五輪反対デモ「金で動員」の字幕、「誤り」と判断 NHK、職員処分 (original) (raw)
上田真由美2022年2月10日 20時52分
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昨年末に放送されたNHK・BS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」で取材内容と違う字幕をつけた問題で、NHKは10日、「字幕の内容は誤りだった」と認める内部調査の報告書を公表し、改めて謝罪した。同日、番組制作を担当した大阪拠点放送局の30代の男性ディレクターら6人を懲戒処分にした。
番組は昨年12月26日に放送され、映画監督の河瀬直美さんらが東京五輪の公式記録映画を製作する現場に密着した内容。番組後半、河瀬さんの依頼を受けた映画監督の島田角栄さんが取材していた匿名の男性が登場する場面で「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」と字幕を付けた。
NHKの調査チーム(責任者=松坂千尋専務理事)の調査結果によると、取材の際に男性が話したのは「ご飯代ぐらいのお金をもらって、いろいろなデモに参加している」「五輪反対デモは行かない」「コロナが増えるから自分としては五輪はやめた方がいいと思う」という趣旨だった。
その後、ディレクターはカメラを回していない状況で男性から「デモに参加することで2千~4千円をもらうことがある」「五輪反対のデモに参加する可能性はある」と聞いたが、裏付けをせず、その後に五輪反対デモに参加したのかも確認しなかったという。
NHKはこれまで、男性の記憶があいまいで、実際には参加した可能性もあることを理由に「字幕の一部に不確かな内容があった」としてきたが、今月、改めて男性に聞き取った内容もふまえ、男性が五輪反対デモに参加した確証は得られなかったとして「誤りだった」と結論付けた。
計6回の試写を経た番組制作過程で字幕は複数回修正されたことも明らかにした。
12月7日にあった最初の試…
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この記事を書いた人
上田真由美
金沢総局|能登駐在
専門・関心分野
民主主義、人口減少、日記など市井の記録を残す営み
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