皇統に関わる学者の暴論 (original) (raw)

この記事、どストライクでOUT。

《皇室研究家が断言…「皇位継承の安定化を本気で願うなら道は『愛子天皇』しかない」シンプルな理由》

https://news.yahoo.co.jp/articles/eddc80c4fc93d0cfc54113b757e69b3c69609252

長ったらしいので上記記事を読む必要はありません。要点だけ搔い摘んで指摘しておきます。

神道学者で皇室研究家の高森明勅氏という方がこう主張しています。

皇位継承の安定化を本気で願うならば、女性天皇を認めて敬宮殿下が次の天皇として即位できるように制度を改正するという選択肢しかない」

違います。これは日本の歴史、皇統の重要性をまったくないがしろにした暴論で、高森氏は女性天皇の容認を突破口にして、女系天皇への道、つまり皇統の破壊をしたいということに他なりません。

高森氏、シンプルな話として、「2つのポイントだけでいい」と言い切っています。

1つ目。

「国民の多くが素直に敬愛の気持ちを抱いている天皇・皇后両陛下とのご血縁が最も近く、そのお気持ちをまっすぐに受け継いでおられる方こそ、次の天皇として誰よりもふさわしい」

国民の多くは、残念ながら日本の歴史、天皇の歴史、皇統の重要性について、あまり知らないのが現状です。数多の例がありますが、一例を挙げますと江戸中期に新井白石が皇統を守るために閑院宮家(かんいんのみやけ)を創立し、天皇家を継げる親王家を三宮家から四宮家に増やしたのです。これがよかった。閑院宮家から光格天皇が出、その後、今上陛下まで8代を重ねてこられたのです。

新井白石がいなければ、皇統がどうなっていたことか。本当に綱渡りをするように日本人は皇統を1800年間もの長きにわたり繋いできたのです。

もちろん白石が「親王家をもう一家増やそう」と言っても、「いやいや三家あれば充分でござるよ。新井殿は心配が過ぎますのう」と老中たちは笑い飛ばしていた。しかし宝永7年(1710)に白石が閑院宮家をごり押しで通した結果、70年後に皇統の危機に見舞われたとき、辛うじて繋ぐことができたわけです。

いいですか?政治の中枢にいた徳川の重臣たちでも「3家で充分充分」程度の認識しかありませんでした。いわんや庶民においてをや。

長屋の熊さんや八っつあんが、京都におられる帝のことをどれほど知っていると思いますか?「皇統」と言われても、知ったかぶりの横丁のご隠居が「高野豆腐を縮めてコードーと言うのじゃ」ともっともらしく出鱈目を吐く。

「えーご隠居、トーとドーって違ってやいませんかってんだ」

「点々は辛子の分じゃ、少しまけておいた」

おあとがよろしいようで。

というように、いつもどおりには終われないんです。

高森氏の2つ目のポイントを批判しておきます。

皇位継承の行き詰まりが予想される現在の困難な状況を踏まえ、より安定的な皇位継承を可能にするルールを探るべきこと。それだけだ。前者に当てはまるのは、言うまでもなく両陛下のご長女、敬宮殿下に他ならない。殿下が「女性だから」という“だけ”の理由で皇位継承資格を認めない今のルールは、およそ時代錯誤も甚だしい。》

違います。歴史的に安定したものを望むのであれば、「男系男子」で1800年継承してきた皇統を崩してはいけません。ただ、かつて何人もの女性天皇が存在したことは事実です。しかし、それはあくまでも中継ぎで、その後、男系男子という古代からのルール従って継承しているんです。「男系男子」は昨今のジェンダー論などで語るべき筋合いのものではありません。歴史なのです。

短い例で言えば、歌舞伎の世界で團十郎に女性が襲名した瞬間、それは歌舞伎ではなく新たな演劇になってしまいます。男系男子の皇統を女系(男女を問わず)が継いだ瞬間に日本の歴史はまったく別なものに変わってしまいます。

高森論文はまだまだ続きますが、全体を通して突っ込みどころ満載なので、楽しくて仕方がないですが、もうすでに1700字を超えようとしていますので、今日はこのへんで勘弁しておきたいと思います(笑)。

ただこの程度の認識しか持たない学者が、皇統を語る恐さもひしひしと感じています。ご隠居や熊さん、八っつあんなどは沢山いますが、新井白石のようなモノのいい学者は見当たりません。ディオゲネスの白昼のランプですね(泣)。