米動物園のゴリラ射殺に批判相次ぐ 3歳児が飼育エリアに転落 - BBCニュース (original) (raw)

動物園は、男の子は危害を加えられていなかったが危険があったと説明(27日)

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2016年5月30日

米オハイオ州の動物園でゴリラ「ハランビ」(17歳、オス)が28日に射殺されたことを受けて、ソーシャルメディアで批判の声が上がっている。飼育エリアに転落した3歳の男児の安全確保が射殺の理由だが、ゴリラは男の子に危害を加えようとはしていかなったと多くの人が指摘。一部はハッシュタグ「#JusticeForHarambe」を使って、非難のコメントを寄せている。

動物園は、体重が180キロあるハランビが男の子をつかみ、引きずったことから、男児に「命の危険がある」と判断し、射殺を決めたと説明している。

動画説明, ゴリラ舎に3歳児落ちて…ゴリラ射殺

一部では、責任は子どもに対する監督を怠った両親にあると批判している。

ツイッターのユーザー「StrayanRepublic」さんは、「ハランビは殺そうとして引きずったのではない、叫ぶ観光客から守ろうとしたんだ」とツイートした。

「Kenz」さんは、「親の不注意で絶滅危惧種の動物が殺されなくてはいけなかったのはとても悲しい」とツイートした。

「Andrue」さんは「なんで動物園は即効性の麻酔を使わなかったんだ。あのライオン2頭に続いて今度はハランビだ」とツイート。

チリ・サンティアゴの動物園で21日にライオン2頭が射殺されたことを念頭に置いたツイートとみられる。サンティアゴでは自殺願望の男性がライオンの飼育エリアに入り、裸になっていた。ライオン2頭を射殺した動物園側は即効性の麻酔がなかったと説明しているが、これも複数の動物保護活動家から非難されている。

ハランビ射殺の責任を、飼育エリアに転落した男の子の両親が負うべきだとする請願書が作られ、6万人以上の署名が集まっている。

「ハランビは殺そうとして引きずったのではない、叫ぶ観光客から守ろうとしたんだ」と「StrayanRepublic」さんはツイート

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「kenz」さんは、「不注意な親のせいで絶滅危惧種の動物が殺されなくてはいけなかったのはとても悲しい」とツイート。

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画像説明, 「kenz」さんは、「不注意な親のせいで絶滅危惧種の動物が殺されなくてはいけなかったのはとても悲しい」とツイート。

「Andrue」さんは「なんで動物園は即効性の麻酔を使わなかったんだ。あのライオン2頭に続いて今度はハランビだ」とツイート。

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画像説明, 「Andrue」さんは「なんで動物園は即効性の麻酔を使わなかったんだ。あのライオン2頭に続いて今度はハランビだ」とツイート。

「非常にショックを受けている」

シンシナティ動物園は事故を受けて、ゴリラの公開を一時的に停止した。

男の子は保護柵を越えて、3メートル下の堀に落ちた。様子を映したビデオには、男の子が浅い堀の中を引きずられるのが分かる。ゴリラは止まり、男の子はゴリラを見上げている。

しかし、ビデオには一部始終が撮影されておらず、男の子は10分くらい引きずり回されていたと、指摘されている。

男の子は近くの病院に運ばれ治療を受けたが、完全に回復する見通し。

17歳のハランビは2014年にシンシナティ動物園に連れて来られた

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動物園のセイン・メイナード氏は、「(関係者にとって)難しい選択だったが、正しい選択だった。男の子の命が救われたのだから。非常に悪い結果になっていたかもしれなかった」と語った。

メイナード氏は、麻酔銃では効果が現れるのに時間がかかり過ぎたと説明した。同氏は、男の子はゴリラに襲われてはいなかったものの、「確実に危険があった」と述べた。

さらに、「絶滅危惧種のゴリラが死ぬという悲劇的な事故に、我々全員が非常にショックを受けている。動物園にとっても、世界中のゴリラにとっても大きな損失だ」と語った。

ハランビはテキサスで飼育されていたゴリラの子どもとして生まれ、繁殖の助けになると期待したシンシナティ動物園が2014年に受け入れた。シンシナティ動物園は米国で最も多くのニシローランドゴリラの繁殖に成功している。

ジャージー島で男の子を守ったゴリラ

1986年にも、英領ジャージー島でゴリラの飼育エリア内に5歳の男の子が転落する事故が起きている。

男の子は意識を失ったが、シルバーバックと呼ばれるボスゴリラ「ジャンボ」が男の子を他のゴリラたちから守り、背中を撫でてあげた。男の子に意識が戻り泣き始めると、ゴリラたちはそばを離れ、飼育係や救急隊に場所を明け渡した。

ジャンボに対しては称賛の声が上がり、実物大の像に1万8000ポンド(現在の為替換算で約290万円)の値段がついた。ジャンボはジャージー島発行の切手のデザインにも採用されている。

ニシローランドゴリラはアフリカ西部の森林地帯に生息しており、正確な数は確認されていないものの、ゴリラの種類としては最も数が多い。世界の動物園で500頭以上が飼育されている。

(編集部注・警察は当初、男の子の年齢を4歳と発表したが、後に3歳に訂正した)