「ハミダシクリエイティブ凸」プレイレポート②(詩桜√) (original) (raw)

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どうも、やまそうです。今回もハミクリ凸の続きやっていきましょう。

前回はこちら↓

vivace0319.hatenablog.com

・前作詩桜√の感想

正直言うと、かなり微妙でした……キャラゲーとして見ても、詩桜先輩の行動原理がよく分からない上にそれがきっかけで智宏と大喧嘩する*1訳で、読んでて「この人は一体何がしたいんだ???」と思いながら読んでました。

一番謎だったのは、詩桜先輩が「自活していない、主体性のない人間は駄目だ」という思想を持ちながらも、主人公が引いているガチャのお金は遺産の前借りである事を知って智宏の事を見直すシーン。確かに遺産は智宏に所有権が発生しているけれども、それは別に依存先が妹の金か親の金かの違いでしかなく、本質的には依存しているのに変わりないのでは?

一方でシナリオ的な面白さに評価を求めても、妃愛√と同じく文化祭の出し物が朗読劇となるからか、智宏が交通事故に遭って文化祭の描写が全カットされるという有様。これに加え、事故に遭った直後の智宏を心配する妃愛があまりにも真に迫った動揺を見せるため、本来の主役を食ってしまっている印象を受けました。

柳ひとみさんの演技自体は本当に素晴らしかったです。なんなら妃愛√とタメ張れます

確かに脚本って実際にステージに上がる訳ではないから盛り上がりに欠けるという判断なのかもしれないけども。それでも、そこをカットされると「ここまでみんな何のために文化祭の準備を頑張ってきたんだよ……」という印象を抱かざるを得ない。

ここまで散々厳しい事を言ってきましたが、詩桜先輩の√以外には良いなぁと思った点がいくつもあり、むしろ「詩桜先輩の√だけどうしてこうなってしまったんだ?」という印象。さて、凸では前作の評判を払拭できるでしょうか。早速読んでみましょう。

・詩桜√

・智宏が2期目の生徒会長に就任した所からスタート。まだ智宏くんの骨折は完治しておらず、リハビリ中

・先輩が自身の執筆活動についてここまで語っているの、逆に新鮮かもしれない。前作ではあまり見られなかった一面でもある

詩桜「文章を書くのは好きだが、好きなものだけを書いて暮らせているわけではないな。締切がある以上、出来の悪い文章を世に出さざるを得ない場面も多々ある」「そもそも時間があればあるだけ文章を書いている変態と違い、私は、今後好きに暮らしていけるだけの稼ぎを得たら、それ以上ものを書きたいとは思わない」

詩桜「小説を書くときは、意識して小賢しい言い回しや小難しい語彙の使用を避けている。文章で勝負しても上には上がいるのだから、大衆向けに読みやすい文章をな」

→先輩は自身の商業的な価値を理解した上で打算的に立ち回っている様子

・作家という気難しい人種、か。芸術作品には「普通の人が見落としてしまいがちな"美"を再発見する」という側面があるように思う。そのため、クリエイターの中には繊細な感受性を持つ人が一定数おり、それが性格にも反映されているのかもしれない

・OP。執筆に関する話をガッツリしてくれそうな感じで現時点で期待度はかなり高い!

・ベッドからの転落には要注意(職業病)

それにしても先輩、デレデレである。他ヒロインズの√も恋愛関係の構築が終わった状態から話がスタートするので、こんな感じなのかも

・莉々子からのお見舞い。彼女の√では来年の文化祭までを描く感じになりそう?結構長めの期間だなぁという印象

オタク的にもこういう姿勢は見習いたい所

・レスバ娘、再び

・生徒会でノベルゲーを作る案。確かにボイス、イラスト、歌、脚本の4要素が全て揃っていて製作期間に目をつぶれば良い落とし所。

→個人的な余談。批評空間などを見ていると、一般にノベルゲーの感想を書く時、どうしてもテキストや話の内容そのものに言及する内容に偏りがちである。しかし、本当にテキストだけで良いのなら小説でも変わらない訳で、本当は「ノベルゲー」というメディアの独自性に注目すべきなのではないか?すなわち、テキストだけではなく演技、背景CG、演出、BGMといった要素にも目を向けて語る姿勢がノベルゲーと向き合う、という事になるのではないか

・結局企画は紙芝居になりそう。先輩の脚本、楽しみだ

・智宏もひよりんの炎上対策は結構きちんとやってんのね

サムネ用

・さて、3年生編へ突入。早速英語の和訳問題か!「昨日制定された、この完全に作り変えられた二酸化炭素排出に関する法律によると、あらゆる民間企業は国際基準を満たすような環境基準を設定しなければならない。」みたいな感じで良さそう?関係代名詞のthatとthat節のthatを訳し分けさせる問題ですね(元受験ガチ勢並感)

→demand thatのあとのmakeが単数形なの全然気付いてなかった…… demand that ~ should Vの省略形で原形になってるんすね。completely remodeledを「一新された」って訳すのは上手いなぁと思ったけど、大学受験的には可能な限り逐語的に訳す方が安全かもしれない?

割とちゃんとした和訳問題出てきてびっくり

・突然の出題で受験オタクの血が騒いでしまった……本編に戻りましょう。クラスも文系理系できちんと分かれているっぽそうな雰囲気ですね

・試験は水物、本当にそうなんだよな……通ってた塾の同期にも高校同期にも自分より優秀だったのに本番ダメだった人がどれだけいる事か

進学校にも予備校にも通わず、授業の内容だけで我が国の最高学府へ進学するような天才」、東大ではないけども実際に自分の高校同期にもいた。彼も音ゲーマーだったので自分と結構仲良かったのだけど、高校時代から好奇心旺盛な性格だった事は印象に残っている。そんな彼も今は小児科医を目指して初期研修医として働いているそうな

・莉々子との繋がりSNSかい!!!!!!!!!!

・前作で役員を全員解任した件についての詳しい言及がなかったのは気がかりだったのだが、先輩目線では現行生徒会の人達は尊敬に値する人物、という認識らしい

詩桜「ひよりんをはじめ、常磐さんや錦さん、アメリは、自分の意思を持って行動するいい子たちだろう。性格人格ともに心から愛しているよ」「各々の分やで一流の活躍をしている人間ばかりだ。生徒会など抜きにしても、こちらから頭を下げて交流を結びたい」

先輩の小説は「ものづくり」メインの題材で、詳細な取材がヒットの要因となっている。後々重要になってきそうな情報だ

・前の記事でも同じような事を書いたが、作家は創作世界の神様であり、様々な価値観を持つ登場人物の性格をエミュレートして文章に書き起こす必要がある。先輩の場合は他人の言葉やものの感じ方をメモに残しているようだ

詩桜「ひよりんの言葉や思考をそのまま登場人物へ反映させようものなら、それはただのひよりんでしかないが、そこへ君の思考を混ぜればオリジナルの人格になる」「反映させる人間が多ければ多いだけ、その登場人物は人として豊かになっていく。他者との交流や会話は作家の財産だよ」

先輩の価値観を象徴するかのような一文

→先輩が主体性のある人間を求めるのは、行動には意思が伴い、意思こそがその人のアイデンティティを規定しているから。行動=意思というよりも、行動は意思の表現型、と言った方が適切な気もする

・先輩の恋人の割に智宏くん結構批判的に先輩の事見てるねぇ。才能ある弱虫、か。とは言え前作からのテーマを踏襲するのであれば、他者との交流は推奨されるべきだろうしそういう方向性で話が進むのではなかろうか

・アイドルになろうとした事がある先輩の話。やはり先輩は生徒会活動を始めた理由といい、かなり好奇心旺盛な性格だ。「他者との交流や会話は作家の財産」と語る彼女なら、それが作品にも反映されているのだろう

・先輩は将来的に智宏がひよりんに返済する意思があると判断。気になって前作を少し見返してみたが、ガチャの金云々の話とは関係なさそう

・智宏に対して罪の意識を持ち続けたからか、先輩がかなり丸くなったような気がする?

詩桜「人格を見下したり、負荷をかけたりといった行いにも罪の意識はあるが、私の一番の罪は、君をひよりんの付属品としてしか見ていなかった点だよ」

・みかんカフェの件の時点で恋愛感情に近いものを抱いていた、と。でもここから智宏の脚本をボロカスに貶すのかぁ……

・ミリセンからの呼び出し。生徒会関連ではないようだけども

・そういや「創作彼女」でも締め切りを守るクリエイターは神様、なんて話がありましたね

・先輩曰く、華乃は集団制作に慣れていそうだと言う。華乃はノベルゲーの原画担当をした事があるという訳で関連した話をするのであれば、「ノベルゲーは集団制作であるため、作品を語る上で作品そのものを単一のシナリオライターに還元する事はできない」という視点は非常に重要である。とは言っても「新島夕トリビュート」の受け売りなんですが……

ghost-letters.booth.pm

・呼び出しの内容は指定校推薦についてのお話。生徒会長になった件が実際にはやらせであった事に対して罪悪感を抱く智宏、潔白な人間だなぁ

→それでも実際に成績を上げて、生徒会長として生徒会を運営しているのは智宏自身の努力によるもの。ミリセンの言う通りですよ

・遺産の相続で揉める、嫌な話だけど実際に結構あるらしいね

今更気付いたけど、ベランダとか無いのはかなり危険なのでは???

・来週はお墓参り。もうそんな時期かぁ

・妃愛のマネージャー、妃愛を思って3億の借金を抱えていた事が発覚。それでも妃愛はマネージャーが人生を懸けているのは「小泉妃愛」としての自身である事を見抜いている。だからこそ妃愛は彼女に対して仕事の面では全幅の信頼を置いているが、本物の家族にはなれないという諦めも抱いている。

・おい!!!いきなりガチな並び替え問題を出すな!!!

→ That she has succeeded to get a promotion is of importance for our company. とな。このsucceedは「成功する」の意味で用いられてそうだけど、succeed toという使い方をするのは「相続する」の意味の方では?「Vするのに成功する~」という意味であれば、succeed in Vingみたいな書き方をするはず。気になってWeblioでも調べたが、こちらの意味でsucceed to を用いている例文は見つからなかったので恐らく文法ミスかと思われる。(受験オタク特有の早口)

ハミクリ凸は大学受験対策ゲームだった……?

・2学期に突入。そろそろ文化祭の話が出てくる頃かな。紙芝居を製作している描写が薄めだったので水面下で準備していた、という感じになるのだろうけど

・智宏、テキスト上では存在を希薄にされているけど客観的に見たらめちゃくちゃ有能だよなぁ

・本番も詩桜先輩が演じるべきなのでは?という妃愛の提案。「小泉妃愛の舞台」ではなく「生徒会の舞台」である必要性とは何か?

妃愛「と言っても私は小泉妃愛なので、多少会場が賑やかであろうと、今回のお題が慣れない紙芝居であろうと、聞かせてみせる自信はあるのですが」「ですが、私が100%のパフォーマンスを発揮したとして、一番刺さってほしい人の頭に1%のノイズが混ざれば、そのお芝居は最高の評価には届きません」→「お芝居は、演じる人と、観る人と、入りこむ場があってのお芝居です。誰に向けてのお芝居か、一度よく考えてみてはいかがでしょう」

・文化祭本番、さくさく行くねぇ。「彼の生徒会で演る意味がある芝居」である、という紙芝居の内容とは如何に

・紙芝居は日本人の集合的無意識の象徴である、と。全然関係ないけどオタクにも夏の象徴として「麦わら帽子を被った少女がワンピース姿を着て草原に立っている」みたいな集合的無意識ありますよね。

・紙芝居は子供向けであるからか、朗読劇に比べるとどうしても盛り上がりに欠けてしまうのは否めない。プロの声優と比較されるのだからもうこれに関しては仕方ないだろう

「鬼」は先輩自身をモデルにしている。紙芝居は先輩自身の成長物語の投影でもある

詩桜「人はひとりでも変われる。しかしその変化は、人間ひとりが発想し得る範囲に限られる」「自分一人では成しえない変化を望むのなら、不自由に耐えても他人との交わりに身を投じるしかない。交流とは財産だ」「それが成長ではなく退化であったとしても、停滞よりも変化を望むべきだ。今回の紙芝居では、子どもたちにそれを訴えたかった」

→物語上での出来事に例えてみる。自分一人では成しえない変化、というのは「物語終盤で自身の娘を食べる事を拒絶する鬼」、不自由に耐える、というのは「人間の娘を食べられずにお腹を空かせている鬼」に該当する。ラストの鬼が角を抜くシーンも「昔より丸くなった先輩」を象徴していると言えるだろう

ところで余談になるが、「他者との交流」というテーマは前作のあすみ√にも登場している。そちらは「『外に出ていくのも悪くない』とVTuber活動を通じて伝える」という切り口だった

・つまり前述した「彼の生徒会で演る意味がある芝居」とはこの芝居をするためには自身の在り方を変えてくれた智宏が必要だった、という訳か!

・智宏の卒業式。意思、目的、目標の話。智宏くん良い事言うなぁ。先輩の価値観を引き継いでいる、という意味でも物語の良い〆方だと思います

学園モノの卒業シーン、良いですよね

・ED。「恋影」、めっちゃ好きな曲だ!山口たこ様は神です。音ゲーマー的にはTAKU1175名義の方が有名だったり?「ウバワレ」「星めぐり、果ての君へ。」辺りが代表作でしょうか。そういやエンディング見てて気付いたけどこの√新キャラ出てないっすね……

音ゲーで最も良い曲のうちの1つなので是非聴いてください

www.youtube.com

という訳で、詩桜√、完走です。前作の詩桜√よりは格段に良かった!!先輩とイチャラブしているのはアメリ√からも変わらず、という印象でキャラゲーとしては十分。

一番評価したいのは、紙芝居という出し物はひよりんの朗読劇と比較すると瞬間最大風速では及ばない事に対して自覚的であった点。そして、それに対して「作中の鬼は詩桜自身を反映している」という情報を付け加えた上で、「変化を望むのであれば、多少不自由であっても他者との交流を受け入れるべきだ」というテーマへと昇華させた点でしょう。前作から引き続く先輩の「行動とは意思であり、意思はその人の在り方である」という価値観や、妃愛の「誰のためのお芝居か?」という話も興味深く読ませてもらいました。

さて、次は妃愛√。前作ではスキャンダルと兄妹愛を軸に話を組み立てていましたが、どうなる事か。

では今回はこんな所で。

*1:智宏が書いた脚本の添削を云々の件