社会の変え方/泉房穂 (original) (raw)

社会の変え方 日本の政治をあきらめていたすべての人へ(明石市長・泉房穂)

明石市長で、少子化対策などで大きな成果をあげたこともあって、国政への転進も期待される泉房穂さんの自伝的な著書です。

泉さんが市民の方を向いた政治をされる原点には、障害のある弟さんへの行政の冷たい仕打ちがあったと、再三語られていて、この本でもその内容についてつぶさに語られていて、現在なら大ブーイングの対象となるようなモノで、近辺の学校に入学する際に、一切行政にクレームを入れるな、という念書を書いた上でないと入学させないというようなことがまかり通っていた社会への怒りを持ち続け、そうではない人にやさしい、誇りに思えるような明石市にしたいということで市長となられたということです。

市長になられた際も、特定の支持基盤を持たずに就任したこともあって、子育て世代にやさしい政治を導入しようとした際に、既得権益層からの壮絶な嫌がらせがあったということを打ち明けられていて、そんなものが支持されるワケがない、とされていたようなのですが、「支持層は市民」との信念を曲げずに、子育て層にやさしい政治を貫いた結果、目覚ましい人口増につながり、ひいては子育て層への政策で歳出を増やしつつも、結果として税収が増えて財政再建も成し遂げたということです。

そういった政策をする際にも、国会議員の経験を活かして、所轄官庁の急所を突くような交渉もしたようですが、必ずしも予算措置を求めたワケではなく、とにかく子育て振興政策にチャチャを入れないでくれ、でもうまくいったら他の自治体に横展開してくれ、と明石市にとどまらない視点を持たれていたことも特筆すべきところではないでしょうか!?

昨今、自分の選挙のことしか関心のない政治家が裏金とかで跋扈する中、どうしてもこういう信念の政治家が待望されるのは自然なことですよね…