がん死亡リスク、アスピリン常用で大幅減、英大研究 (original) (raw)

がん死亡リスク、アスピリン常用で大幅減、英大研究

2010年12月7日 23:01 発信地:パリ/フランス [ヨーロッパ フランス ]

【12月7日 AFP】アスピリン(アセチルサリチル酸)を服用することでさまざまな種類のがんによる死亡の危険性を大幅に減らすことができるとの研究が、7日の英医学専門誌「ランセット([The Lancet](/search?fulltext=The Lancet&category%5B%5D=AFPBB>記事&category%5B%5D=ワールドカップ&category%5B%5D=五輪))」に発表された。

論文を発表したのは英オックスフォード大学([University of Oxford](/search?fulltext=University of Oxford&category%5B%5D=AFPBB>記事&category%5B%5D=ワールドカップ&category%5B%5D=五輪))のピーター・ロスウェル([Peter Rothwell](/search?fulltext=Peter Rothwell&category%5B%5D=AFPBB>記事&category%5B%5D=ワールドカップ&category%5B%5D=五輪))氏らの研究チーム。同チームは以前、鎮痛剤として知られるアスピリンに大腸がんの予防効果があることを突き止めていた。

今回の論文によると、アスピリンは、特に前立腺、肺、脳、咽喉(いんこう)のがん予防に効果がみられるという。

■8件の臨床試験結果を分析、被験者は2万5500人以上

ロスウェル氏の研究チームは、過去に行われた8件の臨床試験の結果を分析した。被験者は合計で2万5570人だった。各試験の期間は4~8年で、8件のうち3件は20年間に及ぶアスピリンの影響を調べられるほど長期間にわたって行われていた。

どの臨床試験も本来はアスピリンとがんの関連性を研究する試験ではなかったが、いずれの試験でも被験者はアスピリンと偽薬のどちらかを服用していた。

■『化学予防』も現実的な目標に

研究の結果、最もがんのリスクが減ったのは5年間服用した場合で、がんの種類にもよるが死亡リスクは30~40%減少した。

また、20年間の継続服用で、がんで死亡するリスクは21%も少なくなっていた。前立腺がんで10%、肺がんで30%、大腸がんで40%、食道がんでは実に60%少なくなった。

しかし、肺がんと咽喉がんの予防効果は非喫煙者にみられる腺がんにしか認められず、胃がんと脳腫瘍については、これらの疾患で死亡した被験者が少なかったことから定量化が困難だったという。

アスピリンの服用開始から効果が出るまでにかかる期間はがんの種類によって異なり、咽喉がんとすい臓がん、脳腫瘍、肺がんは5年、胃がんと結腸直腸がんは約10年、前立腺がんは15年だった。

「長期的に考えた場合に最も重要な点は、アスピリンのような簡単な化合物でがんが予防できるという原則を発見したことだろう。(化学療法ならぬ)『化学予防』が現実的な目標になった」(ロスウェル氏)

■アスピリンの常用は医師に相談を

多くの医師は、心臓発作や、血栓による脳卒中、その他の血流関連の疾患の危険性を減らすためにアスピリンの常用を薦めている。

しかし、アスピリンを毎日服用すると、胃の出血などの問題を引き起こす恐れがある。また、アルコールと併用すればこういった胃の症状はさらに悪化する。

英国がん研究所([Cancer Research UK](/search?fulltext=Cancer Research UK&category%5B%5D=AFPBB>記事&category%5B%5D=ワールドカップ&category%5B%5D=五輪))のエド・ヤング([Ed Yong](/search?fulltext=Ed Yong&category%5B%5D=AFPBB>記事&category%5B%5D=ワールドカップ&category%5B%5D=五輪))氏は、「アスピリンを毎日服用したい人は、まずは医師に相談することをおすすめする」と語った。(c)AFP/Marlowe Hood