中年日報 (original) (raw)
家で仕事をする。私の場合、絶対会社に行った方が集中できるのだが。
今日、仕事中に聞いた音楽では、アルバート・アイラーの On Green Dolphin Street に感動した。あれ、でも調べてみたらこんなタイトルのアルバムはディスコグラフィーになくて、On Green Dolphin Street は My name is Albert Ayler に入っている曲のようだ。配信だけのコンピレーション版か何かなのだろうか。
アルバート・アイラーは去年、群馬の秘湯に一人旅に出た時、天気は良いが山からの風強く寒い寒い午前中のバスを待つ駅前で、なんとなく聞いた Spiritual Unity に大変心を揺さぶられて小躍りし、それ以来ちょくちょく聞いているが、ディスコグラフィー全体を聞いたことはなかったので、これからもっと色々と聞いていきたいものだ。生きる楽しみが一つ増えた。
朝。論文の構成を考えて、一緒に研究している人に送る。
論文を読む。Christos Makridis "Does culture pay? Evidence from crowdsourced employee engagement data." Evidence from Crowdsourced Employee Engagement Data (February 28, 2018) (2018).
- 企業文化の価値についての実証研究。PayScale.comという企業の給料やスキルの市場価値の情報を提供しているサイトと協力し、アンケート調査を用いて三つの評価軸で(コミュニケーションの透明性、評価と感謝の程度、マネージメントの質)企業文化の評価付けを行なっている。これら3つの評価軸はそれぞれ従業員エンゲージメントや離職率と相関し、特に「評価と感謝の程度」がそれらとの相関の程度が強いそう。
- これらの総合スコアとしての企業文化は収益と営業利益と相関し、さらにこのスコアでポートフォリオを作成すると超過リターンも得られるとのこと。
- また、企業文化を1標準偏差高めることは、給与の1.7%に相当するらしい。つまり平均的には良い企業文化で働けるなら 1.7 %くらい給与が下がってもいいと従業員は判断しているということになる。
- どのように給与換算したのかなど気になるがまだ細部まで読めていない。
出勤時間になってしまう。バスに乗って出社する。通勤中に実証分析入門(森田果)を読む。これは本当に神本だ。数式が追えない自分には分かりやすい解説がありがたい限り。
仕事中に聞いた音楽で、Jóhann Jóhannsson の Drone Mass に感動を覚える。Jóhann Jóhannssonは昔から好きで良く聴いていて、友人の誘いでGregory Colbertの写真展なんかに行った時にも流れていた覚えがある。また何故か、ロウ・イエの映画でも流れていた記憶もある(映画を見ながら、どこかで聞いた音楽だがなんだっけと考えていた)。そういえば、ロウイエは好きなのだが新作をまだ見ていなかった。
ノーベル経済学賞の人がSNSを現代の最悪の罪、と言ったらしいが実にその通りと思う。
帰宅して夕食を食べる。Youtubeをダラダラと見て過ごす。何故か田原総一郎が朝食を食べる動画などを、放心しながら無感情で見ていた。
爽やかないい天気だが、外出もせずに、朝からワードで書かれた論文を提出のために Latex に変換する作業。ものの2-3時間で終わるかと思ったら終わった時には日が暮れていたではないか。作業時間の過小評価を繰り返して生きている。そんな感じで人生も半ばを過ぎてしまった。もう取り返しがつかない。
恐ろしい現実から逃げるためのNetflix。ギリシャ神話を現代社会で展開するKAOSを第4話まで見る。私には面白いけど、世間の人気がないためかシーズン2は打切りらしく残念だ。高いパフォーマンスを出す優秀な人々による合理的意思決定の帰結。そういう人々と比較すると私の人生も打ち切られるべきだろうなどと思う。
こんな風に考えているともちろん気が滅入ってきたがしかし弱者ぶるのは良くないと思い直す。せっかくの一日ではないか。
読書。ウィトゲンシュタインの論理哲学論考を再読し始める。前に読んだ時も思ったが、なんとなくオブジェクト指向を連想する。近所の珈琲館に行って、蓮實重彦の「夏目漱石論」を少し読む。主人公がいつも寝ている、横臥の姿勢を取っているという指摘に感動する。 それからジムに行って重い物をあげたり降ろしたりして、夜にはジャズを聴き、あとは数学と少し英語の勉強、就寝。残された日々を淡々と、コソコソと。