サービス精神溢れる『黒死荘の殺人』カーター・ディクスン(ジョン・ディクスン・カー)*ネタバレは伏せ字 (original) (raw)
この広告は、90日以上更新していないブログに表示しています。
ケン・ブレークは友人でもある幽霊屋敷「黒死荘」の当主ディーン・ハリディから信用できない心霊学者ダーワースに叔母、婚約者、知人が心酔してしまったため、 「黒死荘」で一晩明かして、心霊学者達のインチキを暴いて欲しいと頼まれマスターズ警部と共に「黒死荘」へ向かう。
「黒死荘」ではディーンの家族、知人と心霊学者による降霊会が計画されており、立場が違う両者の緊張が最高潮に達した時、突如鳴り響いた鐘の音。密室となっていた石室では術者ダーワースが曰く付きの短剣で惨殺されていた。
周囲に足跡も無い完全な密室の犯行に解決の糸口が見つからないため、マスターズ達は陸軍省情報部長ヘンリ・メリヴェール卿に操作の協力を求める。
『黒死荘の殺人』を読みました。ジョン・ディクスン・カーのカーター・ディクスン(以下カー)名義の作品カー作品の特徴でもある「密室殺人」「不可能犯罪」「怪奇色」が全て揃ったとても豪華絢爛な作品となっております。
密室トリックは現在では既視感はありますが鮮烈です。犯人を当てることは非常に難しいですね。アンフェアな部分も感じましたが、マイナス面を上回るストーリーの魅力がある作品です。
怪奇色が強いミステリーが好きな方におすすめです。
事件発生までは、黒死荘の不気味さを強調する描写と演出、曰く付きの短剣と持ち主の話、心霊学者一派とそれをインチキと証明したい一派の探り合いが続きます。物語はケンの一人称で進みます。居心地が最悪な黒死荘でのケンと降霊会の人達の会話はピリピリしていて読んでて疲れたことがとても印象深いです。意外にも巻頭に見取り図が無いためどの場所にいるのか分かりづらいことが黒死荘の不気味を増すと思ったのは私の考えすぎでしょうか。
事件発生後、ヘンリ・メリヴェール卿(以下H・M)が登場してからは怪奇色は無くなってしまいます。前半の不可解な事をH・Mがテンポよく解明していき登場人物も冷静になり人物像がわかってくるため面白くなっていきます。しかしH・Mは肝心の密室の謎と誰が犯人なのかはなかなか教えてくれませんね。正直、読んでいるうちは伏線がどこなのかが分かりづらかったです。
初登場のH・Mは読んでればキャラクターがつかめてくるためか、紹介等は必要最低限でした。
ネタバレ感想 伏せ字
密室トリックはシンプルで鮮やか!
岩塩弾はミスリードでしたね。H・Mが舐めるなと忠告していたので素直に毒殺なのか?と考えてしまいました。
犯人の共犯者が多すぎて全員は当てられそうにないですよ。
警部が共犯者なのはかなりの飛び道具でした。
密室トリックだけで終わらせないサービス精神だと前向きに捉えました。