逃走中グレートミッション 最終章に向けたこれまでの感想 (original) (raw)
自分はアニメ『逃走中 グレートミッション』が好きです。
その好きはLOVEという意味合いではないのですが、「このアニメを最後まで追いかけていたい」というような心境であり続けていました。逃走中だけに。
Twitter(現X)で逃走中について調べてみると、番組のほうの逃走中に言及しているツイートばかりが出てきて、たまに「強盗事件の犯人が逃走中」というツイートが引っ掛かります。特に最近は番組の不祥事や劇場版について触れたツイートが増えました。
たまにアニメのツイートが出てきたと思ったら「逃走中のアニメなんてやってるんだ」なんて意見ばかり。
確かに序盤は逃走中のくせに怪獣が大暴れして街が壊滅する妙ちくりんなアニメでした。
その後も宮本武蔵や佐々木小次郎を従えた魔王信長が蘇ったり、逃走者が空想上の生物の力を借りて腕を伸ばしたり鎧に身を包んで剣を振るったり、ドラキュラやらエジプトの神々が登場したりと逃走中要素がカケラも感じられません。
とはいえ、そのクリフハンガーにクリフハンガーを重ねたような勢い任せの作風は独特の空気感に包まれていて、このアニメを単なるネタとしていじくって一過性のものとして終わらせたくないという気持ちが強まってきました。
放送終了したら感想記事をしたためたい気持ちはあるのですが、あまりにも書きたいことが多いので一度整理しておきたいと思います。これまでにこのブログで書いた内容と一部重なるかもしれませんがご容赦。
以下、自分の心境
シブヤ編「え????? 何、怪獣?????? どゆこと???? 面白!!!」
オワリ編「これ逃走中の必要ある?」
ロンドン編「え、なんで……チャーチグリムってなんですか??」
ドラゴンボールDAIMA制作決定「ドラゴンボールは秋からか。じゃあ逃走中は春の前に終わって半年間DBの再放送とかで穴埋めかな」
砂漠編「あんまりおもしろくないな……刺激に慣れてきてしまった」
子供部屋ステージ「このアニメどう畳むの!??!?!」
2期決定「え???」
48話「面白過ぎる!!!! 覇権アニメ!!!!!」
怪獣都市シブヤ編
まあ、良くも悪くもこのアニメの方針を決定づけた章だと思います。
第1話「走れ!運命のステージ」←わかる
第2話「救え!謎の少女」←わかる
第3話「食い止めろ!伝説の破壊神」←??????????
何やっているのかわからないけど何をしたいのかはわかった気がしました。
繰り返し何度も言ってますが、このアニメが面白いと思えるようになったのは間違いなく第4話「決めろ!約束のタッチダウン」でした。
ホーミーの身勝手な行動によりシブラーはパワーアップ。そのホーミー自身もハンターに捕まったため、誰も何も得していないという暗めの展開。ハルによるハッキングの援護とデスゲームっぽい展開も交えつつ、シブラーは毒ガスを放って逃走者たちを文字通りに息苦しくさせていきます。
逃走者たちも今ほどに連帯感がないので落ち着ける状況が少なく、常に緊張感があって見ごたえあるシリーズだと思います。
惜しむべくはこの章でのキーパーソンであるホーミーが以後さっぱり登場しないので、このアニメは連続性のあるエピソードを重視していないのだなとも思いました。
異世界オワリ城編
このアニメが露骨なまでに変になってくるのはこの章です。
シブヤステージの逃走者はほとんど大人でしたが、作品全体を通していいところがまったくない町中華屋の少年・根津忠太が印象深く、加えて老人の渦磨老師にクエスチョン君(22歳)。年齢層が一気に広がります。
ほか、力士の進心丸奨やバスケット選手のジーク・ドラミングはスポーツ選手キャラのかませ度を高めていくばかり。
敵として立ちはだかるのは宮本武蔵と佐々木小次郎。ミッション時には駄菓子屋で売っているおもちゃのようなものが武器として配布されだして、なんか全体的にコロコロコミック度が上昇しだします。
ですが序盤戦の終わりにモーリスが重傷を負って戦線離脱。
ミスター・パーフェクトことモーリスがいなくなったことで、颯也が全体のリーダーとして逃走者を引っ張っていくことになります。
このころにはまだグループ行動のルールができていないので本当にリーダーなのかは疑わしいですが、第2章へ持ってくるには中々ピリリと来る展開。
個人的に微妙だったのは、シブヤ編はまだ『逃走中』だったのに、オワリ城編で一気に『逃走中 グレートミッション』になったことでした。
次々と拡大・変更されていく逃走エリア。打倒信長を目指して城を攻めていくシナリオは我々が知る逃走中とは正反対の構図で結構面食らいました。
ストーリーシナプスについても、五郎太がわりといい子だったのもあってタメた感じがなかったように思っています。全体的にまだ手探りでやっているような雰囲気がありました。
霧の都・ロンドンステージ
ロンドンを恐怖に陥れる切り裂きジャックとそれを追うマックス警部。
逃走者はマックス警部と協力しながら謎を追っていきますが、このアニメはついに一線を超えてしまいます。
その名もクライトリガー。
逃走者全員が着けている腕時計・クロノブレス(『未来戦隊タイムレンジャー』のはクロノチェンジャーなので注意!)。そこにクライトリガーを挿すことで、鬨の声(ウォークライ)に呼応した特殊能力を発揮できます。
専用用語多くてワケワカンナイヨ~! 正直自分も口頭で他人に説明できる自信がありません。
早い話がこれを使うことで逃走者は空想上の生物の力を得てパワーアップ。剛力を得たり腕を伸ばしたり空を飛んだりとやりたい放題になります。
その空想上の生物はなんともマイナー寄りな気がします。フェアリーやタイタンはいいとして、レイス、ヴォジャノーイ、エインヘリャルと、メガテンを通って来なかった自分は初めて聞くような生物ばかり。
我らが主人公・トムラ颯也に割り振られたのはチャーチグリム(墓守犬)、生まれて初めて聞いたワードだ……(最初はチャージ・グリムだと思っていた)。
そしてこのロンドン、切り裂きジャックのみならず、ドラキュラ、セイレーン、クラーケン、メデューサと大体の怪物が跋扈しているのでファンタジー生物同士の大戦争が繰り広げられます。
ですが力を得たからと言って楽にならないのが逃走中。クライトリガーを使うとハンターの注目が集まってしまうというデメリットを抱えております。
おまけにクライトリガーを使える逃走者は全員ではありません。シグマやハルとレギュラーキャラが増えてきたこともあり、クライトリガーが使用できるキャラと使用できないキャラとで格差が広がりだします。
非使用者ながらに謎の実力を見せつけるピエタ・バローネはやたら存在感がありましたが、頭脳キャラがハルとかぶってあまりいい役回りのなかったリリィ・ボーンは残念でした……。
ストーリー全体としては、ウォークライが出たことで場面にメリハリが出てきていましたが、逃走することよりも怪物との戦闘がメインになっているような回が増えだします。
吸血美女が空を舞ってドラキュラの心臓を槍で貫き、ミノタウロスの迷宮に潜入する逃走者たちを見ているといよいよもってこれは逃走中なのか?という疑念が強まりだします。
運営によって振り分けられたグループ通りに行動しなければならないという新ルールも登場。
グループのメンバーが離れすぎると強制失格になるようですが、いくらなんでも逃走中でそれはどうなんだと。逃走者がバラバラに動いていると話を書きづらいという大人の事情なんでしょうか?
でもゼベット教授との最終決戦はよかったです。わずかに残った逃走者が総力を結集して攻め込むのがカッコよすぎる。
ウォークライを駆使して挑む2人の作画は異様にヌルヌルしていましたが、「これだけの作画リソースをこのアニメに使っていいのか……?」と気になってしまいました。
砂漠の魔法都市ステージ
あんまりしっくり来ていないのがこの第4ステージです。
第3ステージ終了後、ガスティンの元で修業を受ける颯也。シブヤステージを1人でクリアしろと無理難題を押し付けられます。
この回に登場したデグ猫はいかにも今後の展開に絡みそうなマスコットキャラとして存在を放ってましたが、これ以降登場しませんでした。
舞台はエジプトではなく魔法都市。なんかエジプト神話の神々がいますけども。
ストーリーシナプスは国家間のいざこざやカイト王子とレイラ王女の恋慕がキーとなりますが、まあ良くも悪くもフツウかなと思ってしまいます。
全体的にとってつけたような平易な話でオリジナルキャラクターもあまり掘り下げられてないせいでしょうか。「怪獣と博士」「信長、宮本武蔵、佐々木小次郎、武士の少年」「切り裂きジャック、ドラキュラ伯爵、刑事」に比べたら、オリキャラの王族とエジプト神話の神々は感情移入しがたいかもしれません。
逃走エリアにザコ敵が大量に現れたりするのも、これがただの『逃走中』のアニメなら驚きの展開ですが、あいにくとこのアニメではもう3回目の出来事なので大して驚くポイントでもなかったです。
加えて、逃走者全員が団子になって動くような展開が多くてもったりとした感がありました。迷宮探索するのもロンドン編でやりましたし。
相変わらずいいところ無しの忠太。カイやクレアといったロンドン編で活躍したキャラがあっさりと脱落したり、今時見ないようなコテコテテンプレ展開を見せて確保されるマリン。EDで存在感を放っていたアブラムもほとんど出オチ。
新キャラのナギはルナの姉です。
ルナは自分に幸運が訪れるのに対し、ナギは周囲の相手に不幸が及んでしまう体質。なんだか『Day of Memorys3』の笑龍を思い出しますね。
弱気な性格と不幸体質が相まって、パンナがやっているような姫プレイを無自覚的にやっているのを見ているかのようでした。逃走中に出演する女性芸能人でたまに見られるタイプですね……。
正直言うと、35話のサブタイトル「石板の謎を解け!砂漠のロマンス」を予告で見た時、逃走者同士の恋愛を話やミッションに絡めてくるのかと思ったんですよね。
颯也とルナのところにはナギが現れたし、新キャラだとタロット幻霧とリンセン、アブラムとパンナみたいな。別に朝から恋愛イチャコラを見たいわけではないのですが、ここで”読み”がはたらきました。
実際はまあまったくそんなことはなくて……。
中盤戦ではハルがミッションクリアに際して吹き飛ばされて行方不明になります。
このままどうなるのかと思ったら、颯也たちが逃げていたエリアと隣のエリアでも逃走中が行われており、たまたまそこに流れ着いたのでハルはそちらに途中参加したと。なんじゃそりゃ!
そしてカイト王子に連れられた颯也たち5人はハルたち5人と魔法で決闘します。
モーリス久々の参戦に驚きつつ、直後には巨大ファラオとも戦っていく超展開。なんなんだ本当に!
……このアニメ全体に付きまとう難点ですが、逃走エリアで行われるストーリーとハンターからの逃走劇がなんともすれ違いを見せています。
・逃走者:ハンターに追われる。ミッション攻略のため、脅威におびやかされる現地民に協力する必要がある。
・ハンター:逃走者を追う。現地民や脅威は完全に無視。
・現地民:脅威に苦しめられており、そこからの救助が逃走者へのミッションとして課せられている。ハンターのことを理解できていない。
・脅威:現地民や逃走者を苦しめる。ハンターのことをあまり認識できていない様子。
と、これら4つの勢力は結構一方通行。
なので現地民とその脅威を軸にストーリーを進めると、ハンターの存在がどんどん希薄になっていくジレンマに悩まされているフシにあります。
これは本家逃走中にも言えることですが、これまで何度か見てきて気になるようなことはありませんでした。まあ……媒体の違いも大きいし。
アメリカ編で言及されてますが、逃走者にとって現地民たちは「バーチャルな存在なのであまり肩入れするほどでもない」という認識でいるのが一般的らしいです。
極端な話、シブラーや信長が暴れまわってロンドンやエジプトが崩壊しようと逃走者たちにはまったく関係ない話なのでしょう。そんなストーリーシナプスのキャラクターに強く感情移入している颯也は熱い男である一方、ついていけなさを感じたこともありました。
また、自分はこのアニメが1年で終わると思っていました。
確かロンドン編終盤あたりで『ドラゴンボールDAIMA』の初報が飛び込んできます。そしてそれが秋から放送開始と知った途端、「GMは春を前に終わって、ドラゴンボールの再放送で秋までつなぐんじゃないの?」と思ったのでした。
なぜこう感じたのかと言えば、
・この枠のアニメはデジモン、鬼太郎、ドラゴンボールと、マルチメディア展開していたり根強い人気を持っている作品が多いが、逃走中はそれらとは毛色が異なる。
・というか自社番組が原作なので切ろうと思えば簡単に切れそう。
・ネット人気がない。アニメや特撮の感想を日夜呟いている方々が目を向けていない。
・目玉おもちゃ『バイタルブレス』はオワリ城までの内容しか出ていない。肝心要のウォークライとクライトリガーが未実装。
・ボードゲームは本家番組でCMを流しているのにこちらではCMを流していない。何かあったとしか思えない采配(ただし、自分が知る範囲内の話)。
・して、本来の視聴者層の小学生に見られているのかどうかもだいぶ怪しい。
と、「この魔法都市編でアニメは終わるんだな……」と本気で思いながら視聴しておりました。
そんな視聴態度を裏切るかのように颯也とハルの出会いや怪盗アポロンの狙い、散々引っ張ったミカなどの話もほとんど明かされません。エジプト編自体色々と派手なことをやっていましたが、伏線回収をする気配がまるでなかったことにかなりやきもきしていました。
それでいて特殊なフェチズムの強い描写はだいぶ頑張っていたのも気になりました。
前番組の『デジモンゴーストゲーム』よろしく、どうもこの枠はキャラクターをゆがんだフェチズムの対象にしたがるようです。生命力吸収とか石像化とか……。
以前のステージでも吸血鬼に血を吸われて眷属化した女性キャラがいたり、殺人鬼に怯えて恐怖にひきつった顔を丹念に描いていたのでワリと言い逃れはできないと思います。
そうした負の感情もあってあまり楽しめなかったシリーズではありますし、2期のことを知ったときは目が飛び出そうになりました。
アメリカ大陸横断ステージ
魔法都市ステージ終了後、多数のしもべを雇って今度こそ逃走成功を狙うパンナ。
次なるステージは子供部屋だったのでしたが、異常に身体能力が上昇したハンターが逃走者たちを易々と確保。我らが主人公のトムラ颯也も歯が立ちません。開始10分かそこらで9割近くがが確保されてゲームが中断します。
なぜこうなったのかといえば、A3コロニーのゲームマスター・狼月が禁断のゲーム”エニグマ”を目当てにA7コロニーに攻撃。”エニグマ”の所在を知る月村を拉致監禁します。
ハンターが異常にパワーアップしたのもそのためだし、空気清浄システムまでもジャックされてしまったのでA7コロニーは危機に。
しかも颯也たちが逃走していたA7コロニーの面々は強化されたハンターを前に意気消沈する中、信楽たぬき男がその正体を現します。中身はA3の先代ゲームマスターだったラビでした。
そして”エニグマ”を賭けた次なる逃走中が始動。A3の精鋭たちが参加する中、颯也たちA7コロニーの面々も参戦。
……とまあ、大体こんな感じでアメリカ大陸横断ステージが始まります。
ここで心に響いたのは、A7コロニーの面々が次々と逃走中に参加したことです。
子供部屋ステージの後、強化ハンターたちのスペックに絶望して不参加を決める逃走者たち。出演回数の多いマリンやカラハリ・シュウもその中にいたのは中々にショックでした。
「2期に入ることだし、ウォークライが使えないサブキャラたちは脱落。話のフンイキも変わるんだろうな~」と沈んだ目で見ていたのですが、子供部屋ステージに不参加だった逃走者がA7の危機に次々と立ち上がります。
ペンタとシドはもちろん、ジャイロ・デーモン、セイラ、クレア、ピエタに加えて懐かしのオーガ・クリスタルまで! 懐かしのとは言いつつも覚えてないよ!
本家逃走中はテレビでおなじみの芸能人が多く参加しているのでスンナリ視聴できるものの、逃走中グレートミッションはアニメオリジナルのキャラ20人による逃走劇なのがネックでした。
そのせいで「謎のマジシャン!」「熱血スポーツ選手!」「元気なチアガール!」と見ただけでキャラの8割を理解できそうなほどのテンプレなコテコテのキャラが大量発生。しかもステージが進むたびにキャラが増えていくんだから大混雑状態。
当初はそうしたサブ逃走者のことをほとんど把握できておりませんでしたが、1年通して視聴しているとだんだんと愛着が出てきていて、そんな彼らがコロニーの危機に立ち上がったことには感動しました。
また、これまで走ってきた4つのステージはそれぞれステージ内で話が完全に解決しており、元世界での因縁が持ち込まれることも、逃走中で起こった出来事がゲーム外に持ち出されることもほとんどありませんでした。
A7コロニーの未来が賭かった絶対に負けられない逃走中として話全体に厚みが出たのではないかと思います。
んでもって始まった制限時間400分のアメリカ横断ステージ。どう考えても倍くらい必要な気がしますが、サメの背中に乗ってやってくるハンターが細かいことを忘れさせてきます。
アメリカ横断ステージは1話完結の趣が強く、逃走者も各エリアを車やヘリコプターで移動しながら逃げていきます。
何かしらのテーマに沿って開催されていたこれまでの逃走中とは異なり、このステージでは感謝祭、コーラ、ラスベガス、荒野の決闘、メジャーリーグ、ホワイトハウス、宇宙人、『キング・コング』、自由の女神……とこれでもかなくらいにアメリカの要素が詰め込まれています。アメリカ先住民の精霊信仰と『13日の金曜日』がミックスされたのは中々すごかった。
ちなみに、ハンターが異常に強化されたという設定はなくなったのかなんなのかで、A7の逃走者たちは結構普通に対応していきます。
あるよね、そういうの……。
話の展開についてですが、A3の逃走者が目に見えて視聴者のヘイトを買うような動きをします。
クリスタルレイクではA3の逃走者がいるエリアには全然ハンターが来ず、雪之丞が最後においしいところをかっさらっていったところにはうーんと。
そしてラスベガスステージにおいては、「雪之丞が高速で荒稼ぎしてハンターが来ないエリアを購入、全員退避」「A7メンバーが協力して得た賞金を掠め取るストロベリー」「しかもスロットで大儲けしたペンタを妨害して賞金を奪う」と、かなり念入りにA7への嫌がらせをしてきます。
そこのモヤっと感というか、あまりにもわかりやすい悪役ムーブに「許せねえ……」感はありました。
そんなA3の逃走者たちも一定のペースで確保されていきます。逃走中においてハンターはすべてに平等なのです。
A3の逃走者たちはバックグラウンドがあまり明かされておらず、放送前からクローズアップされていた雪之丞にあまり深く掘り下げられていない印象があったのは残念でした。
クライトリガーに強い関心を示しつつもいまいち何を考えているのかがわからず、終盤になってようやく背景が出てきたと思ったら、「サメジマとめっちゃ仲いい」と「他の逃走者を暴力で叩き潰してきた”ホワイトキラー”」ということくらい。
ゲーム終盤で見せたラビへの執着もいまいちついていけませんでしたが、声の演技や作画には迫力がありました。
あと雪之丞とシグマを見ていると、クールなライバルキャラ(シグマ)がもっとクールなライバルキャラ(雪之丞)を前に丸く見えてきてしまい、かわいかったです。
ほか、印象深いのは謎の美女・キャリー。ただの美女ではなく謎の美女です。このアニメは美女という単語が好きです(例:吸血美女)。
アメリカ先住民を連想させる羽飾りが特徴的。マフィアに追われたり颯也にべたついてきたりとか不審な行動を見せますが、じつはミスリード要員(?)。『バイオハザード』のジルのオマージュ感が強いキャラでした。
大ボスのようでしょうもない理由で怪物化するダミアン・コング、いい感じに話が〆られたエースジャック。
ゲスト声優としてお笑い芸人のハナコが演ずるマフィアの下っ端3人組が出ますが、棒読みどうこうの前にコメディリリーフとして大して目立ってもなかったのが謎でした。
ハンターがちゃんとハンターしているのもよかったです。
これまでのステージは面白さに差があれど、前述したようにハンターの描写が弱いのが欠点でした。
ですが今回は鮫の背中に乗って襲来してくるシーンに始まり、荒野の道路をひた走る。アメリカ大陸をどこまでもどこまでも追いかけてきます。
極めつけは終盤の200体ハンター! 力尽きてハンターの海に転落する颯也! 自由の女神をよじ登るハンターたち! コワイ!
最後に忘れちゃいけないのはセイラとクレアの絡みです。
第1ステージから登場しつつも未だにウォークライ未開放組、キャラデザも一般人っぽくてやや不憫なセイラと、第3ステージから登場して天真爛漫に逃走者を応援するクレア。
これまで深く会話することのなかった2人でしたが、同じ車に乗り合わせたのを契機に行動を共に。クレアはハンドルを握るとテンションが上がる体質らしく、セイラに迫るハンターを轢き飛ばすというおちゃめな部分も。
苦労人と自由気ままな2人の百合百合っぷりはペンタとジャイロに並ぶ癒し枠かと思いきや、まずはセイラが捕まり、クレアもサングラスとスーツ姿の一般人をハンターと勘違いして動揺。そこへ迫ってきたハンターに気づかずに捕まるというエジプト編に引き続いてあまりにもトホホな役回りでした。
このアニメはなにせ逃走中なので好きなキャラもそうでもないキャラも脱落していってしまいます。
ED映像で各キャラが日常生活を送っているのを見るとアニメ内での掘り下げは最初からあきらめているような雰囲気もあります。だって日常回ないし。根津忠太の街中華屋キャラがまったく活かされていないのはつくづく不憫です。
あ。ミカ・ルルーシュがいきなり小物っぽくなってギャグみたいな捕まり方をしたのは残念でした。
最終章に向けてどうなる?
なんか次回予告で早速颯也が暴走していました。
これまで伏線らしきものはばら撒いていつつもほとんど回収してきませんでした。まだ結構な数の謎が残されています。
・颯也とハルの出生の謎。
・モーリスとガスティンの過去。
・シグマが怪盗をしている明確な理由。
・禁断のゲーム”エニグマ”ってなんなのか。
・そもそもなぜ未来の月世界でゲームが実施されているのか。
少なくないか……?
考察します!
・颯也とハルの出生の謎。
→ハルは2024年ごろの地球人。
地球が滅びた際に家族へ脱出ポッドに入れられて、なんか色々あってタイムスリップして未来の月世界へ。颯也と出会って家族関係になる。
・モーリスとガスティンの過去
→単なる師弟関係以上のものはない。
・シグマが怪盗をしている明確な理由。
→趣味。
・禁断のゲーム”エニグマ”ってなんなのか。
→地球を滅ぼすレベルの逃走中。ハルの両親はこれによって命を失った。
・そもそもなぜ未来の月世界でゲームが実施されているのか。
→元々が番組本編の設定なのでつつくのは野暮。
これらをすべて回収できるのか?とは思いますが、ドラゴンボールDAIMAが始まるまでになんとかすることは不可能ではないでしょう! 具体的にいつから始まるのかはわかりませんが……
ちょっと「撒いた伏線の回収を第4ステージあたりでもっとやっておくべきだったのでは?」と思ったのは事実です。なにはともあれ今後に期待!!