[2]JR松山駅まもなく高架化へ…地上ホーム最後の夏&市内をたっぷり観光【2024四国周遊夏旅】 (original) (raw)

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2024年8月11日(日)

オレンジフェリーにて、早朝6時ちょうどに愛媛県東予港へ入港。連絡バスで予讃線の**壬生川駅**へと移動してきました。

四国の玄関口…といえば岡山、坂出、宇多津、高松などが真っ先に思い浮かびますが、ここ壬生川もその一つ。かつては「東予市」の中心駅でしたが、2004年に西条市へと合併されました。

壬生川駅にて、まずは今回の旅で使用するきっぷを購入。その名も「若者限定四国フリーきっぷ」です。その名の通り、25歳以下のみ購入・使用可能なJR四国全線フリーパスで、特急の自由席も利用可能です。価格は12,000円で、今回のようにお盆等の繁忙期でも利用可能です。また、利用開始日当日まで購入可能な点も、遠方からの旅行者にとっては嬉しいポイントといえます。

発売にあたっては生年月日の確認ができる公的証明書(運転免許証等)が必要なため、みどりの窓口での対面販売が基本となります。ただし壬生川駅みどりの窓口は2021年12月で営業を終了しており、その代わりにオペレーターとの会話が可能な「みどりの券売機プラス」で購入できるようになっています。

それでは移動開始! まずは壬生川7時42分発の特急〔いしづち103号〕松山行に乗車し、一気に松山へと向かいます。

お盆とはいえまだ朝早いこともあってか、車内はガラガラ。若者限定四国フリーきっぷを所持している私は、自由席の検札時に乗務員の方に乗車区間を口頭で伝えます。

西条市松山市は内陸部を高速道路が貫いているものの、鉄道は瀬戸内海に沿って大きく北へ進路をとります。今治伊予北条駅間では車窓に海を望む区間も多く、朝から贅沢な車窓を楽しむことができます。

まもなく列車は松山駅へ入線。右側には新幹線のような真新しい高架橋が見えてきますが、これは営業開始間近の在来線新線です。松山駅は2024年9月29日に高架化され、新たなホームの使用が開始される予定となっています。

8時36分、終点**松山駅**に到着。改札口に面した地上ホーム1番線へ到着します。

跨線橋へ上がると、現在の「地上」松山駅のすぐ隣(西側)に新たな「高架」松山駅が設置されていることが分かります。9月29日の高架化直後はまだこの地上ホームもほぼそのまま残っているものと思われますが、東側の現駅前ロータリーから新駅舎までの動線をどのように確保するのかが気になるところです。

2・3番線ホーム上からは新駅舎を間近で見ることもでき、駅西側へ通り抜けることができる構造となっていることがよく分かります。

新駅舎の駅名標跨線橋上から遠巻きに確認することができ、黒を基調としたデザインであることが分かります。現在の地上ホームの駅名標とは大きく異なるデザインです。

新駅舎には自動改札機が設置されますが、現行の駅舎には自動改札機が設置されていません。首都圏で育った身としては、令和の今の時代に都道府県庁所在地の駅で自動改札機が設置されていない等にわかには信じがたいことですが、他にも徳島駅鳥取駅等も設置されていません。また金沢駅は2015年の新幹線開業前まで同様に設置されていなかったりなど、実は意外にも地方のターミナル駅ではよくあることのようです。

駅舎内に併設された立ち食いうどん店で、名物の「じゃこ天うどん」(610円)をいただきます!

「じゃこ天」とは魚のすり身でつくった揚げ物で、見た目や食感はさつま揚げと似ています。「じゃこ」はしらすの意味ではなく、いろいろな魚(=「雑魚」)から来ているそうです。

松山駅舎は2000年にリニューアルが施され、敢えてレトロな趣あるデザインへ一新されました。このJR松山駅付近は街の中心から離れており、昔から国鉄(JR)で遠方へ移動する人のためのターミナルという側面が強かったようです。

JRの駅舎からぐるっと180°振り返ると、「電車のりば」があります。何を言っているんだ、JR予讃線伊予市駅までは電化されているのだから「電車」ではあるまいかと言いたくなりますが、JR松山駅を含む区間が電化されたのは1990年のこと。これよりも遥か昔から松山市内を走る「電車」…それが**伊予鉄道市内線(路面電車)**です。

四国で路面電車の走る都市は松山と高知の2ヵ所で、いずれも民間により運営が行われています。JR松山駅前9時12分発の市内線5系統 道後温泉に乗車し、まずは今回どうしても行きたかった道後温泉へ向かいます!

伊予鉄道市内線では1・2・3・5・6系統が運行されており、それぞれ運行ルートは上図の通り。道後温泉方面へ向かう場合は3系統または5系統に乗る必要があり、3系統はJR松山駅前発着、5系統は松山市駅発着というように分かれています。

JR松山駅前には1・2・5系統がやってきます。大街道・道後温泉へ向かうなら5系統、松山市駅へ向かうなら2系統と覚えておきましょう。1系統も大街道と松山市駅へは向かいますが、遠回りとなるためあまりオススメはできません。

運賃は大人200円均一で、現金のほかSuicaPASMOをはじめとする全国交通系ICカードも利用できます。紙幣は1000円札に限り両替ができ、いずれの支払い方法であっても運賃は後払い方式です。おつりは出ませんので注意しましょう。

25分ほどの乗車にて、終点の**道後温泉駅**に到着!

駅舎内にはスタバも併設されており、レトロかつおしゃれな雰囲気です。

アーケードを数分歩いた先にあるのが、**道後温泉本館**です。国の重要文化財にも指定されている建物は長らく保存修理工事が行われていましたが、2024年7月に約5年半ぶりの全館営業再開を果たしました。

道後温泉本館を最も手軽に楽しむなら「神の湯」への入浴がオススメ。大人700円とリーズナブルで、朝6時~深夜23時まで営業しています。

中は懐かしい銭湯の雰囲気をふんだんに残しつつも、利用しやすいようシャンプー・ボディーソープが完備され、シャワー・カランも新しいものが揃っています。午前中でしたがお盆ということもあり、かなり混雑していましたが、念願の道後のお湯に浸かれて大満足です。

お風呂上がりには、コーヒー牛乳でひと休み。愛媛県に拠点を構える「らくれん牛乳」のカフェオレをいただきます。

またそのほか、道後温泉のアーケード街では様々なグルメや土産物店が軒を連ねています。今回は一六タルト(塩レモン)と道後ぷりんをいただきました!

朝から甘いものばかり飲み食いしておりますが、これも旅の醍醐味といったところでしょう。

道後温泉駅より再び市内線5系統に乗車し、続いてやってきたのは大街道。松山で最大の繁華街と呼ばれる場所です。

路面電車を降りて北に少し歩き、やってきたのは「松山城ロープウェイのりば」。

これから**松山城**へ上っていきます!

「ロープウェイのりば」とはいうものの、実は松山城へ上るにはロープウェイとリフトの2種類があります。料金はどちらも共通で往復520円となっており、券は共通なので乗り場に来た時の混み具合や気分でどちらに乗るか決めることができます。この時はロープウェイが10分おきの運行ということで、タイミング次第ではやや待つことも予想されます。

せっかくなので、行きはリフトを選択! 数名ほどが並んでいましたが、次々にやってくるのでほぼ待ち時間なしで乗ることができます。1人乗りで、リュック等は前に抱えて準備します。

いざ出発してみると…爽快感があり楽しい! しかし直射日光がきつく暑い!

いやもうめちゃくちゃ楽しいです。程よくスリルもありながら、風を浴びて山頂へ上がることができます。しかし真夏のこんな暑い日よりは涼しい曇り空の日の方が快適かもしれませんね(笑)。

6分ほどの乗車にて、山頂に到着。しかしここからまだ先は長く、ひたすら順路に従って歩いていきます。

右へ左へくねくねと歩き進めていくと、早くも城郭の石垣を目の前に望むことができます。

まだ天守に到達さえしていないものの、それでも市街を一望できるスポットを発見。JR松山駅前の雰囲気とはがらりと異なり、やはり中心市街地には大きな賑わいがあるのが松山の街です。

そしてようやく天守の入口へ到着。ここから天守へ入場するには別途520円が必要です。

松山城は17世紀、加藤嘉明らによって約四半世紀をかけて築城されました。しかしその後19世紀に落雷によって消失し、再建されています。

現在残る天守は、この19世紀に再建されたもの。現在では江戸時代までに建造された天守が残る城は全国に12箇所しかなく、これらをまとめて「**現存12天守**」と呼んでいます。四国における現存12天守は、ここ松山城のほか丸亀城高知城宇和島城の計4箇所があります。

天守の最上階からは松山の市街を一望できます。ここに来るまでの階段はとても急で狭く、慎重な上り下りが必要ですが、やはり松山へ来たのならこの最上階からの景色は一度眺めておきたいところです。

猛暑の中を歩き続けたので、ここでちょっとひと休み。ロープウェイ・リフトの山頂駅付近にあるお店で「いよかんソフト」をいただきます。

園内にはいよかんソフトを提供するお店が数ヵ所ありますが、天守の目の前のお店は500円だったのに対しこちらの山頂駅付近のお店は400円だったので、こちらがオススメかもしれません。

行きはリフトでしたので、帰りはロープウェイを利用してみることに。ちょうど次の便は山頂駅を12時40分に発車するようです。

こちらであれば直射日光を浴びることもなく、また所要時間も2分ほどで圧倒的に速いです。強いて言うならタイミングによっては乗車までに待ち時間が発生する点のみがデメリットですが、総合的に見て便利なのはロープウェイの方でしょう。

下山したら、続いてはお昼ご飯へ。今回はロープウェイを降りてすぐのところにある名店「秋嘉」さんで名物の松山鯛めしをいただくことにしました。

ちょうどピークの時間帯とあってか、店外には行列。日陰もなく、ここでひたすら並んで待ちます。並ぶこと自体はそれほど苦ではないのですが、やはりこの強すぎる日差しの皮膚へのダメージを考えるとなかなかしんどいものがありました(笑)。

35分ほど並び、ようやく入店。こちらが「松山鯛めし膳」(2,350円)です!

愛媛には「鯛めし」が大きく2種類あり、知名度が高いのは鯛のお刺身を生玉子とタレにからめてご飯にかける「南予の鯛めし」でしょう。一方で東予中予での鯛めしといえば鯛の炊き込みご飯を指し、鯛の身にもしっかりと火が通っています。

土鍋で一つ一つ丁寧に炊き上げるため、注文から出てくるまでには少々時間がかかりますが、待ったかいがあるというもの。ふっくらとした鯛の身は口の中でとけるような美味しさで、底の方には香ばしいおこげもできています!

大街道では他に「南予の鯛めし」を提供するお店も数多く、どのお店にするか迷うところ。本拠地でありながら松山鯛めしのお店はそれほど多くないようにも見えたので、秋嘉さんオススメです!

食後は同じく大街道にある「**坂の上の雲ミュージアム」や「萬翠荘**」を見学。アーケード街も含め、松山の街の雰囲気や歴史を一度に感じられるのがこの大街道という感じがしました。

時刻は14時50分、大街道より今度は伊予鉄道市内線3系統に乗車し松山市駅へと向かいます。

松山にはJR予讃線の「松山駅」の他に伊予鉄道の「松山市駅」というものもあり、両者は1.6kmほど離れています。本州方面や四国各地から松山を訪れる際の玄関口となるのはJRの駅の方ですが、実際に市の中心駅としての役割は伊予鉄の駅の方が担っており、序盤でもご紹介した通り市内線の運行系統もここ松山市駅を拠点として構成されています。

大街道から10分ほどの乗車で、終点松山市駅に到着。市内線乗り場は駅の目の前に鎮座しており、その建物のスケールの大きさは先ほどまでいたJR松山駅とは全く異なっています。

英語表記は「Matsuyama City Station」となっており、音よりも意味を優先して配慮されていることが窺えます。

松山市駅の駅舎と一体化した「いよてつ高島屋」は四国最大の百貨店としての地位を確固たるものとしており、駅の1日平均乗降人員は市内線を含めて約2.7万人(コロナ前)を誇ります。この数字はJRを含めた四国内の全ての鉄道駅において最多となる乗降人員であり、間違いなく四国の中心地と言って差し支えないでしょう。

松山市駅に乗り入れるのは、伊予鉄道郊外線3路線。路面電車ではない、いわゆる”普通の電車”で、高浜線(高浜方面)・横河原線(横河原方面)・郡中線郡中港方面)の3路線全てがここ松山市駅へ集まるようになっています。高浜線横河原線は一体的な運行となっており、基本的には松山市駅を跨いで直通運転を行っています。

改札口は、1日2.7万人を捌くにしてはなかなか簡素な造りにも思えます。交通系ICカードがタッチできそうな機械が置かれていますが、あちらは地域限定のIC「い~カード」専用のタッチ機で、SuicaPASMO等の全国相互利用交通系ICカードは使用できません。

というわけで、紙のきっぷを購入。松山市駅から運賃400円で、海の見えるとある駅へ向かいたいと思います。

松山市駅の西側は線路が二手に分かれており、左が郡中線、右が高浜線です。どちらかというと郡中線の方が支線的な扱いですが、一応線路は横河原線とも繋がっているみたいです。

松山市15時15分発の伊予鉄道高浜線 高浜行に乗車。やってきたのは伊予鉄道3000系電車で、かつて京王井の頭線で同じく「3000系」として活躍していた車両です。2009年より伊予鉄道で運用されています。

松山市を出ると右にカーブを描き、JR松山駅に近づいていきます。複線かつ架線も張られており、この区間だけ見ると風景は首都圏の通勤路線とさほど大差ないようにも思えます。

大手町駅を出た先にある次の古町駅は、伊予鉄道の車庫が隣接しています。また市内線もすぐ隣に停車しており、両者の乗り継ぎが可能です。

車内には後付けでフルカラーの案内表示器も取り付けられており、この装置はおそらく京王時代にはなかったものでしょう。

15時33分、松山市駅から18分ほどで**梅津寺駅**に到着。終点の高浜へはあと1駅ですが、ここで下車します。

愛媛で「海に近い駅」といえばJR予讃線の下灘駅が全国的に有名ですが、その陰でひそかにオススメしたいのがこの梅津寺駅。ホームの目の前には美しい海が広がっており、太陽に照らされてキラキラと輝いています。

最も海に近い」という呼称については下灘や梅津寺以外にも全国各地で使用されており、諸説あるため定義が難しいところですが、この梅津寺も名を連ねるにふさわしい立地の駅の一つであることは確かです。下灘駅の方は列車本数が限られ訪問難易度が高いため、観光客の自動車でのアクセスが多いことも問題となっていますが、一方でこちら梅津寺駅は日中15分間隔で列車がやってくるため、事前に時刻表すら調べずともふらっとお手軽に訪問することができます。

1日の利用者数は300人ほどで、2022年に無人駅化されました。駅の近くには小中学校があり、民家と海・山の自然が程よく入り混じるのどかな街となっています。

駅前には「みきゃんパーク梅津寺」というロードサイド型の柑橘類専門カフェ・土産物店があり、お盆ということで館内は多くの家族連れで賑わっておりました。

せっかくなので何かお金を落としたい…と思い、名物の「蛇口みかんジュース」を体験。レジにて400円を支払うと、みきゃんのイラストが描かれたプラスチックコップが渡されるのでその隣にある蛇口をひねると…本当にみかんジュースが出てきました!(そりゃそう)

肝心のお味ですが、もちろん甘くてとっても濃厚。まあコップ1杯のみかんジュースが400円というのはだいぶ割高ではありますが、体験価値としては十分面白いものでした。蛇口はセルフシステムなので、もう一回このコップをもって蛇口を捻ることも物理的に可能ではありますが、おそらく”1杯400円”だったと思いますので飲み放題ではないはずです(400円で何杯もがぶがぶ飲まれたら商売あがったりでしょう)。

梅津寺16時00分発の列車で来た道を戻り、16分ほど乗車して今度は松山市の一つ手前の「大手町」で下車。東京の大手町は地下鉄がたくさん交差していますが、ここもまた”あるもの”が交差しています。

それは…郊外線と市内線の交差です!

高浜線大手町駅のすぐ北側には東西に走る幹線道路(県道19号)があり、この幹線道路の中央に先ほど乗車した路面電車が走っています。高浜線の列車が通る際は踏切の遮断機が降り、この時幹線道路を走る自動車だけでなく並走する市内線も一時停止となるため、線路と線路が交差する踏切で「電車が電車を待つ」という不思議な状況が生まれるのです。

大手町駅からJR松山駅までは徒歩(というか小走り)で移動。大手町駅を降りるとすぐ目の前に松山駅が見える立地で、乗換駅ではないものの走れば数分で着きます。

駅舎内に入ると、ちょうど岡山方面からの特急〔しおかぜ13号〕が到着した直後だったようで、改札口付近は大混雑。有人ラッチの駅員さんは慣れた手つきで乗客を捌いていきますが、それでも最繁忙期の本州方面からの特急到着時はなかなか大変そうで、やはり自動改札機の投入も待ったなしだったことでしょう。

松山駅では、多くの場合1番線ホームに〔しおかぜ〕と〔宇和海〕の両方が入線します。両者は互いに接続を取っているため、列車を乗り継ぐ際には同一ホーム上での乗り換えを行うことになり、その際の「縦列停車」が松山駅の名物となっています。

ご覧の通り2本の列車が同じホームに停車しており、手前が〔しおかぜ〕、奥が〔宇和海〕です。両者は連結するわけでもなく、それぞれ反対の方向に出発していきます。階段を使用しての乗り換えでは不便なことから長らくこのような方法での接続が行われてきましたが、ホームの高架化後は対面乗り換えでの接続が予定されており、この光景も2024年9月28日限りで見納めとなることでしょう。

この後はまさに目の前に停車している特急〔宇和海21号〕にて宇和島方面へ移動していきますが、流石に記事が長くなってしまったのでいったんここで区切り、続きは次回としたいと思います。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。