エロゲにおける「チーム」「運命共同体」もの、というモデルの台頭。それを牽引する日野亘というライターについて (original) (raw)

青葉乱 @aobaran

さて、ちょっと20ツイートほどTLレイプします。お題は、【エロゲにおける「運命共同体」「チーム」もの、というモデルの台頭と今後】 について

青葉乱 @aobaran

【運命共同体・チームもの、とは?】 正式な呼称がないため、あえて自分なりにこう呼びます。家族計画、最果てのイマ、るいは智を呼ぶ、コミュ、桜吹雪、恋色空模様、真剣で私に恋しなさい、リトルバスターズ、などの「チーム結成型」ストーリーを、自分の中ではそう分類しています

青葉乱 @aobaran

従来より部活・バンドもの等の集団性はありましたが、最近は明確な「運命共同体」「チーム」という形を取ったモデルが流行っていると感じます。ジャンプ漫画などの一般的なバトルものでは、古来より取り入れてある手法かなと

青葉乱 @aobaran

ただエロゲにおいては、バトルものにしても「ヒロイン×主人公タッグのボーイミーツガール系」が大半でした。いわんや恋愛重視なら、なおさら向いていないモデルではあったと思います

青葉乱 @aobaran

今までは最適でなかった「チーム」というモデル(以降はこの呼称に統一)が、なぜ台頭してきたのか? その点について掘り下げると共に、現在のエロゲ動向について考えてみたい

青葉乱 @aobaran

【特徴】 まず、チームものの大まかな特徴=定義を列挙します。 ①ひとつの集団・チームという形: 信頼関係・絆であったり、単なる利害関係であったり、結び付き方のパターンは様々ですが、ひとつの集団であることが明確とされていること。

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②1対1ではなく、1対多数の繋がりである ③メンバー同士の相乗効果: チームという体制を取っているため、従来の主人公対ヒロインという1対1の関係に固執せず、主人公対多数、またメンバー同士での掛け合いが非常に密。ヒロイン個別ルートに入っても、他メンバーとの絡みが必須である

青葉乱 @aobaran

④「敵」「目的」が存在する: チームを結成するためのキッカケとして、明確な目的・目標、またそれに立ちはだかる敵が存在します。ただエロゲという特性上か、敵は目に見えないモノが多いかな。るい智でいう「呪い」とか

青葉乱 @aobaran

⑤物語的・群像的である: これが流行となっている要因の中で非常に大きいところと考えます。ストーリー重視である、というよりは「ストーリー重視にならざるをえない」モデルであると言える

青葉乱 @aobaran

②1対多数、という点を逆にとれば、1対1の関係は弱い。また、主人公すら多数の中の1である(リーダー・参謀といった重要な役割にあることが多いが、空気みたいな無個性もまた多い) そういう意味で「今だからこそ」通用するモデルなのです

青葉乱 @aobaran

【現在の環境】 エロゲの流行傾向は大雑把に、右のように変遷してきた。 恋愛SLG → 泣きゲー → キャラ萌え特化・ストーリー重視 → そして新たなフェーズ(現在) に差し掛かってると考える。これはぶっちゃけ自分の経験からの主観なので、ツッコミ頼むw

青葉乱 @aobaran

ただ確かに言えることは、【昔】ヒロインと主人公・1対1の関係・ボーイミーツガール系での、主人公=自分という自己投影型 → 【今】キャラと物語そのものを楽しみ、客観的・第三者的視点からの作品が増えてきた。またプレイヤーもそれに順応してきた。ということです

青葉乱 @aobaran

昔のような優柔不断で鬱な主人公像は消え、個性ある主人公が許される環境になっています。また逆に無個性でも問題なし、という。なぜならプレイヤーは主人公に感情移入・自己投影する必要がないから

青葉乱 @aobaran

この主人公モデルの傾向変化は、むしろアニメが顕著であり、なのは・ストパン・咲・けいおん etcにおける「男性不在」を見れば一目瞭然です。エロゲ業界のみならず、アニメからの影響も非常に強かったのではと。エロゲでの顕著な例では恋姫無双かな?

青葉乱 @aobaran

【流行を牽引する、日野亘というライターについて】 具体例で掘り下げてみます。チームものの代表作として「るいは智を呼ぶ」「コミュ」を挙げます。家族計画、最果てのイマといった田中ロミオ作品も代表作とは言えますが、明確なブームの爆発点となったのは、るい智じゃないかなーと

青葉乱 @aobaran

そのシナリオライターである日野亘は、他にも「桜吹雪」「こんそめ」など一貫してチームものを描いており、現在注目されているライターかと思います

青葉乱 @aobaran

運命共同体と呼ぶか、チームと呼ぶか。呼称はどうあれ、チームものはおおまかに2つのケースに分かれます。各々がもとから仲の良い関係であり、絆で結び付く=全員仲間的なチーム。イマ、リトバス、真剣恋など、こちらが大半のケース

青葉乱 @aobaran

そしてもうひとつが、利害・目的の一致のみで結び付く=あくまで形だけ、基本全員バラバラなチーム。るい智、コミュ、こんそめ、桜吹雪など、日野亘作品はこちらです。ただ、この利害一致型でも共通項として、その過程において、または最終的に、絆が生まれます

青葉乱 @aobaran

どんなに反発があっても、過ごした時間だけは本物で、信用・信頼に変換される。まさに、バトルものの王道ですなw

青葉乱 @aobaran

利害一致型=運命共同体を軸としたストーリーには、るい智のように「チーム内」での絆の深まり・紆余曲折を描いたパターンと、コミュのように主人公チーム以外にもチームが乱立している中での「チーム対チーム」を描いたパターンがあります。どちらも、社会の縮図を描いた、というのが主題にありそう

青葉乱 @aobaran

利害一致型のチームものは、昨今では浅くなりがちな「人と人との絆」を確かめさせてさせてくれます(青臭い言い方ですが) 浅いようだけど必ずどこかで繋がっている・支え合っている関係。この一貫したテーマに共感を得たプレイヤーは非常に多かったのではないかと。少なくとも自分はそうでした

青葉乱 @aobaran

人と人との絆を中心としたストーリーを描くにあたって、チームものは最適なモデルと言えます。目には見えない裏の部分での需要として、そういったストーリーが求められる傾向にあるのかなと。そのニーズを的確に捉え、時勢に乗ったのが日野亘であると考えています

青葉乱 @aobaran

また日野氏の特筆すべき点は、キャラとかもちろん魅力的なんだけど実はそれは2の次で、「世界の在り方」というテーマを一貫して描いてます。チーム=社会の中のいち集団、と。コミュは特にその点が顕著。チームというモデルを中心としてではなく、いちモデルをもうひとつ上の次元から見ている点に脱帽