岸・佐藤家、引き継がれる「名門」 世襲に期待と批判、問われる是非 (original) (raw)

岸・佐藤家、引き継がれる「名門」 世襲に期待と批判、問われる是非

極東最大級の米軍岩国基地を抱える山口県岩国市。2月に衆院議員を辞職した前防衛相岸信夫氏(64)の地元を、岸田文雄首相が3月5日に訪れた。辞職に伴う衆院山口2区補選(4月23日投開票)に立候補する信夫氏の長男、信千世氏(31)の激励のためだ。

防衛大臣秘書官として最も身近で岸先生の防衛政策、政治に対する熱意を学んでこられた」。集まった約300人の自民党関係者を前に、首相は信千世氏をこう紹介し、支援を訴えた。

壇上では信千世氏の隣に、柏原伸二後援会長(73)、選対本部長を務める県政界の実力者、柳居俊学県議会議長(73)が並んだ。信夫氏の代から同じ役職に就いていた2人の存在は、信千世氏の「後継者」としての姿を印象付けた。

あいさつに立った信千世氏は「父の志を継いで一生懸命に働く」と述べ、こう続けた。「世間では色々な声が聞こえます。こうした声に惑わされず、我々ができることをやる」

「世間の声」とは、「世襲」批判とみられる。昨年12月、後援会の集まりで体調不良を理由に引退を表明した信夫氏は、その場で信千世氏を後継としたい考えを示した。

自民党山口県連の会長を務める信夫氏の、国会議員の座を親子間で受け渡すような言動に、地元の野党議員らから批判が起こった。さらに、信千世氏が一時、6人の国会議員が名を連ねる「家系図」をホームページに掲載したこともSNS上で物議を醸した。

信千世氏は立候補表明の会見で、「(政治家の多い)家庭環境であったからこそ政治の話題が比較的身近なものとなった」と語ったこともあった。柏原会長は家系図について、「スタートでいい勉強になったでしょう」と苦笑しながら振り返った。「普通の人ならたたかれない。『岸』は名門だから」

内閣の顔ぶれからも感じられるように、日本は世襲議員の多い国です。代々政治家を輩出する一族がなぜ生まれるのか、有権者に必要とされているからなのか。11日に告示される衆院補選をめぐって政治と世襲、後継、家……などが話題になった山口から考えます。

地元に威光放つ兄弟

「名門」のルーツをたどる…

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