おきく's第3波フェミニズム (original) (raw)

宣伝・ポストフェミニズム論

最近書いたものの宣伝をします。

『ジェンダーにおける「承認」と「再分配」 格差、文化、イスラーム』
越智博美・河野真太郎編、彩流社 2800円+税
出版社HP →ココ

・・という本に、「ポストフェミニズムと日本社会」と題する論文を書きました。

この本には、全体を通してネオリベラリズムが進行し、フェミニズムが「簒奪」されているかのような現代社会をどうにか切り開こうとする問題意識が通底しています。

帯より。
「多様性が承認される「自由」な社会。「自由な個人」として不平等な市場に組み込まれるわたしたち。文化か、経済か。承認か、再分配か−−−−−−このジレンマを乗り越えることは可能なのか。
ポスト新自由主義を見すえるジェンダー研究の最前線。」

私が書いたのは、英米のポストフェミニズムの議論を紹介しながら、それが日本の現状に照らし合わせるとどうなのか、ということです。フレイザーの問題意識とも絡めながら、ネオリベラリズムのジェンダー・パラダイムともいうべきポストフェミニズムを、日本の現実から批判していくことが今最も重要なことのひとつだと思っています。

他にも先鋭的な問題提起が多く収められています。
どうぞお読みください。

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目次

第一部 承認と再分配の問題とは何か
第一章 承認論とジェンダー論が交叉するところ(藤野 寛)
第二章 フレイザーとバトラーの「再分配/承認」論争(加藤 泰史)
第三章 ポストフェミニズムと日本社会(菊地 夏野)
—— 女子力・婚活・男女共同参画
第四章 〈分配か承認か〉の手前で(岡野 八代)
—— ケアの倫理からの再考
第五章 分配的正義から交換的正義へ(中山 徹)
—— 「我が家の楽園」としてのコミュニズム

第二部 承認、再分配、そして文化
第六章 「貧困との戦い」の行方(越智 博美)
—— 貧困の文化化とアパラチア
第七章 学習社会とポストフェミニズム(河野 真太郎)
—— 『リタの教育』における終わりなき成長
第八章 シングルマザーが夢見るユートピア(町田 みどり)
—— 『時を飛翔する女』における「家族」のオルタナティヴ
第九章 承認の外へ(井上 間従文)
—— 根間智子と仲宗根香織の写真における「問い」としての沖縄
第十章 フランスの地方美術館による作品収蔵と芸術家の様相(小泉 順也)
—— 印象派とポスト印象派を中心に

第三部 イスラームと女性
第十一章 イスラームと女性の地位(鵜飼 哲)
—— まず、知るべきこと
第十二章 現代フランスにおける「スカーフ論争」とは何なのか(森 千香子)
—— レイシズムと女性の身体をめぐって
第十三章 表象=代表 (representation) 、知識人、教育(中井 亜佐子)
——マララ・ユスフザイの国連スピーチを読む

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by anti-phallus | 2015-05-18 16:01 | 仕事

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