学力格差は超えられるか (original) (raw)

Research on Mathematical Ability at Lower Secondary School Level : An Analysis of "Shape and Function" Test Points

2001

本稿の目的は, カッセル・エグゼタープロジェクトによって開発された「図形・関数」調査問題を用いて, 日本の中学生の達成度を調査し, 今後の数学教育への示唆を得ることにある. 471名の公立中学校3年生を対象に調査を実施した結果, 日本の中学校3年生の「図形・関数」得点の平均は, 「数」領域調査の場合と同様に, イギリス・ドイツなどに比べて高いことがわかった. また, 問題ごとの正答率順位の比較によって, イギリス・ドイツなどに比べて相対的に達成度の高かった問題と低かった問題も同定された. さらに, 「潜在力」得点によって被験者を層化して比較した結果, 数学学習に対する潜在力上位群および下位群の特徴がそれぞれ明らかになった. 具体的には, 潜在上位群と下位群の双方において, 達成度の高かった問題と低かった問題が明らかになると同時に, 両群の達成度に顕著な差がみられた問題群も同定され, 個に応じた数学学習への示唆が得られた