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アイヌのこと

北海道の歴史に興味が湧き、いくつかの点から勉強している。その中でもアイヌの存在は大きい。

今までアイヌについては自分から詳しい勉強をしたことがなく、正確な知識もなかった。ところが北海道の歴史について知る中で、不思議な感覚を味わっている。

沖縄の近代史を勉強して、日本国家の暴力性を学んだ。だが北海道の近代史からは沖縄に対して発動されたのとは異なる暴力性が見て取れる。

沖縄の日本併合、「琉球処分」はあくまでも集権化された琉球王国の「処分」(侵略)だった。一方アイヌは、当時集権化された国家を作っていなかった。アイヌは多くのコタン(集落)に分かれ、それぞれがリーダーをもって生活していた。それが長期にわたる松前藩、江戸幕府からの搾取との戦いの中で弱体化してゆき、明治政府の同化政策で言語や文化を奪われていった。

先日、白老のアイヌ民族博物館においてあった新聞のスクラップブックを見たら、北海道新聞が頻繁にアイヌに関する記事を載せているのに驚いた。それは、道内各地でのアイヌ関連の企画や施策、アイヌ当事者のインタビューなどである。わたしはこれまで新聞でアイヌ関連の報道に触れたことはあまりなかった。北海道新聞の全てを見たわけではないので分からないが、どうも北海道に住んでいるのとそうでないのとでは、アイヌに関する理解度が大きく異なってくるのではないかと想像される。

ここ最近は、ドイツの学術団体が日本にアイヌの遺骨を返還したという報道が新聞のトップニュースになったが、これも、何のことだかよくわからない人が大半だろう。

道外では、「アイヌ民族は滅亡した」というイメージを持っている人が多いのではないだろうか。そこでは差別の対象としてすら意識されていないかもしれない。だが、学んでいくにつれて、このイメージのもつ政治性に気づかされる。現実には、アイヌの血を引くということで葛藤し、悩み、差別を受けている人々がいる。その事実すらも、「アイヌは滅亡した」という多くの人が持つイメージは消失させる。これがナショナリズムの暴力性でなくて何だろう。

また驚いたことの一つに、白老にあるアイヌ民族博物館が来年閉館するという。この博物館は地域の人々が運営している。白老はアイヌの人々が多く住む地域で、戦後、当事者によるアイヌ観光(?)で賑わったらしい。当時の写真を見たら、明るく当事者と観光客が集合写真に写っていて、何とも言えない気分になった。そして小学校に「アイヌの子供がいるか」といって忍び込んでくる者もいたらしく、そういうことを憂いてこの博物館が作られたと博物館のボランティアの方から伺った。施設内にはカフェがあってアイヌ料理も食べられたり、アイヌ伝統の音楽と舞踊を見学できたりする。それが、2020年に国立博物館と公園がオープンするにあたり閉館をやむなくするらしい。2020年というのはオリンピック開催に合わせたものらしく、なんとも唐突な企画だ。この計画を道外の人はどれだけ知っているのか疑問だし、日本政府は今までアイヌに対してどれだけの取り組みをしてきたのだろうか。日本のマジョリティがアイヌについてほとんど知識のない状態は、第一には政府の責任がある。敗戦による大日本帝国解体後も政府は「日本には外国人はいない、要らない」という態度で十分な政策を行っていない。「日本に先住民はいない」と長年言い放ってきた。この無策によって、アイヌの当事者は言語や文化を継承できず、アイヌ語をしゃべられない人が大半だという。

アイヌのこと_f0210120_18010264.jpg

博物館のボランティアの方のお話では、この国立施設の構想には、教育に関するものが欠けているという。外向けの、参加型展示やら野外ミュージアムなどばかりで、当事者たちが当事者のためにする視点がない。

政府はハコモノ行政を繰り返すのはやめて、アイヌ当事者が文化を継承しアイデンティティを尊重するための教育や、その他の市民への啓発・教育政策から始めるべきではないだろうか。博物館等を作りたいなら、すでに北海道各地に小さいながら地域や当事者の記念館・博物館等はいくつかあるのだから、それらの活動を支援することだってできるはずである。

アイヌ文化の継承は、当事者にとって必要なだけではなく、非当事者にとっても価値がある。今の日本社会が見失っている精神性をアイヌ文化は教えてくれる。自然に対する価値観、個人と家族や共同体との関係性、生死の意味・・。わたしはまだ知り始めたばかりだが、それでもハッとさせられることがとても多い。近代化により周縁化させられた文化や生き方、価値観を取り戻すことは、わたしたちがどのように生きるべきか、生きたいかを考えるために豊かな示唆を与えてくれる。

by anti-phallus | 2017-08-07 17:59 | その他

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