猛毒により地面死 (original) (raw)
朝からアパートの鉄扉の工事のために2人のおじさんが来ている。
ふとっちょとひょろひょろの2人組で、どちらも健康状態が心配。
光ファイバーの線を引っ張ってきて何か小さな機械を付けている。
もしかしたら鉄扉が自動ゲートになる??どうやって??ゴリゴリの文系で育ってきたので全く仕組みがわからない。
大家さんは多分セキュリティに関しては割と積極的に色々手を出すタイプのようで、大家さんの部屋はメキシコには珍しく電子錠だ。
こんな田舎でもゆるやかな文明の発展を目の当たりにできて楽しい。
部屋の中から工事を眺めていたら大家さんからメッセージが来た。
「今から夫が行ってあなたの排水管に毒を入れてもいいですか?」
直訳しても意訳してもどっちにしろ怖い。
ここ数日の流れからG退治のための対応だと思われるので、お願いします、と返事した。
数分後、毒と思われる容器を持った大家さんの旦那さんがやってきた。
風呂場と洗面所の排水口とトイレに、白いドロリとした片栗粉のような液体を流し入れてくれた。
すぐにコップ一杯の水を流して完了。
2時間後ふと窓から外を見るとひっくり返ったGの死骸が目に入った。
エ?と思いよく見るとドアの外、花壇の周り、窓から見えるだけでも5匹以上はひっくり返っている。
壁の方では瀕死のGが壁をよじ登ろうとしているがブルブル震えている。
毒、こわすぎる。
あまりにも壮絶な状況で、怖すぎて部屋から出られない。
そもそも死骸の処理はどうしたら…と怯えていると、大家さんの旦那さんがちょうど部屋の前に来て、床に転がる大量の死骸をうーん、という顔をしながら草むらの方に蹴散らしてくれている。
お礼を言おうとそーっとドアを開けると下を見て「あいうな…(Hay una...)」と言った。
即「ここに1匹いる」という意味だと理解、ぎゃああ!!と叫んでドアをバタン!と閉めた。
その後、ドアの隙間から瀕死のGが2匹入ってきた。そんなこともあろうかとドアの近くで殺虫剤とともに待ち構えていたので即退治。
ずっと見てる
どうやら排水管から上がってきたGは、床の近くは毒が効いているのかどんどん上へ向かっていっている。でも一度浴びた毒は強烈らしくやがて尽き果て、地面へ落ちる。
地面死…。
ティッシュにくるんだ死骸を外に捨てに行きたいが、まだ生きているGが見える。
でも同じ空間にいるのも耐えられないので、窓から外を見て動いているGがいなくなった瞬間を見はからって外に出た。
無事ポイっと捨てた瞬間、隣の部屋の壁にいたGが飛び立ったので、ひやあああ!!と叫びながら部屋に逃げた。
突然悲鳴をあげたアジア人に、工事のおじさんもびっくり。
恐ろしいことに、その後も死骸は増え続けた。
だいぶ落ち着いた頃、大家さんが娘さんを連れて帰宅。
そーっとドアを開けて「グラシアス…」と小さい声で伝えると、床に落ちているGを見て「これも怖い?」と聞いてくれた。泣きそうな顔で頷くと「わかった、片づけておくね」とウインクしてくれた。大家さぁん!!!
確認できただけでも15匹は地面死していた。毒の効果、すさまじい。
ていうかどんだけおったんや…。