MBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた (original) (raw)
1.戦略
マーケティング戦略の出発点は顧客。
顧客から選ばれる施策を考えるのが、戦略。
マーケティング戦略の方法論は、時代とともに変化している。定番から最新までを紹介。
・あらゆる商品は陳腐化する
製品中心で考えず顧客中心で考えると、商品は必ず陳腐化し、それは市場の衰退が原因ではなく経営の失敗。飽和していたコンビニは公共料金の支払い、宅配便の取次、銀行ATMの設置、PB商品発売と顧客にとって便利な存在をあり続け1990年から2019年で4倍の数に。
大切なのは製品ではない。顧客を創り出し、満足させること。
・STPと4Pの組み合わせ
市場の細分化、顧客ターゲット設定、自社のポジショニング、製品、価格、チャネル、プロモーションの4Pを回すこと
・ポジショニングはNo. 1であること
ヒナが親を認識するのは1番最初に見たものを刷り込みというが、人はNo. 1しか認識しない。富士山は認識しても北岳という日本2位の山を知らない。ターゲット市場を絞って独占するには、何かを捨てないとポジションは築けない。J&Jは子供向け(大人市場を捨てる)、バイエルは頭痛薬に絞った。
・【間違い】差別化して特定セグメントの顧客層をターゲットとする
熱狂的信者は少数派なので、ブランドのことを深く考えずに買い、売上に大きく貢献してくれる人たちを狙う。
・【間違い】既存顧客を大切にする
売上に貢献するのは新規顧客。とにかく新規を取りまくれ!
・【間違い】ブランドを差別化して消費者に分かりやすく示すこと
消費者はスペックの差別化は理解していない。独自性を理解している。コカコーラの赤、アップルのリンゴマーク、一目でわかる商品、それがブランディングだ。
→差別化よりも、多くの人にリーチし、目立って好かれることが大事
・CEPを増やすこと
カテゴリー・エントリー・ポイント。暑い日に冷たいドリンクを飲みたい。その時に思い出されるブランドであること。それがCEPが高いということ。コーラでもスプライトでも売れればコカコーラ社としてはOK。みんなにた顧客で、他のものを買う。フォード(大衆車)もシボレー(若者向け)も顧客は同じ。ターゲットを狭めず、出来るだけ広く認知をとること。渥美清は寅さんを毎年やったので、寅さんしか仕事が来ないが、半沢直樹を7年越しにやった堺雅人はいろいろな仕事が来る。セルフブランディングの成功例だ。ローレックスの最大顧客は一本だけ買う中流層だ。なのでローレックスは中流向けに多くの広告を使う。
→最優先事項は、顧客が商品を選ぶ際にブランドを思い出させること。
・プレファランスを高めること
森岡毅が提唱した言葉。一般的にはメンタル・アベイラビリティと言われる、購入される時に思い出されやすいこと。(フィジカル・アベイラビリティは消費者がブランドを見つけて買いやすいこと、近くにある吉野家とか)
プレファランスは三つの要素で決まり、ブランドエクイティ(ブランドが持つ見えない資産、ディズニーは夢と魔法の王国)、製品パフォーマンス(薬や家電のように商品パフォーマンスが高いこと)、価格。価格は高くなるとプレファランスは下がるが長期的にブランド価値を考えると高くなる。
→USJを映画のテーマパークから世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップに変えたので売れた。認知や配荷率を高めてエボークト・セットに入れる率を高める。
・マーケティングを機能させる組織が必要
作ったものを売る会社、から、売れるものを作る会社にシフトすること。優秀なマーケッターを一人雇うのではなく、組織作りが大切。マーケティングは個人技ではない。
・両利きの経営をする方法
「探索と深化が同時に必要である」という戦略的意図を明確にする。両利きの経営は非効率なので反対も多い。そこで納得できる根拠を社内に示す。「経営陣が新規事業の育成と資金供給に関わり、監督し、既存部門から保護する」ことをしないと既存事業から金食い虫と言われる。反対者を排除し、入れ替える覚悟も必要。「新規事業を既存事業から離しつつ、企業の強みを活かせる組織の強みを作る」「共有のビジョン・価値観・文化をつくり全員が仲間だという意識を持たせる」
新聞社のUSA TODAYはオンライン事業を開始し、反対する役員は退職させ既存と新規の両方を成功させた。
・両利きの経営をするには強力なリーダーシップ
「戦略的抱負を示し、幹部チームを巻き込む」ことでトップ一人でなく、チームで動く。任せる。感情が動く。そして「緊張関係をどこに持たせるか」
トップが緊張関係に向き合うか、幹部が向き合うかを決める。「チーム間の間に立ち、事業間のバランスをとる」そして「一貫して矛盾するリーダーシップをとる」。つまり既存事業には利益・規律・確実な戦略を求め、新規事業には試行錯誤の失敗を推奨して既存事業のカニバリゼーションを追求させる。「議論や意思決定の実施に時間をかける」ことで、注力すべき点がわかる。
・オープンイノベーションの時代
社内で開発して不採用にしてしまうと、転職して他社で使われる。オープンイノベーションは社内で生んだアイデアを使い倒す。使わないアイデアは、社外に出して稼ぐ。(他社にアイデアを売る!)社内でアイデアが足りない場合は社外のアイデアを取り入れる。
・アイデアの作り方
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ。新しい組み合わせに導く才能は、物事の関係性を見つけ出す才能による。情報収集として、テーマに特化した特殊資料と一般資料を分け、特殊資料は他の誰より詳しく知り尽くしている資料だ。そしで収集情報の咀嚼。新しいアイデアの組合せを行う。疲れ果てたら、何もしない。好きなことをする。するとアイデアは突然訪れる。そしてそのアイデアを形にすることだ。
・時代は必ずどこかで大きく変わる
・信用が第一
・現金ほど大切なものはない
・市場調査は、外れた後が勝負
・ひらがなで考える
・単品管理でお客様を見る
・現場の声から何を得るか?
・見えていないお客の声を聞く
・成長を考えず、生存を考える
・日本的経営の本質
日本の常識は海外では常識でないことばかり。全ての仕事は修行。一心不乱に行えば、悟りは開ける。まず正直になること。そうすればいい社会秩序が生まれる。顧客への誠実さが第一。
トップは無私無欲であるべし。民衆のためのトップであり、トップのために民衆がいるのではない。
消費者が企業より賢くなった。グローバルの課題にも取り組む必要がある。ニーズを満たすだけでは顧客は買わない。
マーケティング3.0は価値想像。ミッションと言動を常に一致させること。事業機会と自社の強みを一致させるだけでなく、社会的な課題も一致させること。私欲を持たずに、経済的合理性を追求することが善。
→社会課題解決は、もはやボランティアではない。経営課題である。
・カテゴリーを作り出し、所有すること
消費者は新しいブランドはどうでも良い。認知できる市場がなくなるまで絞れば、全く新しいカテゴリーを創り出すチャンスがある。
品質だけではブランドが築けない。価値を提供できているか。
時間をかけて築いたブランドは絶対に変えるな。市場が変わっても変えてはいけない。
→ブランドは、新カテゴリーを創り上げ、所有し続けよ
・差別化も重要だか類似化も重要
くら寿司の差別化ポイントは、無添加で、安心・美味しい・安い寿司チェーン」類似化ポイントは「マクドナルドのような世界的な外国チェーン」なのだ。
・ブランドレゾナンスピラミッド
ロレックスで例える。一番下はブランドセイリエンス(ブランドの特徴、世界の高級時計)
2階層目はパフォーマンス(性能や機能、職人が作った時計、精巧な技術)イメージ(印象、高級時計の中でも世界で一流の人たちがアンバサダー)3階層目はジャッジメント(客観的な判断、最高品質・デザイン・世界最高の時計)フィーリング(情緒的反応、ロレックスを使う人は一流)一番上の階層はレゾナンス(共感・共鳴、ロレックスは自分の分身だ)
・サービスは4Pでは語れない
サービスマーケティングは8Pで考える
1.サービスプロダクト
商品とサービスを組み合わせて提供。そこでの差別化を考える
2.場所と時間
サービスできる場所には時間の縛りがある
3.価格とその他のコスト
交通費などの移動コストやサービスを提供するための間接費も考える
4.プロモーションと教育
広告だけでなくそれを提供する人の教育もセットで考える
5.サービスプロセス
店を予約してから出るまで何をしているかなども研究する必要がある
6.物理的環境
音楽、匂い、色彩など
7.人
接客のレベルとそれを管理するマネジメント
8.生産性とサービス品質
効率と品質のバランスを考えることと両方を高める努力
・顧客は感動を期待していない
顧客は約束が当たり前に提供されて、もしダメなら説明があり、必要に応じて謝罪があることを求めている。感動を与える必要はないし、大きなコストも必要ない。素晴らしいCXは確実に収益につながる。
・トラブルを予防すれば新規顧客を獲得したことと同じ。
トラブルで去っていく顧客はいる。それを極力少なくすれば、その顧客からまた収益が生まれる。つまり新規顧客を獲得したと同じ。
・顧客の事前期待を裏切らない
誠実であること、なので顧客がすく苦情を言えるようにして、サービス向上に繋げる。顧客のほとんどは何も言わず去っていく。顧客をさりげなく教育することでトラブルを防ぐ。
・手間をかけてもロイヤルティは上がらない
手間をかけないことが大切。顧客が求めるのは、期待したことが提供され、ダメなら説明があることだ。毎回感動を与える必要はない。
・満足させようとすると客は満足しない
響12年に梅酒が入っているのは、客が飲む時に味を探索する。提供者と顧客がお互いに読み解き合いながら価値を共創する。緊張感を伴うサービス特有の居心地の良さもある。
→個人的にはラーメン二郎のような緊張感の中にあって大盛りのうまいラーメンを提供する。それかなぁと思いましたね!
・効能にコミットしない広告では商品は売れない
まさにRIZAPの広告は成功例だ。多くの広告には約束が一つもない。商品を知り、ポジショニングし、違いを際立たせる。ブランドイメージを与え続け、繰り返す。
・印刷媒体広告で成功する方法
「必ず白地に黒字」「イラストよりも写真」「ヘッドラインはボディコピーを読む人の5倍」「ボディコピーはありがちなことでなく一人に手紙を書くように二人称で書く」
・まずPRでブランド構築し、広告でブランドを守れ
消費者の関心を集めるべきは広告ではなく製品。まずはPRで消費者の信用を獲得し、広告では追認作業をするだけ。ブランドのメッセージは一切変えてはいけない
・成功するアイデア
単純明快、意外性、具体的、信頼性、感情に訴求、物語性がある
・消費者は合理的に考える
情緒的に考えない。ブランドに囚われない。
・チャレンジャーセールスモデル(B2Bのセールスモデル)
論議を恐れず顧客に自己主張すること。それにはまず「地ならし」という他社の状況を聞き、課題はきかない。状況把握に徹する。そして「再構成」として顧客が気づかない視点を提示する。「裏付け」として、データで具体的に予想外のコストを提示する。「心を揺さぶる」切実な課題として言ってあげる。「新しい方法の提示」として具体的な新しい方法法を示して「ソリューションの提案」は弊社しかできないと言い切る。
→ポイントは自社の紹介は最後にする
・高リスクで高リターンの満塁ホームラン狙いで赤字を出す
ZOZOスーツは顧客の要望を叶えたが製造工程で不具合を発生し納期は延期。PBブランドとして華々しくデビューしたが125億円の赤字。それを教訓に小さな一歩を重ねる大切さを学ぶ。
→事実に基づいて世界を知るために必要なのは、謙虚さと好奇心
・全情報が一箇所にない悲劇
不祥事でトップが「知らなかった」と謝罪会見を開くのは見慣れた光景だ。「部下が知らない情報を持っていることを見せれば、権威を示せる」という管理職すらいて、情報共有はなかなか進まない。全社で情報共有する仕組みと企業文化が必要。
いやー分厚くて内容も濃い一冊でした。本誌に書かれている多くのメソッドを常に読み返して、何かに行き詰まったら、さらに読み返して新しいことにチャレンジしたいと思います。
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