強く生きる女性の物語 -「とわの庭」小川糸 著 (original) (raw)
目次
はじめに
皆さんこんにちは、卯月ユウトです。
今回取り上げる本は、小川糸さんの『とわの庭』です。
感想
家族が読み終えて保管している本の中で、タイトルに惹かれて読んでみました。
タイトルからはなんとなく優しい雰囲気なのかなと予想していたように、序盤は主人公の盲目の少女・とわと母の穏やかな二人暮らしが描かれています。大好きな母が言葉を、庭の様々な植物が四季を、鳥の合唱団が朝の訪れを教えてくれるーー。目が見えないながらも他の触覚で感じ取るとわの世界が、非常に温かく感じられました。
しかし、そんな穏やかな生活もだんだんと様子が変わってきます。母が働きに出てなかなか家に帰らないことが増え、ついにはとわは一人で生きていかねばならなくなるのです。この辺りの描写は読んでいても胸が苦しく感じて、何度か読むのを中断してしまうほどでした。
とわは荒れていく家を一人で出て外の世界に飛び出し、そこからは一転して穏やかな物語へと変わっていきました。後半で出てくる人々や盲導犬ジョイとの出会いで変わっていく彼女の生活は、鮮やかで綺麗だと思いました。
ぜひ、盲目のとわに映る世界の描写を、実際に読んで味わって欲しいです。
さいごに
ここまで、小川糸さんの『とわの庭』の感想を書いてきました。
とわという一人の女性の姿を通して、人は他者との繋がりの中でこそ生きていけるのだと教えてくれる物語でした。
それでは、また。