食べすぎてしまう人類に贈る一冊『科学者たちが語る食欲』 (original) (raw)

「三大欲求」として日本で最もポピュラーなのが、「睡眠欲」「食欲」「性欲」。

人間の生理的な欲求です。

そのうちでも「食欲」について書かれた本です。

「食欲」とはなんなのか?コントロールできるのか?

生き物が持つ「食欲」とは本質的になにを食べたいと思う欲求なのか

知識欲が満たされるとともに、今後の食事について考えさせられる内容でした。

科学者たちが語る食欲

「食べたいもの」を食べて完璧な栄養状態のステラ

ステラの食事を30日間詳細に記録し、栄養組成を分析した実験が行われました。

30日間でステラは90種類近くの食品(自然食品や加工食品の区別なく)を食べ、毎日様々な組み合わせで食べていました。

食事のバランスをみるために炭水化物・脂肪・カロリーとの関係を比較したところ30日間、食事中のタンパク質と脂肪・炭水化物の比率はずっと変わらなかったそうです。

これはステラの体格の健康的な女性に最適な栄養バランスでした。

ステラは自由に食べているように見えましたが、結果として自分の健康にとって最適な食事をとっていたということです。

実はステラはヒトではなくヒヒではあります。

しかし、いくつかの研究を通してヒヒ以外の他の動物や昆虫、ヒトにも共通する栄養摂取戦略についてこの本では推測を進めていきます。

タンパク質不足で過食になる

複数の実験からタンパク質の摂取量が一定の水準になるように食事をとろうとすることが分かってきました。

しかし、低タンパク質で高炭水化物・高脂肪の食事が劇的な増加した人間社会でタンパク質の摂取量を保とうとすると結果として、必要以上の炭水化物あるいは脂肪を摂取することになってしまいます

これが世界的な肥満の蔓延の一因だと著者は考えているようです。

・ではなぜ栄養素のバランスをとる機能がうまく働かないのか?

高タンパク/低炭水化物・低脂肪の食事を摂取すればバランスをとれるのではないのか?

・過剰な炭水化物摂取は生物にどのような悪影響を及ぼすのか?

・また、このような事実から高タンパク食を食べた場合、過剰なタンパク質摂取は生物にどのような悪影響を及ぼすのか?

・タンパク質を摂取しようとする戦略は本当に『タンパク質』のみを求めているのか?

・タンパク質食が「脂肪」を燃やす?

などなど、おもしろいトピックが扱われている一冊でした。

また、同じ作者が『食欲人』という本も出していたので読んでみたいです。

食欲人

ぜひ読んでみてください。