財政と民主主義/神野直彦 (original) (raw)

財政と民主主義 人間が信頼し合える社会へ (岩波新書 新赤版 2007)

財政学の研究者の方が日本の財政について語られた本です。

この本では主にスウェーデンなどと対比されて日本の財政について語られているのですが、民主主義国であるはずの日本なのですが、諸外国に比べるとかなり国民の財政に関するコントロールの効き方が甘いということで、それは我々の実感にも合致しているところで、土建屋を設けさせるために税金を払ってんちゃうぞ!とか、老人ばっかりに手厚いから少子化が止まらんのや!と思っている人も多いことでしょう。

シルバー民主主義じゃないですが、老人に手厚い状況について「社会保険国家」と評されており、欧米で多い将来に向けた財政支出に手厚い「社会サービス国家」もしくは「社会投資国家」という姿と好対照だということで、そういう財政支出のスタイルが少子化を招いているという側面も否めないことでしょう…

この本では、そういう「社会保険国家」というスタイルが、租税負担の少なさとセットになっているとされていますが、「五公五民」とすら揶揄される負担率の重さとは異なる気がして、そういう歪みも国民の怨嗟の元となっているような気もします。

何にせよ、「ザイム真理教」に毒された政治家を一掃しなければ、国民のための財政なんて夢のまた夢のような気すらします…