「異端児」の有終の美 TVR T 400R トップギアの映像で内装を再現 ナンバー付きGT1ル・マン・マシン(2) (original) (raw)

野心あふれるブランド:TVRの金字塔

開発で浮上した課題の2つ目が、販売されなくなったTVR T 400Rに代わる、仕様違いのモデル。そこで、T 550R「タイフーン」の名で、4.0Lのスピードシックス・ユニットにスーパーチャージャーを組み合わせた、1台のプロトタイプが作られた。

トランスミッションは、6速シーケンシャル・マニュアル。AF04 BYZのナンバーで登録され、冷却能力は足りていなかったが、最高出力は600馬力へ迫ったようだ。

TVR T 400R(プロトタイプ/2002年/T 440R仕様)

TVR T 400R(プロトタイプ/2002年/T 440R仕様)

しかし、TVR自体の売却計画が進行し、開発は凍結。ニコライ・スモレンスキー氏による体制へ交代後に、2台のタイフーンが生産されているものの、エンジンは通常のタスカン S用が積まれた。トランスミッションも、従来の5速マニュアルだった。

スモレンスキーは、2013年までTVRを所有するが、まったく新しい量産モデルが提供されることはなかった。結果として、野心あふれるTVRの金字塔として、T 400RとT 440Rは重要な意味を持つことになった。

PN02 ZNGのナンバーを持つ今回のT 400Rは、GT1マシンのプロモーションに用いられた後、TVRを得意とするガレージ、レーシング・グリーン社が購入。2008年に、現オーナーのリチャード・ビリングス氏が入手している。

2014年に、彼はオリジナル状態へのリフレッシュを決意。TVRの第一人者として知られる、TVR101社へ運ばれた。モータースポーツで経験を積んだ、代表のスティーブン・ウッドロウ氏によって、愛情のこもった仕事が施されたことは明らかだ。

トップギアの試乗映像でインテリアを再現

開発図面の入手は難しく、作業ではインテリアの再現が大きな問題に。GT1レーサーのデモ車両として、バケットシートが固定され、内装は殆ど残っていなかった。サイドウインドウも、固定式のアクリル製へ交換されていた。

サイドガラスの再製造は、スペイン・バルセロナの業者を見つけ依頼。ドアの内張りは、現存するタイフーンのものをベースに、再現することが決まった。

TVR T 400R(プロトタイプ/2002年/T 440R仕様)

TVR T 400R(プロトタイプ/2002年/T 440R仕様)

だが、それ以外の内装を復刻した方法が面白い。「ユーチューブに掲載されていた、トップギアの試乗映像を繰り返し見て、当時の様子を想像したんですよ」。とウッドロウが微笑む。

エンジンは当初載っていた4.0Lではなく、販売されたT 440Rへ近づけるべく、リビルドされた4.4Lのスピードシックスへ置換。以前、TVRでエンジン部門にいたドム・トリケット氏によって、リビルドされている。

パワー特性は一般道へ向けて調整され、最高出力420ps/6000rpm、最大トルク53.1kg-m/6000rpmが引き出された。ちなみに、2002年のTVRは、446psと48.3kg-mを主張していた。

ボディは基本的に変更なし。2002年らしい、キャンディアップル・ルビー・パールへ再塗装されている。サスペンションは、ビルシュタイン社製のダンパーから、オーリンズ社製の車高調へ交換されたが、それ以外は基本的に維持された。

画像 ナンバー付きGT1ル・マン・マシン T 400R ミレニアム前後のTVRたち 3代目グリフィス・プロトも 全126枚