映画『踊る大捜査線 THE MOVIE』 | もはやそのセリフを聞くためにこの映画を観ている気さえする (original) (raw)

みんな大好き、私も大好き『踊る大捜査線』。
踊る大捜査線』への愛は既に2つの記事で書いてるので、もういいかなと思ってたんですけど、観たらやっぱり書きたくなっちゃったので書きます!

踊る大捜査線』の映画第1弾、『踊る大捜査線 THE MOVIE』。副題は「湾岸署史上最悪の3日間!」。
副題はダサいのが多いと常々文句を言ってる私ですが、これはOK!むしろこれしかないだろうという副題。
1998年に公開され、興行収入は100億円を突破。それまで洋画より圧倒的に人気のなかった邦画を復活させた立役者であり、ドラマ→映画の流れを確実に作りました。

あらすじはこちら。

青島俊作織田裕二)、恩田すみれ(深津絵里)は"通称・空き地署"と呼ばれる湾岸署に勤務する刑事。そんなある日の午後、湾岸署管轄の川で、腹部に刺しゅう用の糸で縫合した手術跡のある水死体が発見された。当初、自殺かと思われたが、解剖の結果、胃袋の中からテディ・ベアのぬいぐるみが現れ、事件は猟奇殺人事件へと発展していく…。

何でしょう。『踊る大捜査線』の面白さがあらすじからは全く伝わらないこの感じ。
映画のポスターも見てみたんですけど、なんかダサい。なんかあんまり面白くなさそう。

でも大丈夫!!!!
ご存知の通り、それはそれはそれはそれはもう、めちゃくちゃに面白いので!!!!!

だってメインタイトル出る前から既に面白いですもん。

早朝、車の中で誰かを見張っているような青島。
高まる緊張感。
無線から交通整理の要請が入る。
険しい顔で無線を切る青島。
静寂。
家のドアが開き、1人の男が出てくる。
車を出て走り出す青島ーーー

警視庁副総監のゴルフのお迎えだっただけ!!!!

そしてその曲を聞くだけで興奮してしまうオープニング。
完璧!!!

湾岸署内で発生した窃盗事件、
胃袋の中からテディ・ベアが出てきた死体、
副総監の誘拐……

映画は、小さい事件と大きい事件が絡み合い、
シリアスパートとお笑いパートでとんでもない緩急をつけながら物語は進んでいきます。

それにしても言いたい。

会議室がうるせー!

思ってたよりうるせー!

お前らちょっと黙っとけ!!!!!!!

記憶よりうるさい。
責任取らないのに口は出す。
金も出さないのに口は出す。
結果残せなくても口は出す。
失敗したら全部全部、部下(室井さん)のせい。

……って、お前らのせいだろうが!!!!
あんなとこで急に撤退させる方が逆に目立つってこともわかんないのか、馬鹿野郎!!!

現場のこともわからないくせに、誘拐されたのが副総監だからって偉そうにしゃしゃり出てきてんじゃねぇ!なんだその薄暗い会議室は!無駄におしゃれな円卓で喋るのやめろ!何もわかってないなら黙ってろーーーーー!!!

と、なりました。

信念を貫きたいのに、青島との約束を守りたいのに、上層部からの圧力で、それができない室井さん。

落ち込む室井さんに、「できますよ。室井さんなら」と缶コーヒーを奢って励ます青島。
それを陰から見守る和久さん。

和久さーーーーん!!!!!

(和久さんの姿を見ると「和久さーーん!」と叫びたくなるのは何ででしょう)

缶コーヒー代は警視庁に請求するという青島。

室井さん「自動販売機ごと返してやる」

かっこいいーーーーーーー!!!!!
かっこよすぎなんですけど!!!!!
プライドと信念を持って働く男の、女の、なんてかっこいいことか。
なんか、働くっていいなと単純に思わせてくれます。

でも仕事はハードです。
青島が犯人を見ている可能性があるかもしれないということで、完徹で写真をチェックさせられた青島。
すでに2日寝てない青島。
体壊したらどうしようもないからホワイトの方が絶対絶対いいんですけど、それでもめちゃくちゃ働いた奴にしか見えない景色というか、達成感というか、そういうのもあるといえばあるんですよね。
踊る大捜査線』は、それを押し付けるとかではなく、仕事というものをすごく前向きに捉えてる気がします。

さて、湾岸署内の窃盗犯も逮捕され、胃にぬいぐるみを詰めるという猟奇的殺人の犯人も逮捕され、残るは副総監の誘拐のみ。

本庁のプロファイリングチームが導き出した犯人像に捉われず、青島は拘留中の殺人犯から犯人像のヒントを得て、和久さんは現場に何度も足を運ぶことで誘拐犯を見つけます。

しかし、和久さんは犯人たちに捕まってしまい、大ピンチ。
青島とすみれさんが無事に和久さんを救出し、犯人のところへ急いで向かおうとしますが、会議室で本庁の上層部がまた揉めてます。

「逮捕は捜査一課に」とうるさい会議室からの声と、
「室井さん、命令してくれ。俺は室井さんの命令をきく」という青島の声に挟まれ苦悩する室井さん。

(来るぞ、来るぞ、来るぞ………)

青島「事件は会議室で起きてんじゃない!現場で起きてんだ!!!」

(来たーーーーーーーーー!!!!!!)

室井「青島!確保だ!」

青島、かくほだーーー!!!!!!

号泣。

知ってます。このシーン、死ぬほど見ました。

来るぞ、来るぞ、来るぞ……
と思って見ていて、そのセリフが来たら
来たーーーー!!!!!と思って泣けるって、すごくないですか?

全部わかって見ていて、一体何に涙が出てくるんだろうと自分でも不思議です。
たくさんモノマネもされ、何度も何度も見たこの映画の象徴のようなシーン。
それでも、このシーンまで青島たちが犯人を捕まえるために必死に仕事をする姿を見て、自分の足で犯人を見つけた和久さんを見て、会議室でうるさい奴らを見て、青島と会議室で騒いでいる上司たちに挟まれて苦しむ室井さんを見て、その上で「事件は会議室で起きてんじゃない!現場で起きてんだ!!!」のセリフを聞くと、めちゃくちゃグッときます。
むしろ、このセリフを聞くためにこの映画を見ているんじゃないかと思うくらいの感動。

それにしても、犯人の子供の母親ヤバかったですよね……

青島に何してんだ、コラーーー!!!!
お前の息子もドン引きじゃねーか!!!

息子が捕まるつもりでいるのに青島刺すなんて意味がわからない。
この後に及んで「この子は違うんです!」とか言ってパニックになってる母親の頬を張り倒して、「目ぇ覚ませ!!!お前の息子は逮捕されるんだよ!!!そんでもって、お前も逮捕されるんだよ!!!!」と言ってやりたくなりました。

この後は涙と笑いで情緒がめちゃくちゃ。
室井さんに抱き抱えられて歩く青島に泣き、
青島の血で赤く染まった服で必死に道を開けるすみれさんに泣き、
和久さんの丁寧な敬礼に泣き、
でも青島死なないんだよなと思って笑い、
車の中の緊迫した雰囲気で泣き、
でもこの後青島寝るんだよなと思って笑い、
青島が死んだかのように寝たところで大笑いし、
青島が寝てるとわかって拍子抜けしているすみれさんと室井さんに大笑いし、
それでも、沿道で青島を思い、敬礼する警察官たちの姿に泣き、
ラスト、青島が入院中の湾岸署では領収書紛失の犯人が発覚してめちゃくちゃ笑い、
それでも最後は青島のリハビリする後ろ姿にまた泣きました。

もう何なんですか?
こんなに感情が揺さぶられる映画あります?
繰り返される笑いと泣きで疲れ果てました。

何度見ても面白い。
これぞ、テレビドラマが産んだ名作!

「死んだんじゃないないないのか」という室井さんのセリフがめっちゃ好きです。

あ〜、やっぱりドラマはseason 5くらいまでやっててほしかったなぁ。

おしまい。