丑野つらみ戯曲集 (original) (raw)
この戯曲はフィクションです。実在の人物や団体、場所等とは一切関係ありません。
登場人物:
紗羅星(しゃーろっと) 21世紀末生まれ。
ちなみに、明治安田生命の名前ランキング2091年版によると、1位:織麗日亜(おりゔぃあ)、2位:威雷蛇(いらいじゃ)、3位:紗羅星(しゃーろっと)とのこと。男女別などという無意味な区分はもうこの時代では採用されていない。
砂音(さおん)2112年度前期の朝ドラ「じゃみじゃみ」の主人公。あだ名はジャミ。
愚野(おろかの)オロカ 1990年代初頭生まれ。125歳まで生きたらしい。
◯西暦2112年のある朝
紗羅星が朝ドラ「じゃみじゃみ」を立体映像で視聴している。
砂音の父「そうは言ってもな……日本では、子どもを持つことができるのは結婚した男女なんだ。それが正しい家族のあり方なんだ」
砂音「キェー!」
紗羅星「出た! ジャミの"キェー!"」
ナレーション「一方その頃、2024年10月30日。民法や戸籍法の規定が同性婚を認めないのは憲法違反だとして同性カップルら7人が国を訴えた訴訟で、東京高裁はこの規定を違憲と判断したのでした」
レインボーの幕を掲げた原告団の映像が映し出される。
紗羅星「えーまた? この前も国連からの勧告とか違憲判決のシーン無かった?」
ナレーション「そしてこの次の日。日本の運命を変える大きな出来事が起きたのです……」
◯2024年10月30日
在宅勤務中の愚野オロカ。
オロカはスマホをいじり、エックスに投稿する
オロカ「てか永遠に思ってるけど、渋谷ハロウィンができるならデモとか暴動もうちらでできるはず!ウンコを持って永田町に集まろう!」
Slackの通知音。オロカ、しばらく真面目に仕事をする。
その間、オロカの投稿がリツイート・いいねされている
オロカはまたスマホをいじりだす
オロカ「11RT、26いいね……これは、”匂う”な」
オロカはチャットGPTに語りかける
オロカ「ウンコを持って永田町に集まろう!と冗談でツイートした場合、犯罪に問われるか」
チャットGPT
「ウンコを持って永田町に集まろう!」という冗談のツイートについては、いくつかの法律に触れる可能性があります。
- 威力業務妨害罪(刑法第234条): 公共の秩序を乱したり、社会的活動を妨害する行為を助長する内容は、「威力業務妨害罪」に問われる可能性があります。例えば、そのツイートが公共の場における混乱や妨害行為を引き起こすような影響を持つ場合、犯罪として認識されることがあります。
- 公衆衛生法: 糞便などの不衛生なものを公共の場所に持ち込むこと自体、衛生上の問題があり、これに関連する条例や法律に違反する場合もあります。
- 名誉毀損や侮辱罪(刑法第230条・231条): 特定の個人や機関(例えば、永田町が具体的に指す場合)に対して侮辱的な意味を含んでいると解釈された場合、名誉毀損や侮辱罪が適用される可能性もあります。
最終的には、ツイートの文脈や実際の影響次第ですが、冗談であっても不特定多数に不安や混乱を与える可能性がある場合、法的問題に発展するリスクがあるため、慎重さが必要です。」
オロカ「そう、冗談のつもりでした〜では許されないのがネットの世界。ネタとして『横転して園田爆破します』と投稿した大学生が、園田競馬場に対する威力業務妨害容疑で逮捕される事案も現実に発生している……。リスクマネジメントとして、私は鍵をかけ、投稿を削除する!」
投稿が消える
オロカ「そんなんだからお前は、ナージャ・トロコンニコワになれねえんだ!」
◯2024年10月31日午後5時の永田町。
民衆が、ウンコを手に持ってぞろぞろと集まる。さすがにウンコはちょっと……と思う者は、生卵など、とにかく投げつけると厄介なことになりそうな物品を手に持っている。とにかく、ぞろぞろと集まっている。
◯西暦2112年のある朝
朝ドラ内、群衆により糞便が投げつけられる映像。
ナレーション「この『糞便革命』によって民衆の怒りが可視化され、それからというもの、賃金の上昇、選択的夫婦別姓・同性婚の法制化……」
立体映像が消える。
オロカは介護施設内のベッドに横たわっている。
AI介護士が立体映像で語りかけてくる
介護士「愚野オロカさん、お達者ホネホネ体操の時間です」
オロカ「キェー!」