166冊目『自省録(岩波文庫版)』マルクス・アウレーリウス (original) (raw)
個人的評価★★★★★
未来のことで心を悩ますな。必要ならば君は今現在のことに用いているのと同じ理性をたずさえて未来のことに立ち向かうであろう (P118~
どんな本なの?
タイトルを聞いたことある人多いのではないだろうか。
賢人皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌスの自省録岩波文庫版(神谷美恵子訳)
(訳自体は1956年の訳だけれど結構読みやすい。古い岩波文庫だと文字の型も古いの多いけれど、増刷とかのときにみなおしてるのかな?)
ストア派のマルクス・アウレリウス・アントニヌスが、戦場の陣地とかで考えや指針などを自分用のメモとして書いていたものをまとめた本。なので自省録。
高校の世界史とかだとマルクス・アウレリウス・アントニヌス=大秦国王安敦として習った思い出がある(笑
唯物論(物理的)世界観が印象的
私は形相因と物質から成っている。これらのいずれも消滅して無に帰してしまうことはない。また同様にいずれも無から生じたものではない。かように私のあらゆる部分はそれぞれ変化によって宇宙のある部分に配分され、つぎにそれが新たに宇宙のほかの部分に変えられる、というふうに無限に続いて行く。私が生まれてきたのもやはりこのような変化によるのであって、私の両親も然り、という具合にもう一つの無限にさかのぼって行く。たとえ宇宙が一定の周期に支配されているとしても、以上のごとくいうのになんの差し支えもない。(P81~
ストア派哲学(セネカ)の影響と、アリストテレス哲学の影響が強いためか、唯物論的(物理的)世界観ぽい感じがあり、それがまた現代の僕らの世界観に近くて多く読まれる要因にもなってるのかな?
唯物論というとマルクスの史的唯物論(共産主義)を思い浮かべがちだけれど、ここでは物理的運動法則に従ってる世界観のことね(自然主義的世界観)
また、ストア派哲学自体も仏教の中庸的な感覚というか、世俗的なことへの忌避と心の平穏を保つことをある意味では目的とした思想だから受け入れられやすい土壌はあるかもしれない。
個人的には、古代ローマの世界観や人生観は日本的な世界観や人生観と似ているところが多々あると思うのである(古代ローマはかなり実際的な思想ではあるけれど)
箴言集的にも読めて、気軽に読めるのでおススメの一冊✨