日光登山録~山と温泉の反復横跳び~ ①男体山を越えて湯元温泉へ (original) (raw)
はじめに
9/14(土)と9/15(日)の2日間にかけて日光の山々、男体山と奥白根山へ登ってきた。
登山自体も言わずもがな、日光の多種多様な地形や自然、そして温泉の恵みを存分に味わえた楽しい山行だったので、その様子を記録する。
登山計画
日光エリアは中禅寺湖を中心として東西に大きく広がり、観光スポットも山も分散している。だが、その第一印象に反してアクセスは驚くほど良い。東武バスの路線が要所を抑えており、運行頻度も1時間に2~3回という親切さのためだ。
そのおかげで、JR日光線&東武バスを利用することで、東京スタートでも1泊2日で男体山&奥白根山に登る算段が十分につく。
登山計画は以下のようになった。
- 1日目:始発で日光駅まで移動。バスで中禅寺温泉まで移動、9時ごろに登山開始。男体山を越えて戦場ヶ原を散歩、日光湯元キャンプ場で宿泊。
- 2日目:テントを張ったまま奥白根山へ登り、湯元温泉へ下山。そのままバスに乗って帰還する。
ルート図。
赤線(1日目):男体山を越えて戦場ヶ原を経由、湯元温泉で宿泊
青線(2日目):奥白根山へ登って湯元温泉へ戻る
いやあ、同じく日光駅が起点になる庚申山・皇海山とアクセスの良さが違いすぎる。あっちはスタート地点につくだけで1日かかったのに...
まあそんなことはともかく出発だ。
山行録
1日目:男体山登山&奇跡のテント泊
始発で5時ごろに出発。電車の中で眠りこけながらも、乗り継ぎを間違えずに今回のスタート地点である中禅寺温泉に無事到着した。
(いろは坂が日光駅から中禅寺湖へ登る道中にあることを初めて知った)
天気は雲が多い晴れ模様といったところ。事前の天気予報はあまり芳しくなかったのでそれに比べれば十分良好な空模様だ。ただし、今日登る予定の男体山ももれなく雲に包まれている。少しでも吹き払われてくれるといいな。
男体山は雲に包まれ
男体山への登山口は二荒山神社中宮祠で、中禅寺温泉からはやや歩く。
そもそも登山口にもバス停はあるので直接下りることもできたのだが、せっかく近くに華厳の滝や中禅寺湖といった景勝があるので、そちらを眺め歩きながらのウォーミングアップにしたのだった。
轟轟と落ちる華厳の滝
中禅寺湖が見えてきた
対岸は山深そうだ
水上遊歩道を行く
山々に囲まれ想像以上に森深い印象を受ける中禅寺湖の岸を辿っていくと、ほどなく二荒山神社中宮祠に到着。登拝料として1000円を払う代わりに安全祈願のお守りを貰って入山した。
9:15 登山開始
青銅色の鳥居、重厚だ
お参りもしつつ入山
さあ登るぞ!
もらったお守り(後日撮影)
登山道は参道らしい石段に端を発し、間を置かずに樹林帯へ突入していく。
このあたり、火口から遠く温泉が近くに沸いているわけでもなかろうに、そこはかとなく硫黄の匂いが漂っているのは不思議だった。
石段から始まる
土の道に
一度斜面へ取り付くと、円錐形の成層火山らしく一定の斜度でコンスタントに坂が続くようになる。
そんな中をテント泊装備で登っていくわけなので体力が削れることを懸念していたが、予想に反して足はスムーズに回転し、息が上がることもなく順調に標高が上がっていく。北アルプス4泊5日を重装備で歩いた経験が効いているのかもしれない。
3合目に着くと登山道は途切れ、舗装道に合流する。大きく蛇行して登ったのち、4合目で登山道が再開。
道には次第に岩が増え始め、高山の様相を呈してきた。
舗装道で迂回
中禅寺湖が望める
登山道へ再合流
岩場を登る
9合目を越えた先でついに樹林は途切れ、火山に定番の赤茶けた山肌が姿を見せる。
山頂が近い
ガスっているが、視界ゼロというわけでもない
垣間見える下界が美しい
ラストスパート
そして登頂!
11:10 男体山登頂
二荒山神社奥宮
男体山、2500mないのは見た目の印象に反して少し意外
男体山の山頂部は巨大な火口を囲むようにU字型に形成されており、ゆったり休めるスペースが広がっている。
北西部は火口辺縁が大きく欠けているが、これは噴火に伴う崩壊によるものだ。じっさい、地形図を見てみると北西に流れ出した溶岩の様子が克明に記録されていて面白い。
火口を西になぞっていくと、行き止まりにひっそりと太郎山神社が。
逆に東へ行ってみると、こちらには二荒山大神御神剣が。
この手の祀られる剣というと青銅剣がありがちだが、ここのものは銀色の光沢を放つTHE・刀という見た目をしているのが新鮮だ。
二荒山大神御神剣
雲間の月とともに
空にはやはり雲が多く、全周を見渡すというわけにはいかず。しかし、地上から見上げた時の印象ほど視界が閉ざされてもおらず、雲の切れ間から中禅寺湖や戦場ヶ原方面を覗くことができ、男体山の展望台としてのポテンシャルは感じられたのだった。
中禅寺湖 with ダイナミックな雲々
戦場ヶ原もちらりと見える
山頂の様子を十分に楽しめたところで下山に移った。
まずは火口にそった稜線歩き。見晴らしが良くアップダウンも少ないのでまあ楽しい。
戦場ヶ原(中央左)
その右奥に湯ノ湖
稜線歩きも一通り終わると、志津乗越へ向けた下りに入る。
登山道は中禅寺湖側よりも少し荒れているようではあったが、特に難所があるわけでもなく悠々と下っていき、12:50には志津乗越へ辿り着いた。
二荒山神社志津宮。日光連山への便が良い重要拠点
これで今日の登山パートは終わり、あとは舗装道を歩きながらの観光タイムだ。
まずは男体山からも見えていた大湿原、戦場ヶ原へ向かったわけだが、この歩きが意外に長かった。
そもそも、志津乗越は標高1800m程度と比較的高い地点であり、戦場ヶ原までは400m近く下りる必要が残っていたのだ。水平距離にしても、男体山へ登って志津乗越へ下りるまでの行程とほぼ同じだ。
単調な道を延々と下りる途中、自転車で颯爽と駆け下りる登山者に追い抜かれ、なるほどここに自転車を持ち込むのは賢いやり方だと感心しつつ、羨む心も否めないのであった。
14:20にはようやく戦場ヶ原へ到着。
戦場ヶ原を散策
ズミ林を抜けた先には湿原の全景を見渡せる大展望が出現。
先ほど登ってきた男体山と、その奥に連なる大真名子山、小真名子山も同時に視界に収まる素晴らしい場所だった。
ズミ林
広い木道
男体山。北西からは尖って見える
全景を見渡す
泉門池に着いたころには15時を回る。もう少し南西の小田代原や青木橋を見て回りたい気持ちもあったが、そろそろキャンプ場へ向かわないと日が暮れそうだったので名残惜しいながらも切り上げた。
泉門池
小滝・湯滝の横を登る
宿泊地の湯元温泉へ向けて残る行程は、小滝・湯滝に沿った上りと、その先の湯ノ湖だ。上りではあるものの、道は一般客へ向けてよく整備されていて苦労はない。
湯滝を見上げる場所にはレストハウスがあり、滝を眺めながらゆず味噌団子を頬張って小休憩するのは乙であった。
小滝
湯滝。放射状に広がる
ゆず味噌、団子の味付けとして最高かもしれない
上から見た湯滝
湯滝に沿った上りを終えるとそこに広がるのは湯ノ湖だ。
かなり遠浅の湖らしく、浅瀬に直接浸かって竿を垂らす釣り人が多いのが印象的だった。どうやらニジマス・カワマスが毎週放流されていてトラウトフィッシングが盛んらしい。
釣り人多き湯ノ湖
岸に沿って歩いていくと、北には湯元温泉が面しているため一気に開発度が上がって人気も増える。ようやく今日の宿泊地に到着だ。
北岸
湯元温泉、到着
湯元キャンプ場へ設営
湯元キャンプ場へ到着したころには16時と、山行終了時間としてはかなり遅めになっていた。
予約不要なキャンプ場なのでテントサイトが残っているか少し不安だったが、いざキャンプ場をこの目で見てみると全くの杞憂だったことが判明した。スキーゲレンデの延長線上にある広い草原の全てがテントサイトだったのだ。
無限の空間
山中の登山拠点としてのキャンプ場の感覚に慣れきっていたので、一般的なキャンプ場は基本こんな感じだということを失念していた。
他のテントから10mは間隔を置いた平坦な草原に悠々とテントを設営。200張以上が細い稜線に詰め込まれた太郎平キャンプ場での宿泊が遠い昔のことのようだ。
ここを設営場所とする!
宿泊地が温泉という贅沢
設営も完了したので次は何をするか。そう、ここは湯元「温泉」なので入浴に決まっている。登山の中日に風呂に入れるとはなんて贅沢なことだろう!
キャンプ場利用料を支払ったときに日帰り入浴可能な施設リストを貰えたので、それをもとにチョイス、キャンプ場にほど近い「ほのかな宿 樹林」に立ち寄った。
ほのかな宿 樹林
風呂は広々とした屋内浴槽&露天風呂の二段構えで、じっくりとリフレッシュできた。
ホテル内の雰囲気を束の間味わえるのも日帰り入浴の楽しいところだ。
中庭に点灯
サプライズ花火大会
キャンプ場のチェックアウトは12時と猶予が長めに設定されているため、明日の奥白根山登山は早めに出発すればテント張りっぱなしでいけそうだ。午後に天気が崩れる予報なことも合わせ、早起きすることに決めた。
後は寝るだけだとテント入り口のファスナーを閉め、寝袋に潜り込んだのだった...
月の映える、暮れゆくキャンプ場
が、暗くなったキャンプ場に突如破裂音が響き渡る!
いそいそとテントを出ると、暗闇を鮮やかに照らす何発もの花火が、間近で盛大に打ち上げられていたのだった。
花火大会はさすがに予想してなかった
嬉しいサプライズ
フィナーレ
どうやらこれは湯元温泉花火大会だったらしい。当初の予定は8/31(土)だったものの台風の影響で延期し、結果的にこの日9/14(土)に開催されたとのこと。
そのことを全く知らずに無邪気にテント泊しに来ていたものだから驚いたし、このタイミングで登りに来て本当に良かった。
つづく
2日目、白根山登山へ続く!