映画感想:「ロード・オブ・モンスターズ 怪獣帝国」(55点/モンスター) (original) (raw)

■■■「ロード・オブ・モンスターズ 怪獣帝国」■■■
(55点/モンスター)

地球外物質との接触によって産まれた類人猿型巨大生物『エイブラハム』は、暴走したメカエイプを撃破したあと、太平洋の孤島であるワトキンス島で研究員たちの監視のもと穏やかに暮らしていた。

しかしそんなある日、ワトキンス島の近海で巨大な豪華客船が失踪するという事件が発生。

それは実は、20年前のエイブラハムの宇宙からの帰還時にエイブラハムと共に地球に飛来し海底で潜伏しつづけていた古代怪獣『クラールー』の仕業で、クラールーはワトキンス島に上陸してエイブラハムに重傷を負わせたうえで、アメリカ大陸に向かって侵攻を開始してしまう。

人類は怪獣の侵攻を食い止めるために、破壊されたメカエイブの欠点を改良した『メカエイプ・マーク2』を投入。

メカエイプ・マーク2はクラールーに深手を負わせる事に成功するも、自らも破損してしまい…

宇宙から帰還した巨大猿『エイブラハム』と蘇った古代怪獣(邪神)の戦いを描いた、怪獣ものモンスターパニック映画。

パクリ映画でお馴染みのASYLUMによって作られた「キング・オブ・モンスターズ」のパクリ映画ですが、人気シリーズとしてシリーズ化が続いており前作である「ロード・オブ・モンスターズ 怪獣大決闘」(エイブラハム VS メカエイプ)の続編に当たるお話となっています。

まあ実際のところ、最近のASYLUM作品のなかでは割と出来の良いシリーズなので、続編が作られるのも納得という印象。

シリーズ最新作の本作では、宇宙から来た強敵怪獣である『クラールー』に対して、人類の味方である『エイブラハム』と前作では敵だった『メカエイプ』が協力して戦うという、怪獣映画としてはお約束ながらのなかなか熱い展開が描かれているのは好印象。

相変わらず低予算の作品ではありますが、割とシッカリと『怪獣映画』に対するリスペクトのようなものが感じられるのは、本シリーズの良い部分ですね。

今回、ライバル怪獣として登場する『クラールー』は、名前から想像できるとおり『クトゥルー』をモデルにした怪獣という感じなのですが、クトゥルー自体がモンスターとしてのデザインが完成されている事もあって、怪獣のデザイン的には悪くない印象。

もともとが『強力なモンスター』ですので、主人公に対する強敵感にも説得力があって、なかなか悪くありません。

また、今回は今までのシリーズと違ってストーリーが意外とシッカリとしているのも特徴で、序盤で登場した『豪華客船の失踪をテロとして調査する記者』が、実は後半で重要な役割をになっていたり、異常に高圧な態度を取る政治家が実は思いがけない秘密を持っていたりと、あちこちに細かい伏線が張られていたりするのは侮れません。

ぶっちゃけ、『ASYLUMの映画なのにストーリーが普通に面白いとかどういう事!?』と、ナチュラルに驚かされてしまいましたよ。(笑)

ただ、ストーリーは意外と良く出来ているのですが、怪獣映画を撮るにはいかんせん低予算故の予算不足が随所で感じられるのは辛いところ。

怪獣による破壊のシーンは大半が他の映画や実写映像の使いまわしなのに加えて、戦闘機や兵器の出撃シーンなんかも実写映像の流用で、観ていて映像が浮きまくっていて違和感ありまくりなのは困りもの。

低予算故に顔だけアップの会話シーンも矢鱈と多いですし、怪獣同士の絡みもクライマックス以外では殆ど無くて、メカエイプの出撃シーンとかもコックピットの映像ばかりですし、怪獣のCGを作る予算が無いせいか格闘シーンとかも一瞬で終わってしまうんですよね。

ストーリーは意外とシッカリしてるんだから、特撮がもうちょっと予算をかけてキチンと作られてさえ居れば、もうちょっと良い感じの作品になったと思うので、その辺は残念なところです…

でもまあ、ラストは『続編を作る気まんまん』みたいな引きだったので、もうちょっと人気が出て予算が潤沢に使えるようなシリーズに成長して欲しいところでえすよ。

総評としましては、低予算ながらも『思ったよりも意外と楽しめた怪獣映画』という感じですね。

まあ、低予算すぎて怪獣映画としては微妙な部分が多いですが、キチンと『怪獣映画へのリスペクト』とかも感じられますし、悪くない印象の作品でした。

全く期待していなかった割には楽しめた作品でしたので、ASYLUMの本シリーズが好きな人であれば、とりあえずチェックしておいても良いかもしれませんよ。