The Use and Maintenance of Shirakawa-suna in Temples of Kyoto City (original) (raw)

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References (18)

  1. 。 「敷砂」と「園路」の手入れに は,雑草を取り除く,落葉を拾う,またはブローアで落葉を吹き 出す,砂を均す,砂紋がある白川砂区域では爪の長さが 5cm 前後 の熊手やレーキを用いて砂紋をつけるなどのプロセスがあること がわかった(写真-8)
  2. 。特に砂紋を描くためには体力と集中力が 必要なため,禅宗寺院では修行のひとつ 2) と見なされる。 「盛砂」 と「砂壇」の場合は,白川砂を水でねり,板で叩いて固める。約 半数(45 箇所)の白川砂区域の手入れは住職や修行僧が担当して おり,庭師や檀家が担当する事例もみられた。白川砂の補充や更 新を行っている区域は行っていない区域より多かったが,補充更 新の頻度は数年に一回~数十年に一回と,差が大きいことがわか った。手入れの頻度に関しては,毎日行う区域は少なく,月 2~3 回管理を行う区域が多かった。また,月 1 回以下もしくは砂紋が 崩れた時のみ手入れを行う区域もみられた。 現在では 「白川石砕石」 が入手できなくなったにもかかわらず, その調達や保存を工夫して利用する事例が認められた。 T 寺では「白川石砕石」が方丈東庭と方丈西庭に「敷砂」とし て利用されていた。東に約 500m 離れている開山堂 L 寺には昭和 40 年代に本堂前庭が造られ,大量の「白川石砕石」が蓄えられて いた。L 寺は現在非公開となっており, 「白川石砕石」の手入れの 頻度を最低限に抑えている。L 寺にある「白川石砕石」は五分で 大きく, これを T 寺の白川砂区域 2 箇所に数年に一回の頻度で補 充していた。現在の補充頻度であれば,L 寺に保持されている砂 量は T 寺の白川砂区域を百年以上維持できる状況となっている。 R 寺では「白川石砕石」が方丈前庭に「敷砂」として利用され ていた。R 寺は昭和時代に大量の白川砂を購入し,倉庫に保管し ている。 1981 年には方丈前庭の白川砂を全部取り出し, 倉庫に保 管した新しい白川砂と入れ替え,取り出した砂を全て洗浄して倉 庫に戻していた(約 10 m 3 ) 。また,2011 年には方丈前庭の白川 砂の半分(約 5m 3 )を取り出し,30 年前に洗浄した砂と入れ替え た。 今後も30 年に一回の頻度で更新を行う予定があることから, 少なくとも百年間は「白川石砕石」を維持できると考えられる。 H 寺には「白川石砕石」が 2009 年に作られた前庭に「敷砂」 として利用されていた。依頼を受けた石材店が解体された町家な どの伝統的建物から廃棄された白川石を集め,造園業者がそれら の白川石を削岩機で割って篩にかけて白川砂に加工した。その際 には,約 0.036m 3 の大きさの白川石が 100 個前後使われた。 4.考察と今後の課題
  3. 以上の調査結果から,京都の寺院における白川砂を用いた景観 を保全していくためには,次の 4 つの課題について検討すること が重要だと考えられる。
  4. 白川砂の用途や砂紋の有無を考慮し,適切な厚さと粒度を 維持すること。例えば,砂紋を描くレーキや熊手の爪の長さは 5cm 前後のため,下層の土と混ぜないように,砂紋がある敷砂は 5cm 以上を確保する必要がある。また,砂紋を長く持たせるため に,砂紋がある敷砂の粒度は二分~五分が適切だと考えられる。 風化や磨耗により厚さと粒度が小さくなるため,白川砂を常に補 充更新することも必要である。図-3 で砂紋がある敷砂の厚さが 5cm 未満の 47 箇所,図-4 で砂紋がある敷砂の粒度が二分未満 の 18 箇所は白川砂の補充の必要性が高いといえる。
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