ワインおたくの妻 (original) (raw)
ワインおたくの夫と食べること大好きな妻の貧乏暇無し日記。フランス・ロワール地方でぶどうの有機栽培とワイン醸造に挑戦しています。
by maisey
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土地さがし珍道中4
初めて浮かび上がった土地候補!
(パート3はこちら→☆)
翌日、改めて名探偵モンクを訪れ、畑を見せてもらいました。
畑は全部で3カ所で合計1ヘクタール。
カベルネ・フランの畑が二つとグロロー・ノワールの畑が一つでした。
3つの畑に共通して言えるのは、どこも草ボーボー...
まず一番ひどい状態のグロローの畑を見せてくれました。
ここは数年分の雑草がもっさりと生え、剪定も2年していない、というひどい状態...
「こんな状態だから、この畑はぶどう樹は勘定に入れないで、土地代だけで良いから」と言われました。ふむふむ。
次に見せてくれたのはカベルネの畑。
やはり草ボーボー。
草ボーボーと一口に言っても、単に雑草がたくさん生えているのではなくて、数年ほったらかしにされた雑草が枯れて乾いて、干し草みたいに地面を覆っていたのです。
剪定は一応してあったので(どちらにせよ後にやり直したのですが)グロローの畑に比べるとちょっとマシでした。
そして最後に、この中では一番良い状態のカベルネの畑を見せてくれました。
さすが名探偵、見せる順序をちゃんと考えたのですね。
こちらは剪定もしてあり、土も一応、そんなに遠くない過去に耕耘したようです。
ひととおり畑を見たあと、名探偵の1LDKに戻って畑の名前、詳しい面積、アペラシオン、そして彼の希望する値段を告げられました。
私たちはその日のうちにマークと一緒に畑をまわり、3カ所全ての場所を見てもらいました。
マークは「オーララー!なんて雑草がひどいんだ!」とは言っていたものの、反応は思ったよりもポジティブでした。
樹は弱ってるけど、回復させることは不可能ではないし、名探偵の言い値はそんなに悪くはないんじゃないかということでした。
それで私たちもほっとして、というか土地が見つかったことに興奮していて、なんと翌日に名探偵に買う!と返事してしまったのです。
値段は交渉して少し安くしてもらいました。
フランスでは土地の売買はnotaire(公証人)を通して成立させるのですが、結構時間がかかるので、取りあえず名探偵に前金を払って、売買が成立するまでの間は「借り手」という形で畑に入り作業できるようにしてもらいました。
土地を見つけて数日後、晴れて私たちは雑草を除去したり(→☆)剪定をし直したり出来るようになり、それからはもうノンストップな春となりました。
***
今(
冷静になった今)考えると、土地の購入を一日で決めてしまったことも、あんなひどい状態の畑を買うことにしたのも、多少値切ったとは言えあんな値段に承諾してしまったのも、かなりありえないです。
2年前の自分たちの肩をガクガク揺すぶって「ちゃんと目ェ開いて判断せえ!!」と言ってやりたい。
言ってやりたいんですが、あの時、あのひどい状態の畑を購入することにしなかったら、おそらく私たちは今フランスにいないわけで...
その点では全く後悔していないし、まあ必然だったのかなと思いますが。
でも、本当、夢を追いかけてるときの(とんちんかんな)勢いって怖い(笑)。
私たちの土地さがし珍道中、2010年はまだ序の口でした。
翌年の2011年はまた奇妙なエピソードがたくさんあるので、これからまた少しずつ書いていきたいと思います。
土地さがし珍道中3
広告を出しても、政府機関を訪れても見つかる気配のない土地...
(パート2はこちら→☆)
ぶどうのような農作物は当然1年のサイクルがあって、この年に土地が見つからなければ翌年まで待たなければならない。
そうなるとフランスに居残るのも難しいし、かと言って国外に出てまた戻ってくるというのも現実的ではない気がして、焦り始めました。
なかなか進まない土地さがしに行き詰まっているとき、マークが心当たりのある2人の名前を教えてくれました。
一人は、義理の息子がワイン作りを始めたものの数年で辞めてしまい、畑を残されてしまったらしい人。
もう一人は割と長い間ワインを作っているのだけど、面積を増やしすぎて手に負えなくなってしまったらしい人。
さっそく週末の朝、この二人を訪ねてみました。
まず「義理の父」。
私たちが訪ねた時、ちょうど家の前の畑を剪定している最中でした。
おじいちゃんみたいな顔の小さい犬が私たちを見ると吠え出して、
義理の父も手を止めて私たちの方へ歩いて来ます。
マークから聞いて来たこと、畑を探していることを伝えると
「確かに私ひとりで全部の畑をやるのは大変だから」
と言って近くの畑を指差し、
「そこの畑を隣人に貸すことにしたんだよ。タイミングが悪かったね...」とのこと。
残念ですがめげません。その足で二人目の候補、面積広すぎて手に負えなくなってしまった人を訪ねてみました。
ここではドーベルマンみたいな黒くてスラッとした犬に吠えられて、
家から40代前半くらいの男性が出て来ました。
ちなみに「名探偵モンク」というアメリカのテレビ番組の主役に激似!!
例えが微妙すぎ!!
義理の父の時と同じように状況を話すと、
「とりあえず中に入って、座って話そう」と言われました。
中に入るとフランスの田舎では珍しい小さな小さな住まいでした。
1LDKと言うのでしょうか...キッチンと、見てないけどたぶんバスルームがあって、それに一部屋(ダイニング兼寝室)だけ。
そのダイニング兼寝室のテーブルに名探偵モンクとその彼女(らしき人)と私たちが座りました。
彼のワインを(かなりの量)飲みながら畑の話をしました。
私たちは1ヘクタールほどの畑を買いたい、出来ればシュナン・ブランを探している、と言うと、名探偵モンクは少し考え、赤ワインの畑だったら売っても良いところがある、と言いました。
私たちにとって初めて浮き上がってきた畑購入の可能性!
赤だけど...無いよりは良い!!
さっそく次の日に畑を見せてもらう約束をして、その日は興奮して(そしてかなり酔っぱらって)名探偵の家を後にしました。
つづく
土地さがし珍道中2
2011年はろくにブログの更新していなかったのに、今年はいきなり連日投稿!極端なB型です。
さて、土地さがしの続きです。(パート1はこちら→☆)
広告を出すのと同時に、SAFERという政府機関も訪ねてみました。
SAFERはChambre d'agriculture(農業会議所)の一部で、農耕地が売りに出された場合、最初の購入権を持つ機関です。
それと同時に農地の不動産的な役目もしていて、例えば畑を売りたい人はSAFERに買い手を探してもらい、取引が成立したらSAFERが手数料として売り上げの何パーセントかを受け取ったりもするそうです。
なにはともあれ、売りに出されている全ての畑の情報はSAFERが握っている!
ということで、さっそくAngersにあるオフィスへ行ってみました。
アポもなしに行ってみると、受付の女性が担当者に電話し、今すぐ時間をとってくれることになりました。
案内されたオフィスへ行ってみると、若い男性の担当者。
ぶどう畑を探しているのですが、どのように探したら良いのか分からないのですが...と純朴な問い合わせをして、いくつかヒントや情報が得られれば、と思っていたのですが、なんといきなり面接スタート!
「どの地域で探しているのですか?品種は?」
「面積は?」
「予算は?」
「あなたたちは農業の経験がありますか?」
「貯金はいくらあるのですか?」
「将来はどのような規模で、どのような経営形態でやっていきたいのですか?」
「理想の規模に達するまでどうやって生活していくのですか?」
...
冷や汗がダラーっと流れるのを感じました...!!
しどろもどろになりながら、一つずつ答えていく私たち。
それをノートに几帳面に書き留める担当者。
ひととおり質問(拷問)を終えた後、担当者が言ったのは
「私が見たところ、あなたたちはまだしっかりした計画がありません。
だから今のあなたたちに畑を紹介するのは無責任だと感じています。
予算や、ワインで生活できるようになるまでどのようにして生計を立てるのか、ちゃんとした計画が立てられたらまた連絡してください。」
ヒントすらも得られなかった...!
厳しい!!
でも、まあそうだよな〜と私たちも納得したので、よし、ちゃんと計画立てるか!と意気込みました。
意気込んだんですけど、その前に自分たちで土地を見つけてしまったので、結局SAFERの担当者と再会することはありませんでしたが...
つづく
土地さがし珍道中
ここ1年(いや、もっとか)あまりブログを更新していませんでしたがHPでオットが日記を載せるようになってからは、畑でのしごと、カーヴでのしごとについて書くことがさらにおっくうになっています。
私たちのワインが商品化されるにつれて、私たちのしごとを知ってもらうにはHPに直接書いたほうが多くの人に伝わるし、あるていど匿名性を保っていたこのブログの居場所がよく分からなくなってきました。
ここには何を書いたらいいんだろう?
それで、今までずっと書きたかった、土地さがしのてんやわんやについて少しずつ書いていきたいと思います。
私たちの体験はたぶん一般的ではないのでどなたの参考にもならないと思いますが、フランスでワイン畑を探すってどんな過程なの?と興味がある方も多いのではないかなと思うし、奇妙なエピソード満載の読み物として楽しんでいただけるかな、と思います。
〜お金がない、仏語の下手な外国人夫婦が〜フランスのど田舎で〜ワイン畑に出逢った〜(むりやりウルルン風)
久しぶりの更新で、変なテンションになっております!
私たちがフランスに残ってワインを作る!と決めたのは2010年の3月中旬でした。
皆さんご存知かと思いますが、ぶどうの樹は収穫後、葉が落ち、樹液が下がり、春にまた芽吹くまで「休眠期」のようになります。
この時期(11月末〜3月末)に剪定するわけですが、畑の売買や貸し借りの契約も普通この時期に行われます。
地域に長くいる農夫同士の取引は大体ノエル前に決まることが多く(すっきりしてノエル休暇を過ごしたいのでしょう)、売れ残りや貸し残りの畑は1月以降、在住期間の短い若者農夫の耳に入ってきたり、公的機関を通して知らされたり、生協に「畑の貸し手、求む!」みたいな広告が貼り出されたりします。
売る側は今年から誰かのものになる畑の剪定はしないし、買う側は新芽が出る前に剪定しなければならないので、取引は早めに済ませるにこしたことはありません。
3月中旬に畑を探し始める人
(バカ)なんてどこにもいないと思います。
私たち以外...
取りあえず、マーク・アンジェリの助言に従って近くの生協数カ所に個人広告を貼り出しました。
「カナダ人若夫婦がぶどう畑を探しています!」
どうして「カナダ人」とか「若い」とかわざわざ書いたのか(笑)今となっては理解に苦しみますが、たぶんせっかく電話をくれても変な訛りのフランス語で応えたら相手は不審に思うのではないか、とか思ったのだと思います。
外国人と分かっていて電話をくれる人だったら偏見もなく畑を売って(または貸して)くれるのでは!という思惑だったのですが、電話はなることはありませんでした。
チーン
つづく
La taille
今年もぼちぼち剪定を始めました。
毎年この時期になると同じことを書いてますが、ぶどうのサイクルなので。
去年は収穫が早かったせいで、周りを見渡すとみんなけっこう剪定も進んでいます!
私たちは他でもおしごと(もちろん剪定)をしているので、自分たちの畑がなかなか進みません。来週はカナダから友人が来てくれるので、おしごとは1週間お休みして自分たちの剪定をがんばりたいと思います。
先週、写真のカベルネの畑を終えたのですが、ここを剪定するのも3年目か...と思うと、なんか不思議な気分です。落ち着きます。
今年は暖冬で、外でしごとをするぶんにはありがたい気候だけど、
ぶどうの樹のことを考えると、ちゃんと冬が来て樹液が下がった方が良いのでふくざつな気持ちです。
↑剪定中に見つけた小鳥ちゃん。
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