8/18 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「常識を越える技術と熱意!最新スーパードクターファイル」 (original) (raw)
今回はこの手の番組でも人気の企画、いわゆるスーパードクターのシリーズ。
動脈瘤手術の専門家
最初に登場するのは脳外科のスーパードクター、総合新川橋病院の佐野公俊医師。彼の得意分野は動脈瘤のクリッピング手術だという。130種類以上ある長さ1センチのチタン製クリップを使って、動脈瘤をクリップ止めして破裂を防ぐ開頭クリッピング手術の専門家。今まで手術実績5000件以上というレジェンドだという。難しい症例だと声がかかるらしい。
動脈瘤クリッピング手術(出典:済生会熊本病院HP)
佐野医師はまず手術の前に絵を描いてシミュレーションを実施するのだとか。見えない位置に動脈瘤などがある場合が多いので、それを間違わないようにイメージするためのものだとか。別の医師が開頭などを手がけるが、難しいところになる佐野医師が登場、細かい血管などに気をつけないようにクリップを使い分けて適切にクリッピングを実施する。手術終了後には絵を記録として残して確認するらしいが、これは若い医師を教育するための資料でもあるのだという。
新術式を開発した心臓外科の専門家
次は心臓外科のスーパードクター、ニューハート・ワタナベ国際病院の大塚俊哉医師。心房細動では血栓が生成して脳梗塞などにつながる危険があるが、彼が編み出した手術法は心房細動の根治をした上で脳梗塞などの危険を無くす方法だという。術法はウルフ・オオツカ法といい、大塚医師の名がついている。患者の負担を減らすために心臓を止めずに手術を実施するのだという。
血栓の出来やすい左心耳を切除する(出典:ニューハート・ワタナベ国際病院HP)
手術は両脇に0.5~1センチほどの穴を4ヶ所開けて医療機器を差し込んで行う。視野が限られるために経験と知識が必要となる術法である。肺静脈の異常信号が出ている位置にDr.ウルフが開発した特殊な器具を当て、これを目印に2つめの機器で肺静脈を挟んで焼くことで異常信号を遮断、さらに血栓が出来やすい左心耳を切除することで将来の脳梗塞を防止するのだという。後進の育成にも力を入れており、彼が指導した医師が全国で活躍しているとのこと。
膵臓ガン治療のためのスペシャルチーム
最後は膵臓がん治療のスーパードクター。富山大学付属病院の膵臓・胆道センターは膵臓ガン患者の最後の砦と言われているという。早期発見が難しく進行が早いために5年生存率の著しく低い膵臓ガン患者のために膵臓専門の内科医と外科医が連携しての治療を取り組んでいるという。
富山大学付属病院膵臓・胆道センターHP
最初に登場するのは膵臓専門の内科医、安田一朗医師。彼は超音波内視鏡で胃の裏側にある膵臓ガンの状態を超音波で観察するのだという。かなり難しい技術を必要とするが、彼はそのスペシャリストだという。腫瘍を発見すると献体の採取を行って膵臓ガンの診断を行うのだという。早期発見は彼の腕次第だという。
そうして診断のついた膵臓ガンを切除するのは外科医、藤井努医師。諦めの悪い医師といわれる彼は、難易度の高いガンの切除に取り組んできているという。彼は特に切除後の再建に長けているという。膵臓の一部、胆のう、十二指腸を切除後、小腸に胆管及び膵臓、胃をつなぐのだが、この時に膵臓から膵液が漏れると合併症を引き起こすので、これが5年生存率が低い理由の1つだという。藤井医師はこれを防止するために、膵液の漏れにくい縫合方法を編み出したのだという。富山大学では内科医と外科医が一緒になってのカンファレンスを実施することで一丸のチームとして取り組むことで生存率の向上につなげているという。長時間の手術の場合、チームが交代しての手術の継続なども行っているとのこと。
以上、スーパードクターの紹介。もっともこうやって特定の医師ばかり持ち上げると、そこにばかり希望が殺到するということになりがちなので、こういう企画は良し悪し。まあこういうスーパードクターから技術を学んだ医師が各地に増えていくことに期待したいところ。
なお特に外科医は単なる医学的知識だけではなく、最後は純粋な手先の技術といった職人芸に頼る部分があるので、余計にスーパードクターの登場が困難な部分がある。実際に世の中を見ていると「この人は頭は極めて優秀なのだが、手を使うとなぜここまでも不細工なのか」と呆れるようなタイプの人もおり、こういう人は特に外科医には向かない。逆に手先は極めて器用であるが、医学的勉強になると頭がついていかないという人もいる。こういう2タイプを上手く長所を活かせる方法はないかなんてことを思ったりする。両方を兼ね備えている人物は希有であるが、どちらかだけの人ならもっといると思うので、上手くタッグを組ませるとかの方法はないんだろうか? まあ現在研究開発中の自動手術なんてのは1つの解決策だとは思うが、まだ人命を機械に完全に託せるだけの信頼性はないだろうし。
忙しい方のための今回の要点
・卓越した技術を有するスーパードクターを紹介。
・一人目は総合新川橋病院の佐野公俊医師。彼は130種のクリップを使用しての、動脈瘤の開頭クリッピング手術の専門家であり、今まで5000症例以上を手がけている。
・二人目は心房細動手術の専門家、ニューハート・ワタナベ国際病院の大塚俊哉医師。彼が編み出したウルフ・オオツカ法は、心臓を止めることなく心房細動の根治手術を実施し、さらに血栓生成による脳梗塞の危険をなくす。
・最後はは富山大学付属病院の膵臓・胆道センター。ここで5年生存率の非常に低い膵臓ガンに対し、内科医と外科医がチームとして連携することで高い生存率を誇っている。
・内科医の安田一朗医師が超音波内視鏡で膵臓ガンを早期発見、それを外科医の藤井努医師が膵液の漏れを防ぐ術式で切除することで生存率を上げている。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・世の中にはこのように社会の役に立つ卓越した人物もいれば、逆に社会に害しかなさない輩もいたりするんだよな・・・。しかしその害しかなさいない奴の方が往々にしてデカい面していたりするから救いがたい。