぜ生まれたのかの経緯を説明していただき、かつ、被った実害を軽減する措置を要請します。お願いしたい措置は、別紙の通りです。

今回の事態を収拾し、竹信が受けた被害を救済するため、下記のような対応をお願いします。

①中央線などに旭化成ホームズが張り出した車内広告のすべてに、家事ハラの本来の定義と本のPRを盛り込んだステッカーを目立つように張り込むこと

②ホームページにも同様のものを目立つように掲載すること

③正しい家事ハラの意味を伝える再現ムービーを制作し、これもホームページで公開すること

⑤なぜこのような誤用が生まれたのかについての事実経過の文書による提出

・今、乗っている中央線の車内広告は、すべて、“妻の”家事ハラ白書と、題されたヘーベルハウス 共働き家族研究所のポスターです。(いわゆる一本買いです)ここで言う 「家事ハラ」とは、夫のやった家事に妻がダメ出しや文句を言うことで、それにより、夫は家事から遠ざけられてしまうのだ、と言うものです。竹信 三恵子さんが、岩波新書で、書かれた家事ハラス メントとは、全く異なるものです。しかし、これはキャンペーンだと思います。竹信さんの産み出された家事ハラを消すための。どこの広告代理店かは分かりませんが、大大キャンペーンです。悔しいです。(女性)

・私は家事ハラの本質をそらして見失わさせ、保守的な家族観やさらには家長制復活のためのキャンペーンではと感じましたが。みなさんはどう思います?(男性)

・家事を夫が「手伝う」って感覚自体にまず違和感。そんなので調査したものなどダメですよね!!(女性)

+++++++++++++引用終わり++++++++++++++++++

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