麻薬取締官に「ありがとう」 高知東生さんが語った半生 (original) (raw)

麻薬取締官に「ありがとう」 高知東生さんが語った半生

有料記事

編集委員・小泉信一2020年2月6日 13時45分

薬物に手を出し、家庭も仕事も失った元俳優の高知東生(たかちのぼる)さん(55)。生い立ちから逮捕、有罪判決を経て味わった苦悩の日々と、その経験を生かしつつもなお苦しみが続く今の生活を、朝日新聞の単独インタビューに語った。6日に判決が言い渡される沢尻エリカ被告の事件に、同様の体験をした高知さんは何を思うのか。

高知さんはドラマやバラエティー番組、映画などで活躍し、俳優の高島礼子さんと結婚。しかし2016年、知人の女性とホテルで覚醒剤と大麻を所持していたとして逮捕。高島さんとは離婚し、懲役2年執行猶予4年の判決を受けた。

薬物依存症の治療を受け、現在は依存症予防教育アドバイザーとして全国で講演活動を続けている。

父は任俠、愛人だった母との突然の別れ

――小学4年生のころまで、祖母や親戚の家に住み、お父さんもお母さんもいないと言われて育った。

「父親は、任俠(にんきょう)の世界に生きる人で頭を張り、高知では有名な人でした。後継者は俺だろう、と自分も周りも思っていました」

――母は、その愛人だった。

「『親戚のおばちゃん』と最初のうちは紹介されましたが、やがて一緒に暮らすようになり、本当のお母さんとわかりました」

「でも地獄の日々でした。食事も作ってくれない。テーブルの上にお金が置いてあり、これで外で食べろ、というのです。夜、子ども用のスーツを着させられてキャバレーに呼ばれて、おふくろとおやじと組関係の人がいる中で、ただ、ぽかーんと1人でいることもありました。祖母のところに帰りたくて、家から脱走したときも。僕はおふくろが大嫌いでした」

――中学からは明徳義塾に進み、全国屈指の強豪で全寮制の野球部に。練習は厳しかったが、母から離れられたのがうれしく、ホッとした。

「明徳義塾では野球部の保護者たちがご飯を作り、練習後にみんなで食べるのが恒例。あるとき、見慣れない人がいると野球部のみんなが騒いでいた。調理室にはノーメイクのジャージー姿で楽しそうに料理を作っているおふくろがいました。着物しか見たことがない僕は驚きました」

記事後半に、覚醒剤の怖さ、回復までの道のりなどを語る高知東生さんの動画があります。

「それから半年ほどたったこ…

この記事は有料記事です。残り4511文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら