NATURE DIARY (original) (raw)
20090621 みちのくにて:メスアカミドリと天牛(岩手県)
2009年 06月 26日
Nature Diary #0260
Date: June 21st (Sunday), 2009
Place: Iwate Pref.
Weather: Cloud and rain§ Diary §
岩手では毎日雨にたたられた。
まあ、梅雨の時期に雨に文句をいう方が間違っているね--------。
写真は、岩手を離れる日(23日)の午前中に撮影したもので、この時だけ雲が切れて、南部富士(岩手山:2038m)の雄姿を少しだけ拝むことができた。
風さむき岩手の山にわれらいま校歌をうたふ先生もうたふ (宮沢賢治)
◆南部富士 (6月23日、岩手県)◆
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Mt. Iwate
Olympus E-3, ZD50mm、EC-14
▶メスアカミドリシジミ; Smaragdius Green Hairstreak
林の周りを歩きながら、下草や葉を見たがゼフの影は無い。そこで、少し枝を叩いてみたが、やはりチョウが飛び出す気配は無かった。天気(小雨が降っていた)のせいなのだろうか、それとも時期が早すぎたのだろうか(今年の東北のゼフの発生は例年並みか少し遅れ気味だ)。
しばらくして、クリの花からシジミチョウが飛び立って下草の葉上に静止した。近づいてみるとメスアカミドリシジミだった。こんな時は1頭のメスアカミドリでも、とても貴重で愛おしく感じるものだ。
そういえば、メスアカミドリは今年の初見である。
◆メスアカミドリシジミ (6月21日、岩手県)◆
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A male of Smaragdius Green Hairstreak
Olympus E-3, ZD8mm Fish-eye、EC-14
◆メスアカミドリシジミ (6月21日、岩手県)◆
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A male of Smaragdius Green Hairstreak
Olympus E-3, ZD50mm、EC-14
メスアカミドリの静止した葉に、木漏れ日があたると、おもむろに翅を開いた。
半開翅のときに見える鮮やかな青は、何度見ても、幾つになっても、胸が高鳴る。
◆メスアカミドリシジミ (6月21日、岩手県)◆
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A male of Smaragdius Green Hairstreak
Olympus E-3, ZD50mm、EC-14
クリソゼフ(Chrysozeph)の翅の輝きは強烈だ。
標本では、クリソゼフの仲間(アイノミドリ、メスアカミドリ、ヒサマツミドリ)は金緑色に輝く。しかし、野外で太陽光の元で彼らを見ると、翅表の金属的な輝きは緑色よりは青色の色調が勝っているようだ(野外で綺麗に金緑色を出すのは至難の技である)。
多分、光源の違いによるものだろうか。
◆メスアカミドリシジミ (6月21日、岩手県)◆
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A male of Smaragdius Green Hairstreak
Olympus E-3, ZD50mm、EC-14
そこで、ためしにストロボを用いて撮影して見たところ、かなり緑色を帯びることがわかった。緑色を出したい時にはストロボを用いるのも1考である。
◆メスアカミドリシジミ (6月21日、岩手県)◆
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A male of Smaragdius Green Hairstreak
Olympus E-3, ZD50mm、EC-14
▶フタスジチョウ; East European Sailer
北海道や東北のフタスジチョウは、
中部亜種に比較して白い帯がより太い。
フタスジチョウに会いたくて、ある場所まで車を走らせた。そこは一昨年に訪れたときに、多数の個体を見かけたユキヤナギの垣根だ。しかし、残念ながらフタスジチョウを見ることができなかった。たぶん、まだ未発生なのだろう。
少しがっかりして車を走らせていると、道路上に飛ぶフタスジチョウを見つけた。静止したところを数枚撮影することができたが、このチョウは後から来た車に轢かれてしまった。
◆フタスジチョウ東北亜種 (6月21日、岩手県)◆
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East European Sailer
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro
◆フタスジチョウ東北亜種 (6月21日、岩手県)◆
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East European Sailer
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro
▶天牛:カミキリムシ; Long-horned beetle
キモンハナカミキリを路傍のセリ科(たぶんハナウド)の白い花上で見つけた。
本種を見るのは何年ぶりになるだろう。最初にキモンハナに出会ったのは、高校生の頃に訪れた裏日光(群馬県)の片品村大沢の村内の栗の花だった。キモンハナは稀というほどではないが、少ないハナカミキリなので、出会ったときには喜んだのを覚えている。
岩手の山中では、このキモンハナの個体数が比較的多いようだ。
ハナウドの花には、キモンハナの他に、ニンフホソハナ、クロルリハナ、ヒメアカハナ、ツヤケシハナなどのハナカミキリの仲間が多く集まっていた。実のところ
北上山地のモモブトハナカミキリを期待したのだが、残念ながらみることができなかった。
◆キモンハナカミキリ (6月21日、岩手県)◆
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Leptura duodecimguttata
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro
イラクサの葉上で、小さな赤い甲虫を見つけた。よく見るとアカイロニセハムシハナカミキリである。
この虫がカミキリムシの仲間であることを看破したヒトは慧眼である。
アカイロニセハムシハナは珍しいとまではいえないが、やや局地的で、どこでも見られるものではない。関東地方ではピックニセハムシハナやヒナルリハナなどとともに春にカエデの花に集まることが多い。
◆アカイロニセハムシハナカミキリ (6月21日、岩手県)◆
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Lemula nishimurai
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro
伐材にキンケトラカミキリが集まっていた。みるとかなり多くの個体が這い回っている。
この虫は一見、キイロトラに似ているが、キイロトラよりも小型で、キイロトラに比べると見る機会はかなり少ない。
キンケトラも久し振りの出会いなので嬉しい。
◆キンケトラカミキリ (6月21日、岩手県)◆
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Clytus auripilis
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro
赤いカミキリムシが飛翔してきた。ヘリグロベニカミキリかなと目で追っていたら、どうも違う。もしかして稀種のムモンベニカミキリかも知れないと思いあわてて近寄ると、ベニカミキリだった。
ベニカミキリは竹を食べるカミキリである。ここには竹など見当たらないが、いったい何を食べているのだろうか。
◆ベニカミキリ (6月21日、岩手県)◆
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Purpuricenus (Sternoplistes) temminckii
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro
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§ Afterword §
ここ数年、岩手に来ているが、ゼフに会うのが楽しみである。しかし、今回は残念ながら、連日の雨で、ゼフにはほとんど会うことが出来なかったのが残念だ。
今年の東北は、6月の天候不順のためなのか、蝶の発生が遅れているようだ。というのも、この時期(6月20日前後)ならすでに発生していてもおかしくない陸中のチョウセンアカシジミが、盛岡市や宮古市のいずれの棲息地でも全く見ることができなかったからだ。そして他のゼフもほとんどnull 状態。
いつか、みちのくでゼフの乱舞にまた出会いたいものだ。
以上、 by
虫林花山
Photographic Adventures for Insects and Flowers
by 虫林花山
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