成績が最もいいのはAO入学者 東北大、早稲田大の内部資料で判明|大学入試改革の「本丸」|朝日新聞EduA (original) (raw)

日本の大学入試では、ペーパーテスト一発勝負の一般入試(一般選抜)信仰が根強く、AO入試(総合型選抜)や推薦入試(学校推薦型選抜)に対して否定的な見方が少なくありません。しかし、難関大学を中心に、AO入試や推薦入試に対する評価が高まっています。これらの入試方法で入学した学生の成績評価や大学満足度が、一般入試組に比べて高いという調査結果が出ているためです。(写真は東北大の川内キャンパス)

AO入学者が3割超えた東北大

一連の大学入試改革を検討した文部科学省の中央教育審議会の高大接続システム改革会議。第2回会議(2015年4月)に、東北大と早稲田大が入試区分ごとに入学後の成績などの資料を提出している。両大学の理事が同会議の委員を務めていたためだ。

早稲田大の恩藏直人・常任理事によると、第1回会議で安西祐一郎座長(元慶応義塾長)から「今後、入試改革を検討するにあたり、すでにいくつかの大学でいろいろな取り組みをしているので、実態を紹介してほしい」と要請があり、資料を用意したという。両大学とも過去10年間の学生のGPA(成績評価)を集計して分析した。

東北大は、2000年度からAO入試を導入し、国立大学で最もAO入試に熱心な大学だ。大学入学共通テスト(当時は大学入試センター試験)を課さず11月に行うAO入試Ⅱ期と、共通テストを課して2月に行うAO入試Ⅲ期を続けている。

当時の資料では、AO入学者の評価として、詳細な内容が掲載されている。修業年限でストレートに卒業した学生は、一般入試前期日程80.1%、後期日程71.1%に対して、AOⅡ期84.1%、AOⅢ期81.8%。GPA平均値を偏差値に換算した値は、全学教育(教養教育)で一般入試前期49.6、後期50.0に対して、AOⅡ期53.3、AOⅢ期52.8。専門教育のGPAも似たような数字になっており、いずれもAO入学者が高い。

当時から7年経った現状を滝澤博胤(ひろつぐ)理事・副学長に聞いた。