叶精二さんによる『ルパン三世 カリオストロの城』の解説ツイートまとめ (original) (raw)
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叶 精二（Seiji Kanoh） @seijikanoh 『カリオストロの城』放映中。 以下、テレコムさんと御本人取材で現在までに把握出来た原画担当です。 カジノ襲撃～空を舞う札束までは丹内司さん。オープロから『マモー』を経て、大塚康生さんに直訴してテレコムへ。 次元とルパンの跳躍はタメと空間移動に試行錯誤し、45日間を費やした力作。
OPは制作末期に原画10名で1カットずつ分割して担当。 タイトルバックと流れるヨットは河内日出夫さん。 運河にたたずむ次元とルパンは篠原征子さん。 雨中を走るフィアットは丸山晃一さん。 波ガラスでゆらめく歩道を歩く少女は山内昇壽郎さん。 朝焼けの車道は友永和秀さん。 （続
崖下に宙吊りになったルバンとクラリスの落下は丹内司さん。 ルパンを介抱するクラリス〜火事跡の大公の城までは、筆頭原画の篠原征子さん。監督の要請で、日本アニメーション『赤毛のアン』原画を辞しテレコムに移籍。監督は大塚康生さんに美少女を任せず、篠原さんはクラリス専門。
篠原さんは『ラピュタ』でもシータ中心。 物思いにふけるルパン、次元のコブラツイストは丸山晃一さん。 城を眺めるルパンと次元、伯爵帰還〜指輪紛失の確認は河内日出夫さん。 河内さんは陰湿な伯爵を中心に、式場の混乱を中継する不二子まで幅広く担当。 本作では亜細亜堂からの出向。
食堂のスパゲッティ争奪はシンエイから移籍の田中敦子さん。 イタリアンレストランで実演して研究されたそうです。 カゲの襲撃〜フィアットで現場から逃走するまでは富沢信雄さん。監督の要請で日本アニメーション『アン』から移籍。 雨中の五ヱ門登場は原恵子さん（クレジットでは動画検査）。
伯爵の豪華な食事と厳重な警備を疑う銭形は、真鍋譲二さん。 カップめんをすする銭形隊〜ジョドー・グスタフの落下写真は山内昇壽郎さん。 お二人共オープロからの出向。 山内さんは、水越しに歪む銭形の顔、衛士隊と銭形隊の混戦、クラリスの気遣いに照れる次元と五ヱ門など、コミカルシーン担当。
甲冑倉庫での不二子とルパンの会話は丸山晃一さん。 城屋根を駆け下りて大跳躍するルパンは田中敦子さん。 新人ながら数多くの見せ場を担当。華々しいデビュー。 北の塔のルパンとクラリスの交流は篠原征子さん。 ルパンとクラリスを取り囲むカゲと伯爵の出現は丹内司さん。
ルパンを突き落とし、クラリスに屈服を迫る伯爵は河内日出夫さん。 宙釣りのルパン〜地下牢で銭形と合流して眠るまでは新川信正さん。 新川さんも日本アニメーション『アン』原画担当から移籍。 地下牢でのカゲとの闘い〜偽札工場を目撃して怒る銭形まで丹内司さん。
北の塔内に現れた不二子とクラリスの会話〜窓の爆破まで富沢信雄さん。 クラリス救出の失敗〜銃撃されるルパン〜銭形急襲・逃亡成功までは田中敦子さん。 インターポールで報告して叱責される銭形は丸山晃一さん。 園丁の老人宅で意識を回復し、ムチャ喰いするルパンは真鍋譲二さん。
今のうちに美術の話も少し。美術監督は小林七郎さん。 背景筆頭は青木勝志さん。青木さんは一時テレコムに出向しており、大公の廃墟と庭、ローマ水道などを担当。以下、松岡聡さん、石垣努さん、小倉宏昌さん、大野広司さん、水谷利春さんと後の美術監督（オールスターズ）がズラリ。
小林プロは外注。青木さんと交替でテレコム社内単独美術となったのが山本二三さん。 ローマ水道の噴水や骸骨が散乱する地下牢の背景、クラリスの指輪、甲冑、ゴート札の歴史、幼いクラリスがルパンに水を飲ませる回想カットなどのハーモニー処理からクラリスのヴェールのブラシ処理まで何でも担当。
豪華な声優陣、ルパン三世役の山田康雄さん、銭形警部の納谷悟朗さん、カリオストロ伯爵役の石田太郎さん、ジョドー役の永井一郎さん、園丁の老人役の宮内幸平さん…、そして取材でお世話になった原画の山内昇壽郎さん、皆さんお亡くなりになってしまいました。 感慨深いですね。
大司教に化けたルパンがクラリスをさらう前後は友永和秀さん。 （ニカッと笑うルパンが友永さんらしい） 式場の混乱を中継する不二子、銭形の地下への突進は河内日出夫さん。 銭形のわざとらしい猿芝居中継〜風車の塔で合流する次元・五ヱ門はコメディ担当の山内昇壽郎さん。
クラリスとルパンの別れ〜ラストまでは篠原征子さん。 以上で判明分終了です。 11名の原画マンは軒並み100カット超を消化。 制作期間4カ月半で約1450カット、総動画枚数約4万5000枚、日産平均動画300枚以上。 今では考えられない密度とスピードです。
宮崎監督の精密な絵コンテを具現化した優秀な若き原画陣、 小林プロのベストメンバー＋山本二三さんの美術、 そして、何より作画監督・大塚康生さんの 的確なチェックと高速修正、練達の技術抜きには考えられません。 スタジオジブリ時代とは異なる、大塚流の誇張と大胆さが脈打っています。
不敵で優しい寄り眼がちのルパンや不二子、城下町の雑踏・食堂に集う人々・渋滞の道路・警官隊・衛士隊・素顔のカゲたちといった無名の群衆の魅力的な造形と芝居、冷酷無比なはずの伯爵・ジョドーらの憎めない表情など、シーンの末端に至るまで大塚康生さんの人間観察の成果が随所に見て取れます。
『カリオストロの城』の原画の束を整理した際、大塚さんの修正と宮崎さんの修正がかなり違っていて勉強になりました。宮崎さんはポーズからプロポーションまで大幅に修正。全体に胸部が大きく、ウェストが細く、足が長い。大塚さんの修正は普通の人間体型で、タイミングやデイテールを最小限で修正。
バイクで去る不二子の後姿の修正例。原画マンの元絵は背筋真っ直ぐ、肩幅狭く、ウェスト細く、お尻も小さい美少女体型。大塚さんの修正は、やや前傾姿勢で肩幅広くハンドルをしっかり掴み、ウェスト太く、お尻も大きい。荷袋の膨らみ加筆、ベルト、タイヤ溝、ライト位置等、全て実証的補正でした。