「海馬」を深掘りリサーチ!意味や語源・由来、関連する生物名や用例等まとめレポート (original) (raw)
今回の「生き物にまつわる言葉を深掘り」のテーマは、「海馬」です。
「海馬」の意味や語源・用例などを深掘りリサーチし、以下の目次に沿ってレポートしていきます。
海馬の本来の意味と語源
「海馬」という漢字は、文字通り「海の馬」を意味します。
しかし、この「馬」が指すものは、陸上の馬とは異なり、以下の2つの意味に大きく分かれます。
1. 神話上の生き物
まずは、神話における海馬を紹介します。
ギリシャ神話:
海神ポセイドンが乗る、馬の頭と魚の尾を持つ伝説の生き物「ヒッポカンポス」を指します。
ヒッポカムポス(ἱππόκαμπος、hippokampos、ラテン語: hippocampus) は、ギリシア神話に登場する半馬半魚の海馬である。
ヒッポカンポスとも表記される。 英語で hippocamp(ヒッポキャンプ) または hippocampus(ヒッポキャンパス)。 sea-horse (シーホース、「海の馬」)と通称されることもある。
ヒッポカンポスの前半分は馬の姿であるが、たてがみが数本に割れて鰭状になり、また前脚に水掻きがついている。胴体の後半分が魚の尾になっている。
ノルウェーとイギリスの間の海に棲んでいて、ギリシア神話に登場する。
ポセイドーンの乗る戦車を牽くことでも有名。
その姿はワイト島とニューカッスル・アポン・タインの紋章の両側に見られる。
中国神話:
中国神話にも、海に住む馬のような生き物の記述が見られますが、ギリシャ神話のものとは異なるイメージを持つ場合もあります。
2. 実際の生物
タツノオトシゴ:
その形状がヒッポカンポスに似ていることから、「海馬」と呼ばれるようになりました。
タツノオトシゴ(龍の落とし子)は、トゲウオ目ヨウジウオ科タツノオトシゴ属 Hippocampus に分類される魚の総称。
狭義にはその中の一種 Hippocampus coronatus の標準和名としても用いられる。およそ魚には見えない外見と、オスが育児嚢で卵を保護する繁殖形態が知られた分類群である。
別名はウミウマ(海馬)、カイバ(海馬)、ウマノコ(馬の子、日本各地)、ウマノカオ(馬の顔、富山)、リュウノコマ(竜の駒、神奈川県三崎)、ウマヒキ(馬引き)、リュウグウノコマ(竜宮の馬、和歌山)、ウマウオ(馬魚)、タツノコ(竜の子、高知)などがある。
英名でも Seahorse(シーホース : 海の馬)と呼ばれる。
海生哺乳類:
セイウチやトドなど、海に住む哺乳類を指す場合もあります。
日本大百科全書(ニッポニカ) 「海馬」の意味・わかりやすい解説
海馬(動物)かいばウマのような大きな海産動物の意。
セイウチ(海象)、アシカ(海驢)、ジュゴン(儒艮)にも用いられるが、最近は胡櫞にかえてトドの漢名として定着しつつある。タツノオトシゴの異名でもある。
[伊藤徹魯]
セイウチ (海象、海馬、Odobenus rosmarus) は、哺乳綱・食肉目・セイウチ科・セイウチ属に分類される鰭脚類の動物。本種のみでセイウチ属を構成する。
日本語のセイウチはロシア語のсивуч(発音はシヴーチ、もしくはスィヴーチ)に由来する外来語だがロシア語のсивучはトドである。
トド(胡獱、海馬、魹、Eumetopias jubatus)は、哺乳綱食肉目アシカ科トド属に分類される食肉類。本種のみでトド属を構成する。
海馬が冠された名詞や動植物名
海馬体:
脳の部位の一つで、その形状がタツノオトシゴに似ていることから名付けられました。記憶や空間認識に関わる重要な役割を担っています。
海馬体(かいばたい、英語: hippocampal formation)は、大脳皮質・側頭葉の内側にあり側脳室下角底部に突出した大脳辺縁系の一部である。
左右に一対ずつ存在し、ヒトでは直径 1 cm、長さも 5 cm ほどの器官である。
ギリシャ神話に登場する海神ポセイドンが駆る馬車を引く半馬半魚の想像上の動物ヒッポカンポス (hippocampus) の尾に形が似ているとされたことから名づけられた。 学名が同じ Hippocampus であるタツノオトシゴから由来すると言う説もある。
脳を底部から見た図(上が前頭葉、下が後頭葉)。海馬は外部からは直接見えないが赤色でその位置を表している。
海馬藻:
海藻の一種。
海馬山:
地名。海馬の形に似ている山や丘につけられることがあります。
海馬島
海驢島(とどじま、とどしま)は、北海道礼文郡礼文町(大字船泊村)に属する無人島。名称は「海馬島」や「トド島」とも表記され、またアイヌ語における名称はポンモシリ(Ponmosir)である。礼文島のスコトン岬から北方約1キロメートル沖合に位置する離島であり、白浜の須古頓漁港から直線距離にして約2キロメートル、江戸屋の浜中漁港からは約3キロメートル離れている。利尻礼文サロベツ国立公園に含まれる島であり、20世紀初頭から1980年代にかけては昆布やウニの漁期に限って漁業者が居住していた。高台には海驢島灯台が存在する。
海馬島(とどじま、とどしま)は、北海道宗谷郡猿払村に属する島。
2つの岩礁によって構成された無人島であり、浜鬼志別漁港の北方に位置し、海岸から約2キロメートル沖に存在する。トド岩とも呼ばれる。
海馬島の近海は船の遭難が多く「魔の暗礁」とされており、1939年にはソビエト連邦の船舶インディギルカ号が座礁し沈没している。浜鬼志別に建設された浜鬼志別灯台には、海難を防ぐために海馬島照射灯が併設されている。
海馬島(かいばとう、とどじま)は、宗谷海峡に存在する島。樺太島(サハリン島)の南西に位置し、晴れた日には宗谷岬を含む稚内市内や利尻島・礼文島からも見ることができる。現在は無人島となっているが、日本領時代には集落が存在した。別称として探検家ラ・ペルーズの命名によるモネロン(Moneron)島があり、ロシア語による名称(Остров Монерон)の由来となっている。現在はサハリン州の一部としてロシアが統治している。
海馬島(かいばじま、とどじま、アイヌ語名:トドモシリ)は、歯舞諸島の島のひとつ。多楽島の南東に位置し、北海道からは37キロメートル離れている。
戦前は日本が統治していた島であったが、1945年のソ連対日参戦の結果ソ連により占領される。ソビエト連邦の崩壊以降はロシア連邦が実効支配し、ロシアの行政区画においてはサハリン州南クリル都市管区(2006年までは管区)に属している。しかし日本政府はソ連による占領以降も「北方領土」の一部として領有権を主張しており、日本の行政区画においては1959年まで歯舞村に所属し、同年以降は根室市に属している。
トド岩
トド岩(とどいわ)は、トドあるいはトドの別名を持つニホンアシカに由来する日本語の地名。海馬岩とも表記される。
海馬島 (猿払村)の別名
トド岩 (小樽市)
トド岩 (奥尻町)
トド岩 (釧路町)
海馬岩 (新冠町)
各意味ごとの語源や由来
神話上の海馬:
ギリシャ神話におけるヒッポカンポスは、海と馬を組み合わせた想像上の生き物です。海の神ポセイドンの乗り物として、海の支配を象徴する存在でした。
タツノオトシゴ:
その独特な形状が、神話上のヒッポカンポスを連想させたため、「海馬」と呼ばれるようになりました。
海生哺乳類:
セイウチやトドは、その大きな体格や海での生活様式が、神話上の海馬のイメージと重なったため、「海馬」と呼ばれるようになったと考えられます。
海馬体:
脳のこの部位が、タツノオトシゴの形に似ていることから名付けられました。
まとめ
「海馬」という漢字は、神話、生物、そして人間の脳の構造など、様々な分野で用いられており、その意味は多岐にわたります。
共通しているのは、「馬」という言葉が持つ力強さや神秘的なイメージ、そして水との関連性でしょう。
「海馬」という単語は、その多様な意味と奥深さから、文学や芸術作品などでも頻繁に登場します。
この単語を通して、私たちは神話の世界、自然の神秘、そして人間の知的好奇心に触れることができるのです。
興味深いですよ!「海馬」。